(2)敬語で自分の身を守る

 “被害者ぶる人”に反論するときは、乱暴な言葉を使わず、礼儀正しさを前面に押し出すことを徹底したい。 たとえば、次のような言い方で声を荒らげてはいけない。

「ウソをついているのはおまえじゃないか! とぼけるつもりか?」
「ミスを私のせいにするな。失敗したのは、おまえがバカだからだ」

 このように乱暴な言葉遣いで問い詰めると、最初の問題はいったん棚上げされて、「ひどい言い方で脅された」「誹謗中傷されて傷ついた」と、被害者のふりをする材料を新たに与えてしまう。

 これでは逆効果なので、反論するときの言葉遣いは、できるだけ丁寧なほうがいい。

「何か記憶に間違いがあるのではないですか」
「私は自分の仕事を100パーセントこなしました。結果が出なかったのは、あなたのやり方に問題があったからでしょう」

 内容は辛らつだが、このように丁寧に伝えれば、少なくとも言葉尻をとらえられることはない。“被害者ぶる人”は新たに被害者を装う材料を常に探しているので、こちらが丁寧な言葉遣いをする必要がある。そうすれば、反撃しつつ守りを固められる。

 敬語なんて堅苦しいと考える方がいるかもしれないが、敬語は危険物を触るときの手袋のようなものだ。“被害者ぶる人”は取扱注意の危険物であり、素手で触るとケガをする。 かといって無視するわけにもいかない。その点、敬語は相手との間に適度な距離感をつくってくれる。この距離感が、“被害者ぶる人”から自分の身を守る鎧になることをお忘れなく。