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(ドアベル)(シロウ)いらっしゃいませ~。
(鈴愛)律…。
♪~
♪「おはよう 世の中」
♪「夢を連れて 繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の 歌声も」
♪「線路 風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪~
(清)初めまして。
あ…。
初めまして。
いや 私は知っててうちの学校であった弓道の試合見に行ったから。
ここ ケチャップついてるよ。
あ…。
反対。
あ…。 ああ どうも。
あっ 弓道 インターハイに出た人って有名で。
弓射るとこ かっこよかったです。
ありがとう。
絵まで描いてくれたのよね。
あ… 見たんですね。
あんまり うまく描けてなくて。
ううん 上手だったわよ。
(律)あそこ 空いてる。
(裕子)初めまして。
私 彼女の友達で小宮裕子です。
あっ 律君 この間はスープすごくおいしかった。
ごちそうさま。いや。
スープ?
律君 鈴愛にスープ作りに来てくれたんです。
へえ~ 料理なんかするんだ。知らなかった。
しないよ。 気まぐれ。
(藤堂)何? 裕子ちゃん。わざと波風立てるような事 言って。
ううん 上手だったわよ。
何で上から目線?
(藤堂)上だからじゃない?鈴愛ちゃんより。
女としてランクが。おい。
私にも 今度作ってよ。ん?
スープ。
いいよ。
♪~
(2人)プラン・ソレイユのプチシューでございます。コーヒーは コロンビアとグァテマラのブレンドです。
(秋風)私は 何は どこと決めています。
大福は よしや吉兆堂シュー・ア・ラ・クレームはプラン・ソレイユ。
ここのカスタードクリームは日本一です。
おいしそ~!
(2人)どうぞ召し上がれ~。
じゃあ 味わってるとこ悪いが裕子君から いこうじゃないか。
はい。
私は引き続き シチュエーションコメディーで考えていて…。
<秋風塾のメソッドは独特です。秋風羽織は弟子たちに最近 生きていて実生活の中で気になった事を必ず発表させます。そして それを物語に昇華させるという訓練をしています。なぜなら 秋風羽織が最も大事に思うのがオリジナリティーとリアリティーだから>
さて では 鈴愛は?
最近 心に刺さった事は?
爪に…。爪?
律の爪に きれいな すみれ色のネイルが塗られていて…。
左の…。
左手の薬指です。
一本だけ。何で?
清さんが塗ったの?そう 一本だけ。
ふざけて きっと 清さんが。
この前 おもかげで清さんを見た時同じ色の爪でした。
おそろい。
そういうのが生きたエピソードだ!
どんどん 頂け!お前 その時 どう思った?
律君のその すみれ色の爪を見た時。
その指を折ってやりたいって思った?
怖っ。(秋風)どうなんだ?
折ってやりたいとは思わなかったけど…。
次にスープを作りに来てくれた時にばんそうこうが貼ってあって律は 私が失恋したのに自分だけ うまくいってるのが申し訳ないからって。
自粛って言ってました。
♪~
(ドアの開閉音)
ただいま。お帰り。
「恋人たちの予感」貸し出し中だったから「レインマン」借りてきた。
あれ?ん?
あ~。
この前 料理した時取れちゃいけないと思って。
バカね。 マニキュア取れないよそんな事じゃ。
<とっさの嘘でした。とっさの嘘ほど罪深いものはない>
マア君に振られた事よりも何よりも私は この1週間で一番心に残った出来事は律の… 一本だけの爪の色です。
私は この先 大人になってマニキュアを塗るようになっても。
鈴愛 もう大人だから。
この先 マニキュアを塗りたいって思ってもすみれ色は選ばない気がします。
なかなか いいじゃないか。正直でよろしい。
自分の心が分からなかったので余計に心に残りました。
先生。
自分の心を見つめ続ける事が創作の原点ならこれは…苦しい仕事ではありませんか?
見つめている時はな。
だが それが美しい物語に昇華した時にそして多くの読者が喜んでくれた時に君の その心も 癒やされるのだ。
1 2 3 4 56 7 8 9 10。
11。
私の11本目の指。
(清)出てきた。
こういうの ウッとなる?
ううん。
俺 そういうの嫌いじゃないから。
湿度高い系 大丈夫なんだ?
いっそ 好きかも。
それこそ 恋愛の醍醐味でしょ?
大人…。
もっと 子どもと思った?
…かな。 かわいい顔してるから。
清の11本目の指は私が持ってますので。 いつでも。
♪~
<恋をして律君は大人になりました。そして 鈴愛は置いてけぼりです>
<そして 七夕がやって来ました>
君たちの欲は すごいな。一人 何枚書くつもりだ?
♪~
鈴愛 何 書いてるの?ん? ないしょ。
(藤堂)え?え?
何でもないよ。
(菱本)は~い お待たせ~!
(2人)お待たせしました~。
うわっ! すごい! よだれ出る!たまらん!
松阪牛 A5ランクだ。
散英社からのお中元よ。
まっ 散英社のボーナスは私の印税で出ているというからな。
肉は 牛 一頭買いならぬ一頭送りでお願いしたいぐらいだ。
先生 いろいろと聞きづらいです。
しかし 楡野の誕生日とはな。
七夕に生まれるとはラブストーリーを書くために生まれてきたようなやつだな。
これからです。 頑張ります。
あっ あれだ。
せっかくだから 律君と正人君も呼んでやったら どうだ。
先生鈴愛が正人君に振られた事を今根こそぎ忘れていましたね?
いや…。
マア君は吉祥寺に引っ越したんですよ 先生。
そうなのか?はい。
おもかげのマスターがさみしがってました。
まあ でも どうせはやってない店なんで一人でも全然困らないみたいですけど。
じゃあ 律君だけでも呼んでやったら どうだ?
この肉今日中に食べた方がうまい。
あっ そんで ついでにケーキ買ってきていいぞ。
本当ですか?
誕生日ケーキだ。
律 いるのかな。
今日 誕生日なんだよね 律も。
知ってる。 前に話聞いたもん。
あっ そうか。 私 話したか。
(笛の音)
律!
お誕生日おめでとう!
行こう。
毎年 お誕生日おめでとう言い合ってたんだ。
・(窓が開く音)
清さん…。
やってまった…。