ローカル線ジリ貧は
全国的な問題に

 JR北海道の苦境の原因は、高速バスとの競争激化にあるとする見方があるが、これは半分しか正しくない。「地域公共交通検討会議」にJR北海道が提出した資料によると、札幌と道内主要都市(帯広、釧路、稚内、北見・網走、函館、旭川)間の公共交通機関を利用した輸送量の合計を1991年と2014年で比較すると、全ての区間で減少しているという。

 例えば札幌~函館間は交通機関別では鉄道がマイナス26.3%、航空機がマイナス55.4%、高速バスだけが約2.8倍と大きく増加しているが、合計ではマイナス23.7%の大幅な減少である。鉄道のシェアを見ると80.4%から77.7%とあまり変わっておらず、依然として都市間輸送の中核的な役割を担っていることに変わりはない。確かに高速バスは健闘しているが、JR北海道の輸送量の減少分は高速バス利用者の増加分の数倍にも及ぶ。経営問題としては、全体的な需要の大幅な落ち込みの方がはるかに影響は大きいのである。

 結果として、札幌~網走間を結ぶ「特急オホーツク」、札幌~稚内間を結ぶ「特急宗谷」、札幌~釧路間を結ぶ「特急スーパーおおぞら」が走行する線区であっても、鉄道を維持するための仕組みを再検討しなければならない状況に陥ってしまった。

 今後は、人口減少がさらに追い打ちをかける。2017年1月現在の北海道の人口は537万人。2035年には446万人まで減少すると予測されており、JR北海道の経営努力を超えた構造的問題があると言わざるを得ない状況だ。

 もっとも、この「ローカル線大苦戦」問題はJR北海道に限った話ではない。局地的にはJR東日本やJR西日本のローカル線でも発生している問題であり、間もなくJR四国や各地の第三セクター鉄道会社も直面することになるだろう。日本の公共交通をどのように維持していくのか、私たちに大きな宿題が突き付けられている。