トップレベルの選手もそれは自覚している。
「注目度が低いのは試合を観る機会が少ないから。自分たちがそうだったように1度でも観れば面白さを解かってもらえるはずだ」と考え、それに応えられるよう自分たちがレベルアップし見応えのある試合を見せようと努力を重ねているわけだ。
また、その根拠となるのがアメリカでのフットボールに対する絶大な人気だ。ともに野球が人気を誇っているように日本とアメリカはファンの志向に近いものがある。そのアメリカで最も人気があるのがフットボールだ。アメリカの4大プロスポーツに数えられているのはフットボールのNFL、野球のMLB、バスケットボールのNBA、アイスホッケーのNHLだが、年間の総収入を見るとNFL=120億ドル、MLB=90億ドル、NBA=50億ドル、NHL=37億ドルだ。NFLと日本のアマチュアフットボールでは比べものにならないほどのレベル差があるものの、見応えのある試合をすれば面白さは解ってもらえると信じて、選手は頑張っているのだ。
また、実際にレベルも上がっている。知名度は低いが1999年から4年に1度の間隔でアメリカンフットボールのワールドカップが開催されるようになった。その第1回と第2回は日本が優勝。2007年の第3回大会から本家のアメリカ(アマチュアチーム)が出場するようになり3連覇しているが、それでも日本は2位、3位、2位と上位に優勝争いに加わっている。フットボールでは日本はアメリカに次ぐ強豪なのだ。
国内の試合もレベルアップしている。出色だったのは2年前の2015年シーズンの頂上決戦で、甲子園ボウルは立命館大と早稲田大が28―27、社会人ナンバー1決定戦のジャパンXボウルはパナソニックと富士通が24―21、社会人と学生の日本一決定戦ライスボウルはパナソニックと立命館大が22―19と最後までどちらが勝つか分らない息詰まる好ゲームになった。これらの試合を観た人は初観戦であってもアメリカンフットボールファンになったはずだ。
そうして競技関係者それぞれが、アメリカンフットボールの人気を高めようと努力をしてきたところに今回の悪質タックル問題が起きた。