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（涼次）ソケットってありますか？
（鈴愛）ソケット…　ロケット？
ソケット。ラケット？
ソケット。
ソケット…。
♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
ソケットって何…？
あ…　う～ん。
あっ　電球。
いえ　ちょっと違う。
（田辺）あれ　いや…ソケットでしょ　ソケット。
（涼次）はい。電球つけるやつ。
こう　クルクルって。あれ　電球の辺り…　あったかな。
（東雲）あのね　電球ソケットあれ　置いてないの。
結構ね　みんな買いに来るけど１００均　置いてないのよね。
あっ　そうなんですね。うん。
ああ～　東雲のおばあちゃんありがとう。
おばあちゃん　いらない。東雲さんでいい。
私はね　よ～く　ここ来てるの。ここは私の庭。　デイサービス。
店番してるモアイ像より長いの。な～んでも聞いて。はい。
モアイ像…。
えっ　いいんですか？
あっ　いや何か　かわいかったんで。
えっ？（涼次）いや　これ…。
あなた　いい男ねえ。あっ　いや…。
歌舞伎俳優みたいだ。
あっ　よく言われるんですよね。顔濃いって。
そんな　すてきよねえ？
え？あっ　いいです　いいです。
あっ…。
（宇太郎）あ～　あかんわ。
お隣の永田さんもボケてきたかな？
話長くて　帰してもらえなんだ。
回覧板持ってっただけでどんだけ時間かかっとる。
フフフフッ…　ん？　どうした？
（晴）手紙が戻ってきた。転居先不明で。
誰の？
鈴愛…。
あの子　秋風先生んとこ出たんや。
ほんな事あるか？俺らに何にも言わずに。
ほんでも　これ。
今すぐ　電話してみい。鈴愛の携帯。
それか　秋風先生とこに。
（仙吉）お～いおいおい…。
いや　私が言うのもなんやけど鈴愛も　もう２８やろ？
携帯は　つながって連絡もつくんやしどっかで野たれ死んどる訳やない。
あんまり問い詰めんでも…。
おじいちゃん　もしかしたら何か知っとるんやないかね？
♪～
おっ　これから決戦か？　デートか。
外資系金融年収３，０００万！はい！
何が駄目でしたか？
とっぽい…。
とっぽい…。
何か久々に聞くな　その言葉。
チャラい？
チャラ男？
あっ　あのさあこの前　ローマに行ったんだけどコントッディ通りの店何だっけ？　老舗の。
あそこのアマトリチャーナあの味できる？　君。
お店の人に　君って言ったのもこの前ローマに行ったのも嫌でした。
アマトリチャーナって何？
ただのスパゲッティトマトソースです。
きっと　多分ちょっと　違うと思うけど…。
シャギー？シャギーでエアリーです。
エアリー？いや　それ　リアリー？
エアリー　下がります。
青山の芸能人御用達の美容院でカリスマ美容師に切ってもらったって言ってました。
２か月待ちだって。
２か月待ってる間に髪伸びるわ。
カリスマですから。
＜そのころ　猫も杓子もカリスマなんちゃらでした。カリスマ美容師に始まってカリスマ販売員カリスマ植木職人カリスマそばやまで。とにかく何にでもカリスマをつけました＞
楡野さん的にはやっぱり　なしなの？　ありなの？
ありとか　なしとかより…もらってもらえるならどこにでも行きたい気分です。
楡野さん…。
あっ　ごめんなさい。普通に暗かった。
…っていうか　何だろ　これ。
レジャーシートにちっちゃい椅子に紙コップ。
これって　ピクニック用品ですか？
いやいや　今週の日曜この辺の学校　運動会なのよ。
ああ　だから　運動会グッズが段ボールいっぱい。
ほれ　これ。卵焼きと　から揚げの仕切りの。
パランですね。バランでは？
＜バランです。田辺さん合ってます。鈴愛　間違ってます＞
まあいいや。それと　鉢巻きなんかもな。
鉢巻き…。　わ～こんなのも売ってるんですね。
だから　運動会に向けてお客さんの見えるところに目立つところに…。
（チャイム）（麦）こんにちは。　ご苦労さま。
あっ　いらっしゃいま…。
（麦）お客じゃないけど。オーナー　お久しぶりです。
えっ？
オーナー？そう。
オーナーの藤村　麦さんです。
あなた　誰？
バイト？はい。
先月から　みっちゃんに言われて募集をかけてて…。
あ～　姉が…。
はい。　私一人では　何だろうと。
でも　何でこんな使えなさそうな子を？
いえ　この店がいまいち　はやらないのはあっ　ごめんなさいはやらないなんて。
でも　若干　人影がまばらなのはまあ　近所に　大型店ダイキャンが出来たからだってのもありますが私の顔が怖いからお客が入りにくいからじゃないかとかねてから思ってまして。ああ…。
（田辺）それを緩和する意味でもこれぐらい気の抜けたのがいいと思いまして。
あっ…　あっ　私　頑張ります。
シマエナガに似てなくもないかしら。
シマエナガ？
ああ…。
あっ　あのその　帽子に乗ってる鳥って鳴いたりするんですか？意味が分からない。
あっ　これが　ルリビタキ。ミコアイサ。ガビチョウ。どれも　麦さんの好きな野鳥だよ。
あんまりに　よく出来てるからどっかボタン押すと鳴き声が出るのかと。
姉が作ってくれた帽子なの。お誕生日に。
いくつのお誕生日かは聞かないで。
いいよ。　はい。
＜姉の光江さんは帽子教室をしています。生徒さんは　少なくなる一方です＞
へえ～　野鳥がお好きなんですね。
あっ　私の名前　スズメです！スズメ。
スズメも野鳥かと。
スズメ…。
あなた知ってる？
スズメの頬は黒いのよ。
＜ここです。　ここ＞
でもね　悲観する事はないわ。
駐車場にも電線にもそこいらじゅうにいて全く　ありがたみのないスズメだけど環境問題や都市開発の影響で１９６０年代に比べると激減してしまったのよ。それは　よくない。　駄目。
いくら　スズメでも。
珍しい野鳥も地味な野鳥も命は同じように貴いと私は考えます。
何か　微妙にありがたくない。
まっ　頑張って。私は　これから　カイツブリを野鳥公園に見に行くのでよろしく。
行ってらっしゃいませ。あっ　運動会グッズ売って下さいね。
書き入れ時です。ダイキャンに負けないように。
目立つところにガ～ッと並べて頂いて。
あそこの野鳥コーナーはなるべく　あのままで。
（田辺）心得てます。　聖域です。
それで　やたら　鳥の商品が…。
ああ～　疲れた…。
[℡]
あっ　モアイ像…。
[℡]
はい　もしもし。
あっ　大丈夫です。
えっ　明日から？
うん　バイトさん来るから。
さっきねみっちゃんから電話あって。
みっちゃん…。
[℡]ほら　オーナーさんとこの一番上のお姉さん。同じ小学校だったの。
へえ～。
てか　田辺さん私　今まで田辺さんがオーナーかと思ってましたよ。あそ？
言ってなかったっけ？
この大納言は３姉妹の女性がオーナーなのよ。
今日　会ったのが　２番目の麦さん。
一番上が光江さん。　みっちゃんね。
３番目が　めありさん。
光江ちゃん　かわいかったんだよおさげでねえ。
田辺さん　酔ってますか？[℡]あれ？　何で分かるの？
そして　また店で飲んでますね。
駄目ですよ。電気代　浮かせようとして。
ヘヘッ　ばれた？まっ　そういう事で。
明日から運動会当日の日曜まで４日間だけ助っ人でバイトさん入るって事だから。
あっ　了解しました。わざわざ　ありがとうございます。
[℡]うんじゃあ　夜分　失礼しました。
はい　おやすみなさい。
あっ！　おはようございます。
俺　あっ　いや　僕今日から　ここでバイトの…。
あっ　この前のソケット…。