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<鈴愛は 律君からの結婚しました葉書を受け取って何を思ったのかその住所まで来ていました>
♪~
♪「おはよう 世の中」
♪「夢を連れて 繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の 歌声も」
♪「線路 風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪~
(鈴愛)あの…。(より子)はい?
この辺に…この辺に コンビニありますか?
コンビニは駅の近くにありますけれど…。
見過ごしました。
ありがとうございます。
あ… あの!
もしかして 律のお友達じゃ?
えっ…。
その葉書 もしかして。
あっ お近くにいらした際は是非 お寄り下さいってあったんで…。
よかったら上がって お待ち下さい。
律 もうすぐ帰ってきます。
・(和子)より子さ~ん より子さん。お砂糖の買い置きってあったかしら?
(より子)あっ 今 行きま~す!
あの 義母も…律の母も来てるんですけどよかったら。
いえ ごめんなさい。 いいです。さよなら。
あっ コンビニ…コンビニ行かなきゃ。
(藤堂)これは片づけてしまっていいんでしょうか?
・℡(裕子)私が。
・℡
(秋風)状況証拠という訳ではないんだから片づけていいだろう。大体 楡野のところに葉書が届いていたかどうかも分からないんだ。
たまたま外に出ただけかもしれない。
それより 問題は こっちだ。
ネームですか?
締め切り1週間切ってるんだろ?
(菱本)あと5日です。出来てないんですか?
鈴愛の携帯 通じないんですか?
(晴)ええ… 何か心配で。部屋におらんの? 鈴愛。
えっと…。
でも 大丈夫です。多分 近所の喫茶店でネーム…。
あっ ネームって漫画のセリフとかストーリーの事なんですけど。
あっ 知っとるよ。
℡そのネームやってると思います。締め切り近いんで。
はあ… やっぱり鈴愛さんのところにも葉書届いてたのね。
お母さんも心配しています。
何なんだ このネームは?
話になってない!
あいつは もう駄目なのか。先生。
律君が結婚したせいか?
先生 このネームはその前から描いています。
そして 先生。 鈴愛ちゃんはここんとこずっと こんな感じです。
何だ その言い方は。 お前に楡野を評価する資格はない!
先生。 先生からボクテ君に楡野さんのネーム見せたんですよ。
そうか… つい すまん。いえ。
あいつは どこに行ったんだ?こんな大事な時に!
(ドアベル)(シロウ)いらっしゃいませ。
(シロウ)鈴愛ちゃん!こんばんは。
あ~ よかった!
さっき 裕子ちゃん来て心配して捜してたよ!
すぐ連絡してあげて!
充電切れとる。ああ もう!
(菱本)それが半年前に掲載されたもの。その前が これです。
ひどいな これは。
ボクテ 君は読んでいたのか?
はい。
(秋風)小宮は?
はい 私も。 心配していました。
先生はご自身がお忙しく…。
それは もう鈴愛もプロですもんね。
「一瞬に咲け」は最後まで読んでいた。
ここまでではなかったぞ。この事について何か話したか?
あいつは自分が描けなくなった事に気付いてないのか?
いえ 描けないとは言っていました。
苦しそうでした。
♪~
(シロウ)鈴愛ちゃん!
糖分が。 糖分が足らないと頭が働かないから。
マスター モンブランも。
♪~
何にも浮かばん。
<才能というものは残酷です。湧き出る時は 温泉のようにとめどなく湧き出してそして ある時3日目の風船のようにしぼんでしまいます。しぼんだら最後 もう二度と膨らむ事はないのです>
律君の奥さんに会いに行ってただと!?
はい 大阪まで。
これで名作が描けます。
先生前に私に言ったじゃないですか?
痛みから逃げるなって。そこに真実があるって。
だから私 とことん自分を追い込んでみようって。
自分の傷口に塩塗ってみたんです。
律の…結婚してる律の生活を見たらどんな気持ちになるかって。どんなに傷つくかって。
漫画のためにやったっていうのか?
それ以外ないです!
いいものが描けました。
今 おもかげで一気にネーム描き上げました!
見て下さい!
うん。 ああ…。
♪~
ああ… うん。
いいんじゃないか?よく まとまっている。
先生 どうしてですか?うん?
どうして どうして 前みたいに「何だ この紙クズ!」って言ったりこうして カラスの羽みたいに放り投げないんですか!?
何でですか!?これ クズですよね?
何で前みたいに 「律君 結婚するなんて いいじゃないか!それを描くんだ 楡野!その痛い心を見つめるんだそこから逃げるな」って言わないんですか!?
私を 見限ったからですか?
描けない私がかわいそうだからですか?
前のネーム見たんですよね?
前より こっちがいい。
どんぐりの背比べって事ですよね。
鈴愛 自分が描けないからって先生に当たるのは…。うるさい!
逃げたやつに何が分かる!ちょ… 鈴愛ちゃん!
売れてるボクテは私を見て笑ってる!
高みの見物だ!楡野さん。
みんな あなたの事を心配して待ってたのよ。
逃げたやつって撤回してよ。頭来る!
もう 小宮さんも…。私だって結婚する!
お見合いが来てる!
それ もう なくなったって!
さっき おばさんが電話で話した時。え?
(裕子)信用金庫の人は別の人が見つかったって!
鈴愛は漫画描くんだしねっておばさんが。
耳か…。
私の左耳が聞こえないから結婚話なくなったのか?
結局 そういう事か!?誰も そんな事 言ってない!
ユーコに何が分かる!?
私は この夏で28だ!
でも 結婚もしてない恋人もいない 漫画もどん詰まり!
結婚もして 子どももいてお金があるユーコに何が分かる!
私は…私には何にもない!
鈴愛ちゃん 落ち着いて。
ちょっと落ち着こう。 ね? ね?
(秋風)もういいだろう。
何にもない楡野に 一つ提案だ。
漫画を描け。
(秋風)このネームは くそだ。
この前のやつも くそだ。
そこで どうだ。いつもの お前のやり方だ。
ネームなしでいきなり描いてみたら どうだ?
初めて 漫画を描いた時のように。
<なにがあっても すべてあの時のときめきからはじまっていることを忘れるものか>
♪~
先生。
私 描きます。
秋風羽織の生涯たった3人の弟子です。
自分を見捨てないでくれないか。
私は 私の人生を生きる。
鈴愛 どうにでもなるぞ。
人が死んでる!今だよ 今!
若さという女の価値は下がっていくよ。
ソケットってありますか?ラケット?