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（鈴愛）えっ貴美香先生の還暦パーティー？
（菜生）うん。　鈴愛も帰ってこれん？
う～ん…　締め切りが。
℡（菜生）たまには会いたいて。それに…。ん？
℡（菜生）律も来るよ。
バイバイ　律。
（律）さよなら　鈴愛。
＜鈴愛と律は５年前の七夕の夜に別れそれっきり会っていませんでした＞
♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
あか～ん。お母ちゃん　どうかしとるて。
ハンバーグやろ　ステーキやろお刺身やろ　五平□やろ朴葉寿司やろおなかポンポンや。（晴）フフッ　よう食べや～た。
＜鈴愛　帰ってきました＞
（仙吉）菜生ちゃんは名古屋デパートの靴売り場に勤めとるやろ？
それから　ほら　あの西園寺さんとこの　あの…。
ああ　ブッチャーな。ああ　そうそう　そうそう！
ブッチャー君は京都の大学卒業して名古屋の名央建設か。
ほんなら　何？　２人とも梟町から通っとるんか？
ブッチャーは金持ちやで名古屋に１人暮らしや。
（宇太郎）そのうち　家継ぐやろな。とりあえずは　修業っちゅう事か。
あれ　律君は　どうしたんやった？
ほれ　律君は　西北大学から京大の大学院に進んだんやよ。今　京都やね。
そうやった。　優秀やな。
鈴愛久しぶりに　みんなに会えるな。
うん。
ほんで　鈴愛は漫画家先生。一番の出世頭や。
あんた　疲れとるとこ　ごめんね。蛭川のおばさんた～に頼まれてね。
いいけどちゃんと読んどるのかなあ。
お前漫画は　うまくいっとるんか？
まあな。
あかんかったら　ここ継ごうかな。
看板娘や。
お父ちゃん　ビール持ってきて。
おっ　おいよ。
あれ　草太　上がっちゃうの？もっと飲もうよ。
いや　俺　いいわ。　朝早い。
＜草太は　大学卒業後名古屋の大型チェーンのレストランエッグシェフ！で働いていました。将来　つくし食堂を継ぐ気なのか？＞
何なの？　せっかくねえちゃん帰ってきたのにさっさと　部屋上がって。
姉ちゃん　うちの現状　知ってる？
ゲンジョウ？
食堂　お客さん　減ったやん。
国道沿いに　チェーンの回転寿司やら中華やら出来て。
みんな　車で　そこ行ってまう。モータリゼーションや。うちの仕出しもあがったりや。
ほやのに　ビール　バカバカ飲んで。
えっ　そんな事になっとったの？
姉ちゃんは　お気楽やな。
家の事は　みんな　俺に任せて。
はあ！？　何　言っとる？
草太の進学のために家のお金　みんな残した。
よう言うわ。　勝手に漫画家なるって　東京出といて。
あんたも　どっか行きたかった？
いや…。
別に俺は何もないけどここ出て　遠く行って夢をかなえるとか…ちょっと　ええな。遥かな感じがして。
遥かか…。
いや　そりゃ　姉ちゃんが大変なのは分かっとるよ。
分かっとるけど…。
ちょっと羨ましいって思った事はあるな。
泣き虫なお母ちゃんや面倒くさいお父ちゃんやナイーブな　おじいちゃんやつくし食堂やカエルになった廉子おばあちゃんみんな見とってくれてありがとな。
♪～
持ってきてまった…。
今　乾燥機　開けてみたら…。
信じられん。
今日着ようと思って…。
お母ちゃん　これ　レダハーや！レダハー！
いくらすると思う？言えんくらいや！
ああ…おかあちゃんも見たら分かる。
何やっとる？どうした？
お母ちゃん　俺　仕事行ってから貴美香先生の還暦パーティー…。
草太　洗濯機回したやろ。
うん。　昨日　おねえ　着たもんその辺に　つくねた…。
お前　何する！
イッテ！　ボケ！　バカ！
やめろ　やめろ！お前ら　いくつや！
あれは　律君やな。
えっ　そうなの？うん。
当ったり前や。　律にいちゃんに会うための　レダハーや。
＜着ていく服がなくパーティーに行けない鈴愛はシンデレラでした。アホの草太のせいで＞
（貴美香）最後に今日は皆さん　本当にありがとう。
楽しかった！
招待状と一緒に届いたと思うのですが　この小冊子。私　残念ながら　自分には子どもは　できませんでしたが１人ずつ　赤ちゃんを取り上げる度にお願いしてこうして　お写真を撮らせて頂いてまいりました。みんな　かわいい。
♪～
ありがとうございました。ほんじゃあ！
待っとる。
じゃあ　先生　また。（貴美香）ありがとう。
お元気で。
あ…　貴美香先生！鈴愛ちゃん！
遅くなって　すいません。
おめでとうございます。
ありがとう。これがブッチャー君やろ。そして　菜生ちゃん。
そいで　鈴愛ちゃん。　律君。
律の方が早く生まれたのに。レディーファーストや。
律　きれいな顔しとる。うん。
律君も来てくれたよ。
今日　もう　京都に帰らないかんみたいやったけどね。
あっ　そうや。
これに　律君　載っとる。え？
何でも　京都大学の律君のおる宇佐川研究室がロボットの研究で賞取ったらしいよ。
あの子　発明家になると思っとった。
すごい。
（貴美香）鈴愛の夢やからかなえたって言っとった。
えっ？　私の夢？
１９の七夕に短冊に書いた？そんな事。
あ…。
♪～
あ…。
それ　君にあげよう。
律君　夏虫の駅から帰るって言っとったよ。
（菜生）貴美香先生この花全部　持って帰り…。
鈴愛！　遅かったねえ。
菜生！　車！　車！
＜律の声がしていた。たとえ　どんな雑踏の中でも律の声を探し当てた。懐かしい君の声。君の声は　私を包む。片耳しか　聞こえなくても私に必ず届くのだ＞
ありがとう！（菜生）待っとる。うん。
律！
（笛の音）
♪～
ひどい格好…。
♪～
鈴愛。
♪～
律の夢は　私の夢やったもん。
鈴愛の声　聞いとった。懐かしい声。
えっ　結婚！？ジャスト　マリード…。
一旦　連載打ち切られると次　始めんのはなかなか大変なんだよ。
逃げたやつに何が分かる！最後のチャンスだ。
漫画を描け。初めて　漫画を描いた時のように。