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（藤堂）裕子ちゃんの話よね。
（ドアベル）（シロウ）いらっしゃいませ～。
先生　待って下さい！
先生　ステイ！
＜ボクテ君は　３年前に秋風先生を裏切りよその出版社に原稿を売りました。そして　破門になりそれ以来の再会です＞
♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
（秋風）今週号の「女光源氏によろしく」３ページ目４コマ目のアングルが弱い。ボクテだったらもっと　できるはずだ。
先生…。
単行本になった時に直しておきなさい。
先生　ありがとうございます！
すいません　ノコノコおもかげくんだりまでやって来て。
くんだり？
どこかで　ここに来れば先生に　お会いできるかと…。
いや　小宮の話なんだろ？
（鈴愛）はい。
ちょうど　よかった。
楡野にも話を聞きたいと思っていたところだ。はい。
ボクテも　小宮とは連絡取り合ったりしているのか？
はい。　ちょくちょく。そうか。
師匠の私には言えなくても同期の友達には言える事がある。聞いてやってほしい。
もし　できたら　ボクテの方から講談館出版で小宮の道を探ってやってほしいと思っていた。
いえ　先生僕も　それを考えてました。うん。
先生。　先生から描けって言ってやって下さい。
ちゃんと描けって。
それが一番ユーコを励ます事になるかと。
ただ　私は　そんなに簡単にはいかないと思っている。
♪～
（宇太郎）きれいやなあ。
（晴）うん？五平□の染み一つない。
読まれとらんっちゅう事かな？
お客さん　大人の男の人が多いで。
重版　かからんな。かかっとる巻もあるよ。
新刊は　かからんな。草太が言いよった。
重版かからんようになったらやばいって。
（仙吉）大丈夫やろ。そのうち　かかるわ。
あ～　あの子も　もうすぐ２５やでね。そんななるか？
結婚　しんでもええんかね。
（裕子）これが　フィリップサンダー。
これが　マルタンマックイーン。
すごい…　触るの初めて。
ものがいいね。おしゃれ木田原とは違う。
洋服　貸してあげるからさ鈴愛も合コンした方がいいよ。
何しゃべっていいか分からん。ニコニコしてればいいのよ。
それ　面白いの？
鈴愛も若くて売れるうちに男　見つけた方がいいんじゃない？
女も腐るよ。私　いい人　見つけちゃった～。この家具洋二さんが輸入したのよ。デンマークにフュン島っていうきれいな島があって　そこから。
浅葱洋二っていうんだ。
家は仙台の老舗の有名な和菓子屋でお金持ちなの。
あさぎやって聞いた事ない？デパートとかにも入ってる。
洋二さん　青山に　オフィスとマンション持ってて　広いの。そこで暮らしたい。
ここじゃ駄目なの？あっ　ねえ　見て。インテリアコーディネーターの教材。
勉強始めようと思って。　楽しそう。
専門学校とか行くの？インテリアの。
悪い？え？
洋二さんにお金出してもらって学校行くの　悪い？
出してくれるって言うの。ユーコ…。
鈴愛がその才能で漫画家続けるように私は　この美貌と…って言うほど　きれいじゃないかもしれないけれど若さと美しさで手に入れたんだよ！　洋二さんを！
自分の力で！　そうでしょ！？悪い？
結婚　するの？
うん…。
漫画は　どうするの？
もう　私　疲れちゃった。
え？
漫画ってさゼロから作るじゃない？　お話。
うん。
何を輸入するか決める方がもう出来上がってるものから選ぶ方が　楽なんだ。
ゼロから何かを作るよりずっと楽だと思う。
♪～
（裕子）こんな仕事　もうやってられない。
服買っても　私たちが外に出られるのは月に一度か二度。
あとは　漫画描くだけ！
買った服　着ない間に季節が変わる！
一日にしゃべる人が宅配便屋のおにいさんだけ！
私たちは　架空のラブストーリーを作るためにいくつの自分の恋を犠牲にしたんだ？
（裕子）知り合っても会えない！結局　原稿に追われてドタキャンばっかで次はない！
ユーコ…。
スケジュール帳は真っ白。
何の予定も立たない。
私は　真っ白な日が好きだ。は？
白い日がうれしい。　何にもない日。
ただ描けばいい日。　描ける。
鈴愛　それは　オタクと一緒だ。引きこもりだ！
結婚もできないし子どもも産めない！
想像の世界の人になってしまう！漫画を描く機械だ。
それでいい！上等！　機械でいい！
違う　鈴愛！
何のためにこの　かわいい顔がついてる？
何のためにこんな白い肌をしてる？
着飾って街を歩くためだよ　鈴愛！その　かわいらしい声をひと言も発さない日があるなんて…。
ユーコ　機械じゃない。
機械はみんな　同じもんしかできん。
漫画は　その人それぞれ違う。
私は　おしゃれをしなくてもいい！
はやりの場所を知らなくてもいい！
だってさ　だって漫画を描くって　物語を作るって人を感動させるって人生を超えてる！
世界は私のものだってきっと思える。
私が…　私たちが秋風先生のような漫画を描いた日にはきっと　そう思える！
ユーコ　頑張ろ！
今…。
今　逆にはっきり分かった気がした。
私は…　私のいるとこはここじゃない。
ううん私は　ここには　いてはいけない。
♪～
やめたい？
はい。　やめたいです。
もう　漫画に未練はないのか？
先生　ごめんなさい。
駄目な人間と思われてもいい。私は　もう苦しい。　楽したい。
駄目な人間なんて思わないさ。
菱本から　ちらりと聞いたが結婚するのか？
あっ　はい。
一度　家に戻るのか？
あっ　いや　それは…。
だったら　一度　連れておいで。お相手を。
え？
１８から２４まで　ここに住んだんだ。
小宮さえよければここから送らせてほしい。
ここから　お嫁に行けばいい。
先生…。
♪～
昨今のはやりはこんなラインか…。
ふ～ん。
はあ…。