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(秋風)私の ネームを知りませんか?
(鈴愛)ゴミかと…。捨てたの?
はい…。(秋風)もし見つからねば君も切腹してもらう!
短い間でしたがお世話になりました。
♪「お腹がへったよ」
(秋風)やってまった…。
♪~
♪「おはよう 世の中」
♪「夢を連れて 繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の 歌声も」
♪「線路 風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて響け」
♪「つづく日々を奏でる人へ」
♪「すべて超えて届け」
♪~
<え~っと 秋風先生 あの日…>
♪「出来ました」
フッフッフッフッ 我ながら 天才。
(電子レンジの音)
フフッ 俺のネームも…。
やってまった…。
しかも…大して面白くない。
(晴)ウーちゃん鶏肉買い過ぎやよ。
(宇太郎)フフッほやけど もう2キロ買ったら2割引とか言うから。
(仙吉)商売うまいもんなあ肉のイトウ。(宇太郎)おう。
ただいま。
(宇太郎)鈴愛。 鈴愛! どうした?
眠い。 今は寝かせて。
♪~
簡単に説明をします。
失敗をして クビになりました。
以上です。
クビって 鈴愛…。
今は寝たい。
おやすみなさい…。
おやすみなさいやないよ。
(菱本)先生。
みんなの背中から聞こえてくる声がありませんか?
声なき声がしませんか?
ここで非を認めなかったら先生は 人として おしまいです。
誰もついてきません。
次回からバックは真っ白です。
誰も 先生の背景は描いてはくれません。
これ 鈴愛さんのカケアミです。
すばらしい!
私 今日は これから講談館出版で大事な打ち合わせがありますのでご一緒できませんが是非 お迎えに。えっ 岐阜まで行くの?
ただ ここで一つずっと聞きたかった事を聞いてもいいですか?
先生は 楡野さんを 楡野鈴愛を五平□のためだけにもしくは 才能ある人のつなぎ炭水化物要員としてという理由だけで雇われたのですか?
ん? どういう事?
鈴愛さんには何らかの才能があると踏んだからではないのですか?
ん? あいつ 漫画描いてたっけ?
本気でおっしゃってます?最初に会った時に持ってきてたじゃないですか漫画!
ああ… あっ! ああ~…。
どんなんだったっけ?あいつの漫画って。
マジっすか?
<ちょうどよかった。秋風先生も忘れているので鈴愛が秋風に見せた漫画のタイトルは「神様のメモ」。実際にあった事にヒントを得て作られています>
(律)名前 聞いてもいいかな?伊藤 清。
ありがと。
<律と清が再会するのは運命のはずだったのですがしかし 神様にとってはそれは たくさんある作業のうちの一つで何せ まあ 神様いろんな人の運命を運ばなくてはいけませんのでねそれ メモっといたんですがそのメモが ある時いたずらな そよ風に飛んでってしまいます。そのような神様の手違いというか 怠慢で律と清は 二度と会えないまま終わるのかと思うと…>
<55歳で再会するという…>
55歳で再会… ホラーか?
先生。でも 面白いな。
先生 それ読むの 2回目ですよ。
名古屋のトークショーで読んだじゃないですか。
ネームを切らずに描いた事と鉛筆描きで この私に見せた事の衝撃しか残っていない。
私は 私は…自慢じゃないが 天才にありがちな超のつく方向音痴なんだ。
そんな 岐阜の山奥の奥の奥のミミズク町なんてたどりつける訳がない!
先生 もはや間違ってます。梟町です。
まあ 確かにあそこは私でさえ迷うほどの山奥。
同行させましょう岐阜をよく知る人に。誰?
草太おねえちゃんは 熟睡してるから。
あ… はい。
♪~
寝とる。
寝たふりやな。寝たふりや。
しょうがない子や…。
・ごめんくださ~い!こんにちは。
(草太)律にいちゃん!どうも。
あっ 律君!突然 すいません。
どうしたの? 上がって 上がって。
あ~ ちょっと友達 外で待たせてて…。
実は今日お客さんをお連れしてて…。
お客さん?
秋風先生です。
秋風羽織です。
汚い所ですがこんなとこしかなくて…。
じゃあ おばさん 僕は これで。えっ!?
何か先生 大事な話があるようで。
今から うちに顔出してきます。(晴)あ~ 和子さん喜ぶ。
じゃ 失礼して。
あ… どうぞ。
すてきなお召し物ですね。うん。
大島ですか?いえ 西陣です。
富士山より西は和装で行くと昔から決めております。
孫が も… 申し訳ない!何をやらかしたかも知らんが失敗したと今朝 帰ってまいりました!
このとおり!
このような しがない食堂を営む身ではございますが孫に代わってできる事は 何でも!
いえ…。
あの… いえ 私も このとおり!
あの… 本当にすみません!
あの子は そそっかしい子でしてきっと大変なご迷惑を…。
(宇太郎)こんなとこまでいらっしゃるとは先生も怒り心頭かと…。家族一同 覚悟はできております!
いえ…。(せきばらい)
あの… あの子 一体何を?
ん…。あっ 言えないほどの事!
私の育て方が悪かったんです!
あの 本当にすみません!
いや まあ…。 あっ。
これ 龍屋の羊羹。
お土産です。
あの… 鈴愛さんは?
(戸が開く音)
(晴)鈴愛。 鈴愛! 起きて!
起きろ! 起きて!
イッタ~…。
もう学校?(晴)何 言っとる。
秋風先生 見えた。
先生?
秋風先生?うん。 急いで。
こんなとこまで追いかけてきた。
新宿まで一人で出れん方向音痴の先生が。
殺される。
お母ちゃん 私 殺される!
あんた 何やったか知らんけどおかあちゃんが一緒に謝ったる。
そんで あんた何したの?
♪~
原稿… 捨てた!?
この子の不始末は私たち家族の不始末です。
できたら どうぞ孫の命だけは…!
(せきばらい)
ご家族 仲がよろしく大変結構。
私は家族がいませんで犬だけが友達でした。
その犬も 皆死んだ。
一匹は うさぎでしたが。
鈴愛さん。
なくなったネームの事だが…。
はあ…。
あなたが捨てたものは本物のゴミでした。
えっ? え… じゃあ ネームは!?
私が酔っ払って電子レンジの中に…。
まことに申し訳ない。ネームはありました。
私の勘違いでした。