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「当たらなければどうということはない」問題
「当たらなければどうということはない」は、言うまでもなくシャアの名セリフだけど、これは実はある種のゲームでは大問題になるという話。
プロ向けの話で、普段は会社の人間にしかしゃべらないようなコトだけど、なんとなく書いておくことにした。

今まで仕事をしてきて「こいつは出来るようになる!」と思ったヤツが、運営をしているゲームで起きて、困って聞いてきた話なので、一般的におこる問題なのだろうと思ったから、ここにメモっておく次第だ。

RPGやSLGなど、キャラごとに属性があるゲームでよくあるパターンで「敵の攻撃は当たるけれどHPや防御力が超高い」と「HPや防御力は低いけれど、敵の攻撃が当たりにくい」というのがある。
ここは分かりやすく前者をタンク型、後者をシーフ型と呼んでおく。
そして、たいていは(特に運営があるゲームでは)シーフ型が有利になりすぎるというのが、当たらなければどうということはない問題


なぜか シーフ型が有利になりすぎることが多々あるのか?
攻撃を回避するとダメージは0なのでペナルティがない。つまりタンク型と比べると、回避に成功できれば、ペナルティがないので、ほっておくとバランスがシーフ型によりやすい。

ところで回避できるならと書いたわけだけど、例えば回避率が30%、当たると50%のHPがぶっ飛ぶのをシーフ型の標準設定だとか考えてみる。
すると、すぐに「50%はやばくね?」となる。
なぜなら複数の敵がいて複数の敵から同時に攻撃を受けるとしたとき、2回連続で当たる確率は0.7*0.7=0.49。確率1/2で死ぬことになってしまう。
つまり、あまり脆くすると、そのキャラクタを育てること自体が難しくなってしまうわけだ。
じゃあというわけで、HPの30%がぶっ飛ぶ設定にして、運が悪いと3回、運が良くても4回の設定にすると、一回ごとのダメージ期待値は30*0.7=21%。
タンク型はこれより固くないと成り立たないって話になるが、例えばタンク型の味付けを強くして、シーフ型の50%のダメージとか考えると、21%*0.5=10%しか食らわないことになり、今度は「およ? タンク型、ちょっと固すぎませんかね?」って話になり始める。

結局、タンク型とシーフ型を比べたとき、シーフ型をそれなりに育てられるぐらいの強度を維持してタンク型の味付けを強化すると、今度はタンク型が固くなりすぎるといった問題が起こりやすく、またその逆も然り。
加えて、シーフ型の回避は、敵の必殺技もたいてい回避できることになるので、タンク型では致命傷の攻撃も防げてしまったりする。結果、シーフ型の方がお得になりやすい。
そもそもタンク型とシーフ型をうまくバランスをとって、しかも味付けをしっかりさせて両立させるのは難しく、どっちかが極端に有利になりやすい、という話だ。

と、これが第一の問題。

まあここまでなら、バランスの問題なのだけど、運営のあるゲームではさらにシーフ型はゲームデザイナーの想定を超えて、回避力を得てしまうことがとても多い。
というのも、アップデートでシーフ型用の目玉の回避アイテムを出しているうちに、気がつくと総計では相手の命中率が1%になってました、なんてことが起こるのだ。

これをプロがやらかすんですか? と突っ込みたくなるかもしれないが、まあ目玉品を全部持つなんて想像しないとか、ゲームデザインのバランシングの構想が初期からズレてて気がつくとそうなってしまっていたってことが多い。

実際、僕が相談された「どうすりゃいいと思います?」ってのもそうで、話を聞くと、ある日、ふっと気がつくと、攻撃を全く食らわずにイベントをクリアしている人たちが現れていた、ってパターンだw

では、こういう問題をどのように解消すればいいのか?
比較的オールマイティなメカニクスが一つある。
まず特別な「意志力」とでもいうものを用意する。これは基本的には最大値は増えず、自分ではコントロールできないパラメータにする。そして、回避すると意志力が下がっていき、意志力に応じて、命中率は上がるとすればいい。
つまり連続で回復しきれないうちに攻撃を受けると、どんだけ装備とか良くてもくらってしまう、という仕掛けになるわけだ。

とは言っても、こういうパラメータを増やすと、バランスをとる難易度は跳ね上がるので、これを入れる時には、ちゃんといろいろなものを同時にチューニングするためのパラメータにするのを前提にして、パラメータの関係をしっかりデザインすることをお勧めしておきたい。

また、このパラメータには一つ弱点がある。考え方が抽象的なパラメータなので、チュートリアルでの説明が難しい。
とはいっても、このあたりはデザイナーの腕の見せ所なのだから、喜びいさんでデザインしてもらいたいところだ。

そんなわけで、最初にされた相談では「あー君はこの<当たらなければどうということはない>問題を知らなかったか…それは…解決は相当メカニクスをいじらないといかんので、現在のゲームちょっと根本的には解決の仕様がないと思うな」が答えになってしまったのだった。

というわけで、ゲームの多様性を殺しかねない問題についての、簡単なメモ書きであった。
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