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♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
（戸の開閉音）
（裕子）鈴愛の好きな　ソーセージマヨ。帰りにコンビニで買ってきた。
朝ごはん食べてないでしょ？
（鈴愛）何の帰り？
七夕の笹の葉　短冊川に流してきた。　ボクテと。
あ…。なんて　嘘。
川に流しちゃいけないんだって。
条例で決まってる。だから　白い紙に巻いて捨てた。
そうすると　願いかなうらしいよ。
私は　ま～　あかん。
バイバイ　律。
さよなら　鈴愛。
♪～
ユーコ…。うん？
ユーコ！
豪快な。　子どもか？
背中　さすさすしてて。
（裕子）うん　してるよ。
息をするのも苦しい。
息をする度　泣いてしまいそう…。
何だろ　このデジャブ感。
バリエーションは違えど２回目な感じ。
ん？
ダブルで来たって事か…。
鈴愛　言いたくはないが鈴愛が　マア君に振られた日が６月の終わり。
そして　律に振られたのが昨日　七夕。
２週間で２回振られてる。
本当だ。　ダブルだ。気が付かなかった。
２週間に２回　１週間に１回このままで行くと私は　死ぬまで何回　振られる事になる？
あっ　食べるの？
（ノック）
（裕子）あっ　ボクテ。（藤堂）いい？
いいよ。
あっ　これ　いくら？　払う。えっ　あっ　いいよ　いいよ　いいよ。
鈴愛ちゃん　大丈夫？僕ね　本当の事　言うと律君と鈴愛ちゃん　絶対にくっつくと思って

たんだよ。
私も　本当の事　言うとそう思ってた。
ような気がする。
ボクテ　メロンパン頂戴。
ちょっと　鈴愛　大丈夫？
♪～
（ドアの開閉音）
（秋風）どうした？
トイレです。　多分　泣いてます。
急に気持ちが込み上げるんです。
♪～
あと　これだけですよね？はい。
♪～
楡野。
はい。
すいません。
描け。
え？（秋風）泣いてないでいや　泣いてもいいから　描け。
漫画にしてみろ。　物語にしてみろ。
楽になる。　救われるぞ。
救われる…　ですか？
ああ　創作は　物語を作る事は自身を救うんだ。
私は　そう信じてる。
物語には人を癒やす力があるんだ。
ねえ　今日の雲孫悟空が乗りそうな雲。
（裕子）うん　本当だ。
律は　雲に似てた。
ん？
風の流れで形が変わる。　ふわふわ。
雲の上で寝たら安心するって思ってた。
でも　雲が律って思ったらいつだって　一緒にいられるな。
離れても　上見たらいる。
バカだね　鈴愛は。
最後に　律　ここまで送ってくれた。
うん　聞いた。僕も聞いたよ。
まだ　しゃべっとらん事をしゃべる。
鈴愛　岐阜弁。
何となく。いいよ　岐阜弁。
気が付いたんだ　私。
こっから　標準語？
触れた記憶が少なかった。
触った記憶がない。
それが　私と律や。
手をつないだ事もないの？ない。
あ…　小さい頃はあったかもしれん。　忘れた。
触れたいとも思わなかったの？
よう分からん。
マア君の事は　触れたいと思った。
本当に好きだった。
それは　きっと　恋だ。
うん…。
律君と鈴愛は　もっと深いところでつながってたんだよ。
恋なんかよりもっともっと深いところで。
それは　何色？
色？　色と来たか。
う～ん　色は　ちょっと分からん。
ボクテ　何やってるの？あっ　ごめん。
いや　鈴愛ちゃん　自分で気付いてないかもしれないけどあんまり　いい事　言ってるから

忘れないように　メモしてた。
これ　絶対　使えるよ！ネームにすればいいよ！
これから君たち３人が描く漫画は私がいいと思えば随時　「月刊ガーベラ」に持ち込む。
いつ　何どき　見いだされるか分からない。
心してかかれ。
（２人）はい！
では　今日は鈴愛から。ネタを話せ。
「月が屋根に隠れる」。
おっ　いいタイトル。
男女が別れ話をしていると月が見えていて…。
いつになく大人っぽいね。
女性は　ず～っと目の端に月が引っ掛かってるんです。
月は　満月か？
満月…　に近い。
何か　作り物みたいなペカペカした月で…。
あっうさぎが餅つきそうな感じです。
２人で　小さい頃の　自分たちの思い出話なんかをしてるんです。
最後は暗くなりたくなかったから。
楽しい気分で別れたかったから。
私は　律に「あっ　見て　月きれいだね」って言えなかったんです。
何で？
思い出縛りだったから？
思い出しか言っちゃいけない。
今の事は言っちゃいけないような…。
もう　２人の思い出増やしちゃいけないような…。
何か　言えなかったんです。
楡野　今だ。　今　描け。
お前　絶対　いいものが描ける。
お前　才能がある！これは神様がくれたチャンスだ。
いや　律君がくれたチャンスだ！
律…。
律って口に出したら悲しい…。
頭の中で思うより　ずっと…。
もう　しゃべるな　鈴愛。しゃべらなくていい！
もったいない！　漫画にするんだ！
それを描け！
鬼…。鬼上等！　描くんだ！
♪～