アキュクラフトグループ?について
Mar 6, 2010.
- アキュクラフトグループ?について
- 172-051:1870年型2軸ボックスカー
- AM32-110:AMS製2軸フラットカー
- R19-1D:BMS製2軸オープンワゴン
- R19-4C:BMS製2軸フラットカー
- R19-11C5:BMS製マン島の2軸3等客車)
「アキュクラフト」はブラスモデル専業?のメーカーで、取り扱い範囲は2番ナロー(=Gゲージ)からOナローまでと、比較的大型志向の模型メーカーです。創業は1994年(平成6年)だそうですから歴史は未だ浅いですが、小型ライブスチームとして有名な「RUBY(ルビー)」も此処の製品です。流石に高額な製品が多く、機関車などではあっさりと$1000を越えてくれます。日本型の16番の模型では完成品があっさり¥200000近い金額になる世の中ですから、Gゲージで$1000だったら激安商品と言えなくもありません。
一方の「アメリカン・モデル・サプライ(AMS)」詳細不明なんですが、上述のアキュクラフトの関連会社的な存在です。住所は違うのですが電話番号とファックス番号は共通、郵便番号も似たような番号なので別々に事務所を構えてはいても比較的近い場所なんでしょう。イギリス国内ではアキュクラフトの現地法人と思わしき「ブリティッシュ・モデル・サプライ」と名乗る会社が、アメリカン・モデル・サプライの販売代理店を行っているようですし、この3社のホームページは何処を如何見ても基本的な意匠は共通です。
別組織ではあっても経営者は同一人物とかって話は良くありますが、その類ではないかと思います。試みに、ガーデン・レールウェイズ誌の広告索引でアキュクラフトの広告ページを探し出して開くと、あ~ら不思議、実際にはアメリカン・モデル・サプライの広告ページだったりします。
製品はちゃんと棲み分け?ができていて、アキュクラフトがアメリカ型のブラス製品一本槍であるのに対し、アメリカン・モデル・サプライの方はアメリカ型のプラスチック製品が中心となります。製品構成は徹底してスケール重視と言いますか、連結器も車体マウントです。比較的大柄な、D&RGWやRGS、C&Sなどの塗装をした車輛群は自連型を使用していますが、トロッコ的な車輛には朝顔形連結器が使用されています。この朝顔形連結器、本当に連結させることが可能です。連結器が車体マウントである以上、当然乍ら急カーブ通過はかなり困難で、2軸ボギー車だと半径1200mm程度以上でなければ通過できません。LGB(レーマン)的?なR1曲線(半径約600mm)が通過できるのは2軸単車に限られるようです。
但し、このメーカーのサイトを見ると最急通過可能曲線半径に関する記述は半径1200mmと半径600mmの2種類しかない2進法的記述?なので、この数字が何処まで厳密な測定結果や設計値に拠るものなのかは、少々疑問が残らないでもありません。比較的小柄なカブースでも最急通過半径の表示は1200mmとなっていますが、これは少々控え目に過ぎるように思います。ブリティッシュ・モデル・サプライの製品は当然乍らイギリス型が中心となります。
172-051:アキュクラフト14ftボックスカー
アキュクラフト製の14ft2軸ボックスカーです。アメリカ型ではやや珍しい2軸貨車で、D&RGWの車輛です。ハートランド・ロコモティヴ・ワークス製のオアカーなどと、車輛の規模としては同程度のようです。
私はD&RGWを嫌っているわけでは無いのですが、判官贔屓が災いして積極的に車輛を買おうというつもりには今までならなかったの余り知識は無いので断定的なことは書きかねますが、この2軸ボックスカーはかなり有名な車輛であるようです。それと言うのも、実はハートフォード・プロダクツ製の木製キットで、全く同じ形式の車輛を持っているからです。
以下、ハートフォードの取説の受け売りとなりますが、この車輛は1871年(明治4年)にビルメイヤー&スモールと言うメーカーで同時に10輛製造されたもので、長さは14ft(≒4.3m)、自重2.4t、積載荷重4.3tと言う可愛らしい車輛です。日本型の762mmゲージの「ワ」などと殆んど大差無い寸法ですが、ちょっと自重は軽すぎるような気がします。
もっとも「同時に10輛製造された」とは言うものの、実際にはD&RGW鉄道はビルメイヤー&スモールに対して2軸車を100輛発注したようですから、残りの90輛はゴンドラカーであるとかフラットカーであるとか、その種の違う車種ではあっても共通の下回りを持つ、と言うことのようです。ハートフォード製品に関して言えばD&RGWのものかどうかは定かではありませんが、デリックカー(HP-K016)や、オアカー(HP-K026)なども販売しているようです。
1852年(嘉永5年)に創業したこの会社はざっと半世紀の間に2000輛程の車輛を作ってその歴史に幕を閉じます。その後も数年間は材木関係の商売をしていたようですから、元来、そちらの方にかかわりのある商売だったのかもしれません。そのせいもあってか木造貨車や木造客車を専門に作っていたようで、どうやら機関車には手を出していないようです。
この車、引き戸が片方に寄っています。点対称にはなっていなくて、開くのは同じ方向です。なんと言うのか、左右の側面共に上り寄りなら上り寄り、下り寄りなら下り寄りに引き戸が開きます。上の写真では引き戸に掛け金が掛かっており、右の写真では掛け金が大きく外れています。その辺りの相違をご覧いただけますでしょうか?
連結器はピン・リンク型と言うか、いわゆる朝顔形です。実際に連結できる凝った代物で、雰囲気も宜しいです。実は、朝顔形連結器が取り付けてある車輛を撮影したのは、模型も実物も、これが初めての記念すべき車輛となりました。
軸受け周辺。軸箱はスプリング可動です。スプリングが少々強過ぎるような気がしないでもないですが、感じは悪くありません。当たり前と言ってしまえばそれまでですが、ブレーキシューも車輪の踏面からずれないような位置に取り付けてあります。安物のダイキャスト製台車のように、イコライザもブレーキシュウも一切合財一直線に並んでいるような興醒めモノではありません。
32110:AMSの2軸フラットカー
アメリカン・モデル・サプライ製の、小型の2軸フラットカーです。貫通ブレーキなぞと言う高級な仕掛けとは全く無縁で、制動する際にはブレーキマン氏が1輛づつ、高々と床上にそびえ立つブレーキホイールを廻して歩かなければならないと言う、何とも嬉しくなってしまうような原始的な車輛です。
製品は塗装済みで、ボックスカーレッドに塗られています。アキュクラフトの1870年型?ボックスカーと色合いは全く同じです。上述のボックスカーの写真と色合いが違っているのは、、、私の色補正の仕方がヘタクソなせいです。ボックスカーの方が仕上げが上等と言いますか、手摺りに色注しがしてあるのに対して、こちらはその種の細工はありません。色注しする場所が無いとも言えますが。所々が白っぽくなっているのはウェザリングではなくて、単なる汚れのようです。癪に障る?ので、余り汚れ落としをしない状態で撮影してあります。少なくとも、擦れば落ちる程度の汚れですので、余り目くじらは立てないようにしたつもりです。
床下はご覧のように、立体感豊かです。台枠と床板部分はプラスチック製のようですが、いわゆるパイピングなどは金属製です。少し力を入れて押して見た際の反発力の具合からすると、材料は真鍮線のようです。この種のパイピング類をプラスチック何ぞで作った日には、あっと言う間に折れてしまうことは必定ですから、この種の破損し易い箇所が金属製になっているのは非常に嬉しいことです。そう言えば、LGB製のコロラド&サザンのストックカーも、トラスロッドはちゃんと金属製になっています。実はトラスロッドとか手摺りの類をプラスチックで作った模型と言うのは、私は大嫌いでして、その点この種の金属部品を適宜使ってくれる車輛は、なんと言うか壊してしまう心配性が非常に低いわけで、ホっとします。
ブレーキシュウはちゃんと車輪の踏面の位置に合って、、、いや、厳密には心持ち程度はずれているんですが、まぁ、ブレーキシュウと車輪の踏面の位置関係は合っていると言い切っても見逃してもらえるであろう程度の寸法誤差程度には追い込んであります。安っぽいダイキャスト製の台車のように車輪の踏面の位置を無視して、台枠とブレーキシュウが仲良く並んでしまうようなデタラメな設計ではありません。
車輪はごく一般的な車軸絶縁のプレート車輪で、この車輪は両絶です。外してみようと思ったのですが、すんなりと外れてくれないので以下、私の勝手な想像ですが、1:軸箱自体は金属製で、2:車軸端はプレーン軸になっている、と思います。軸箱はアキュクラフトの2軸ボックスカーに使用されているものと同じもののようで、スプリング可動になっています。この車輛、アメリカ国内で買い求めると1輛辺り3000円もしない商品ですが、それでも軸箱スプリング可動とは少々びっくりです。安いけれど、かなり凝った作りで満足感は高いです。
但し、「1輛辺り3000円もしない商品」とは言っても、それは模型の代金だけの話です。当然乍ら送料が大幅に加わりますので、実際の支払金額は1輛辺り5000円に行くか行かないか、と言う程度だったように記憶しています。
朝顔形連結器周辺です。この連結器、写真には写してありませんが、連結用の部品も付属しているので、実際に連結させることも可能です。勿論、自動連結解放なんてことはできないし、余り操作性が宜しいと言える代物でもありませんが、相当に出来の良いドローバーと考えることもできます。
R19-1D:BMS製2軸オープンワゴン
Mar 6, 2010.
アキュクラフトのイギリス法人である「アキュクラフトUK」の製品です。車種名は「オープンワゴン」と表示されていますが、要するにゴンドラカーとか、無蓋車とか、その種の車種です。レタリングを信用すれば積載荷重4tと言う事なので、如何にもナローゲージらしくささやかな車輛です。車輪以外は全部プラスチック製の車輛ですが、塗装の艶の付け方が要領良いので、補強金具の部分だけは実際に金属を使っているような印象を受けます。実際には単なる手抜きで、灰色に塗装した車体以外は未塗装のままで恍けているだけだと思いますが、そこまで判りきってやっているのならば中々秀逸な感覚であると言えます。
下の写真でお判りの通り、車輪は2種類付属してきます。製品自体に取り付けてあるのは普通に45mmゲージと言うか、ごく真っ当な2番ナロー(=Gゲージ)用のものですが、イギリス製品らしくSM32用の車輪が付属します。「SM32」と言うのは2番ゲージのナローであって32mmゲージとなる模型の事ですから、具体的には2フィートナローの事を指します。普通の45mmゲージのGゲージは2番ゲージのメーターゲージナローが本来の姿です。実際にはこの辺りはかなり曖昧ですからナローであれば750mmゲージも、762mmゲージも、914mmゲージも十把一絡げです。
2フィートナロー(=610mmゲージ)だけが模型化すると几帳面に32mmゲージになって、それ以外は全て45mmゲージで押し切ってしまうと言うのもご都合主義みたいで不可解ですが、イギリスには2フィートゲージが他国に比べて著しく多いのか、或いはイギリスの人はそこまで几帳面なのか、、、まぁ、この辺りは私の勝手な想像に過ぎないので屁理屈捏ねるのは此処までにしますが、この交換用の32mmゲージ用車輪は途方も無い長軸車輪ですから、東急のデハ3500などのように標準軌化が前提で長軸車輪を履いている車輛には打って付けです。ライブスチーム用として売られているものらしいのですが、車輪はちゃんと両側絶縁になっています。非絶縁車輪だったら思い切ってGゲージを全て3線式化してしまう踏ん切りが付いて良かったかも知れないです。
連結器は初めて見るもので、ちょっと不思議な形状をしています。車体中央にバッファが1本だけ取り付けてあるスクリュー連結器を模したものだと思いますが、フックの動き方などを考えるとベーカー型連結器の亜種と言えなくも無さそうです。他の車輛と併結することを考えてケーディー化するつもりだったのですが、現物を見たらちょっと意欲が後退気味です。ケーディー連結器への交換はかなり大変そうです。
床下はご覧の通りで、余りにも簡単な形状をしていて呆気にとられてしまいます。軸受け周辺は単純ですが、良い雰囲気の外観です。如何にもトロッコ然とした外観で嬉しくなってしまいます。このくらい、綺麗サッパリ省略してくれるならば、簡略モデルでも何の不満もありません。良くを言えばブレーキシュウだけは欲しかった処ですが、それだけですね。
この車輛、品番は「R19-1D」と言うものですが、同じ金型を使った車輛の中に、L&BとSRのものがあります。「SR」と言うのは、いわゆる「サザン鉄道」のことだと思いますが、こんな素人っぽい書き方をしていると私の英国型の知識のなさが益々露呈してしまいますね。英国型音痴は事実だから仕方がないですが、、、。更に突き詰めて行くと、色違いがあったり、同じ品番でレタリングしてある車番違いがあったり、とまぁ、中々複雑ですので一覧表をお目に掛けます。品番だけを頼りに注文してしまうと、どの品番の車輛が来るのか判らないと言う事ですから、通販などで買い求める場合は注意が必要です。私は、この辺りの知識は全くない状態で買い求めましたが、最初から1輛しか買うつもりが無かったので何等支障はありませんでした。呵々。
品番 | ロードネーム・塗装 | 車番 | 備考 |
---|---|---|---|
R19-1A | SR 茶色 | 28304,28305,28306,28307 | |
R19-1B | SR 茶色 | 28308,28309,28310,28311 | |
R19-1C | SR 茶色 | 塗装のみ、車番無し | |
R19-1D | L&B 灰色 | 1,2,8,9 | 「8号」が本コンテンツの車輛です |
R19-1E | L&B 灰色 | 10,11,17,18 | |
R19-1F | L&B 灰色 | 塗装のみ、車番無し |
R19-4C:BMS製2軸フラットカー
Oct 15, 2010.
ブリティッシュ・モデル・サプライ製の2軸フラットカーです。「GW」と言う文字が入っていますからロードネームはグレート・ウエスタンなんでしょうか?。またしても買ってしまったBMS製の車輛です。実は最近買っている車輛はイギリス型ばかり、しかも全てヤフオク出身です。イギリス志向に宗旨替えしたつもりは毛頭無いのですが、私自身が小型車志向なので、やはりこうなってしまいます。全般に、イギリス型だって大型車がないわけではありませんが小型車輛の比率が高いようです。一説によると、日本とイギリスは実物の貨車の世界では2軸車の比率がかなり高い事で有名だったようです。
全体的な雰囲気やデティールの程度は他の車輛と同等です。
床下ですが、相変わらずこの車輛も何も付いていなくて綺麗サッパリしたモノです。
かなり凝った箇所もあって、台枠中央部にメーカーズプレートが表現されています。グラスゴーのR.Y.PICKINGとか言う車輛会社で製造したという想定のようです。ハートランド製の2軸貨車にも同様な小細工が施されていますが、あちらは会社名のイニシャルのアルファベット3文字が表現されているのに過ぎないのに対して、こちらは随分と細かい文字まで表現されています。床下の簡略さに比べると随分と劇的な違いがあります。
最後にこれはちょっとびっくりです。軸箱の蓋に陽刻が施してあります。文字が潰れ気味で判然としませんが、1902年(明治35年)製であることだけは読み取れます。首相がソールズベリー侯爵からアーサ・バルフォア氏、国王がビクトリア女王からヘンリー7世になる辺りに製造された車輛であると言うことです。
R19-11C5:BMS製マン島の2軸3等客車
Aug 20, 2010.
2軸オープンワゴン(ゴンドラカー)に引き続いて買い求めたイギリス型客車です。思えば、気の迷いでイギリス型の車輛は何やら買った記憶が無くも無いのですが、客車を買い求めるのは私の50年ちょっとの人生の中で間違いなく初めてだったと記憶しています。化粧箱のラベルの記載に拠れば「マン島の鉄道の3等客車」と言うことです。機関車やヘリコプターの妖怪変化が出てくる「トーマスなんたら」と言う人形劇がありますが、あの人形劇の設定場所であるソドー島と言う場所の、プロトタイプとなったのがマン島であると言う話なんですが、本当かなぁ。
片側3扉の、いわゆるコンパートメント構造になっている小さな車輛です。乗車定員は20名程度でしょうか?。加悦鉄道で保存されている鉄道庁出身のハ4995が4扉のコンパートメント客車で1067mm軌間用であるのに対し、こちらは3扉で恐らくは2軸オープンワゴン(ゴンドラカー)と同様に610mm軌間用ですから、かなり小振りであることが判ります。右端の「GUARD」と書いてある箇所は、妻板にブレーキハンドルが突出していることから判断して、恐らくは車掌室なんだと思います。「乗車定員は20名程度でしょうか?」と書いたのは、一応は車掌室部分の面積を差し引いてのことです。要するに、この車輛は「ハフ」に相当する車輛であると言うことです。
マン島出身の2軸3等客車の床下です。余りにも簡素なのでびっくりなので、車輪と台車しか床下器具が存在しません。想像をたくましくすると、(1)自分自身には手ブレーキを持たない、(2)洗面所は無い、(3)夜間走行時は天井の灯具入れ?から石油ランプをおろす、と考えれば床下がこの程度にあっけらかんとしていても、それ程可笑しくはないのかも知れません。ちょっと見ると単なる手抜き模型に見えなくもないですが、実物もこの程度の床下の可能性はありそう、、、でもやはり、手抜きすぎますかな?。台枠の出っ張り程度はあっても良さそうです。
同じ連結器を持った車輛が2輛になったので、ようやく連結状況写真?が撮影できました。ご覧の通り、やはりベーカー型的な動作になります。この連結器は下側に解放ピンが垂下していないので自動解放は出来ませんが、取り敢えず現状のままでも自動連結はできます。フックさえ見えなければ単なるスクリュー連結器用のバッファにしか見えないので、チャチ臭い割には気が利いています。
なお、このマン島出身の2軸3等客車にもSM-32用の、32mmゲージの交換車輪が付属してきます。いっそのこと、SM-32に宗旨換えしてしまえば既存の手持ちのGゲージの車体が使えるし、市販部品の多いOゲージの恩恵を被ることができるし、いわゆるメイン2フーターに乗り換えるつもりだったら無駄は無いしアメリカ型とも対立しないし?、、、。とまぁ、出来の良い車輛を見て、ちょっと人生を踏み外しそうになりつつある今日この頃です。呵々。