確かに、「将来の資産形成を目的とした中長期的で安定的な資産運用をしたい」という顧客の53%に対して、「収益分配頻度の高い商品」が売られている。
毎月分配型投信に代表される収益分配頻度の高い商品は「将来の資産形成」には不向きだという、事実上のダメ出しだと受け取っていいと筆者は思う。
(2) 貯蓄性保険商品(特に、外貨建て一時払い保険)
せめて、販売手数料を開示すべきだという金融庁と、収益にとってマイナスになるので開示は嫌だという、地銀を中心とする銀行業界とのやりとりが話題になっている外貨建ての個人年金保険などの貯蓄性保険商品についても、金融庁はレポートで取り上げている。
まず、「銀行における金融商品別の手数料収益を、販売額以上に、保険の占める比率が高く推移している」(p66)という事実を挙げ、この理由を「一時払い保険の販売手数料が、投資信託等の金融商品と比べ、高めに設定されていることが挙げられる」(同)と説明している(暗に、投資信託以上のボッタクリ商品だと言っている)。
投資家としては、この説明だけで、この種の保険を避ける方がいいということが分からなければならない。
加えて、金融庁は、一時払い外貨建て保険に対してとどめを刺す。
さて、この種の商品は、(外貨建ての)保険料全額の最低保障部分と、元本保証のない投資信託により運用される変額部分、さらに外貨建ての死亡保険で構成されている。
レポートは「このパッケージ商品を構成する外国債券と投資信託、(掛け捨ての)死亡保障を別々に購入・契約することでも、このパッケージ商品と同等の経済効果を得ることが出来る」と述べて、この裁定パッケージと、市販の豪ドル建て一時払い保険の顧客における支払いコストを比較している。
結論は、3商品による裁定パッケージの方が「10年で10%程度低くなることがある」とのことだ。