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大量懲戒請求に対する損害賠償請求訴訟はやはり問題だ 正義を振りかざすことにネトウヨ同様の恐ろしさがある

 根拠のない大量懲戒請求に対し、佐々木亮弁護士と北周士弁護士が訴訟提起をしたことが大きく報じられ、さらに神原元・弁護士、嶋﨑量弁護士も訴訟提起をするそうです。

 これら訴訟を起こした弁護士は決まって正義を主張しています。







 この大量懲戒請求をした人たちはネトウヨの排外主義者だ、だから戦うのだとか、これは民衆の闘いだとか、弁護士自治を守るためだとか、あるいは弁護士でない人がこのようなことをされたら戦えないが弁護士だから戦えるのだから戦うの義務だ、などという主張をするのですが、全くピンときません。
 大量懲戒請求の背景にあるのはそうした排外主義的な民族蔑視のような思想があるかもしれませんが、それとこの大量懲戒請求訴訟を提起するかどうかは別問題です。
 この損害賠償請求訴訟では、大量懲戒請求によって精神的苦痛を被った、業務に支障を来したということしか理由にならないわけですから、これを正義を振りかざすのはどうなのかとも思うわけです。

 弁護士自治を守ると言ってみたところで、こういった訴訟提起はかえって、このネトウヨ以外の人たちに対する懲戒請求を萎縮させるには十分であって、それこそ弁護士自治の機能が阻害されかねません。
 どう考えても弁護士自治の問題ではなく、請求しているが額(訴訟で1人に対し60万円)やその方法(謝罪しても1人5万円を払わなければ訴訟提起するという脅し)は私怨を晴らすだけにしか見えません。
 しかも明らかに過大な請求なわけです。
 共同不法行為であれば全体としての損害がいくらなのかということになりますが、それが1人あたりの弁護士の損害が計3億円というのはいかがなものかと思います。
 中には共同不法行為が成立かしなかいは見解の違いがあるところだという意見も出ているようですが、しかし、実態はどう考えても共同不法行為です。

 「余命3年ブログ」が懲戒を募り、とりまとめる。
  住所、氏名だけが異なるものを一括して弁護士会に送付する。
 但し、「余命3年ブログ」主は請求には加わらない。

 これで共同不法行為を否定する方が難しいと思うのですが。一括大量懲戒請求だからこそ問題になっているのです。
 私のところにも大量懲戒請求とは別に個別にブログ記事に問題があると具体的に指摘した懲戒請求がありましたが(もちろん懲戒不相当になっています)、これ自体が懲戒制度の下では違法とは言えないわけです。

 仮に損害賠償請求が認められるとしても中の一部の被告がある程度支払った場合(訴外で既に大分、受け取っているようです)、既に損害は補填されたということになれば、さらなる請求は過剰請求になりますし、さらに訴訟提起を突きつけての請求であれば恫喝と言われても仕方のないものです。

 神原元・弁護士の民衆の闘いなどと言っているのは、もう別世界に行ってしまっている感があります。
 私が大量懲戒請求に対する訴訟を批判すると、お前は背景にある民族差別をわかっていないなどと言ってくる(コメントしてくる)のはそうした動機によるものですが、この大量懲戒請求の件を離れてしまっていて、そこにあるのは相手を叩き潰せという発想でしかなく、こう言っては何ですが、ネトウヨとネトサヨの狭い世界での争いにしか見えず、どちらも怖い人たちだなと思うわけです。

今回は、どちらも煽り、煽られという感じで同じに見えてしまう
朝鮮関東大震災虐殺韓国


 リベラル系と言われている人たちの中にもこの弁護士たちに喝采を送る人もいますが、それは考え直した方がいいです。リベラル系は今は少数派であり、自分たちの主張が通りにくい政治状況という中で、こうしたネトウヨ叩きにスカッとした気分を味わっているのかもしれません。確かにネトウヨ自体は自分の正体を明らかにせず、誹謗・中傷を繰り返すので不快な気持ちにさせられます。
 ブロゴスの中でもコメント欄をつけない(多分、ご本人が希望しないんだろうと思います)有名どころのブロガーも少なくありませんが、保守系のブロガーですら不快なんでしょうね。
 小林よしのり、岩田温、やまもといちろう各氏
 池田信夫さんの名前が見当たらない…

 しかし、そのような「叩き」で満足するような発想はよくないです。所詮はネトウヨなどというものは少数でしかありません。とにかく叩き潰せという発想は、ナチス的な発想と同じです。
 潰し潰されという「闘い」そのものには意味がないどころか、広く支持も理解も得られないでしょう。
ヘイトスピーチを禁止したり罰則を科すということがいかに愚かなことか ナチス、西ドイツをみれば一目瞭然

 今回の訴訟提起によって無責任な懲戒請求はなくなるかもしれませんが(敗訴判決になれば、むしろお墨付きを与えてしまうかもしれませんね)、ネトウヨは従来のネット界での活動の場を戻すだけのことですから、何の意味があるのかなと思います。
 弁護士自治の問題を言うのであれば、このような濫用申立に対して、弁護士会こそが広く国民に対して、弁護士自治の意義を説明すべきであろうし、理解を求めるといった対応が必要なわけです。

 橋下徹氏の見解もとても参考になります。
懲戒請求した一般市民に対して、法的措置を執るこの弁護士たちの態度振る舞いは言語道断 - 5月17日のツイート」(ブロゴス)



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「正義が暴走して何が悪い」

確かに猪野先生のご意見はごもっともですが、正直言って「何を今更」感しかないです。

猪野先生だけでなく、神原元弁護士と同じC.R.A.C.の代理人弁護士で札幌弁護士会所属の池田賢太弁護士(自由法曹団・北海道合同法律事務所)にも集団での懲戒請求が来ていたんですね。

猪野弁護士のおっしゃりたいことはわかるが、表現が複数不適切

猪野弁護士のおっしゃりたいことはわかるが、正義への冒涜、等は違うだろう。提訴した行為自体を攻撃するのは筋違い。

うまくないやり方をしている。と言えばよい。集まりすぎてしまったカンパどうするのか。人は結果次第で翻ってカンパした自分へのペイごさがないことを不満に思うだろう。

損害賠償請求を行うとする佐々木弁護士や嶋弁護士に、特に非はない。

請求の権利は当然あるし、平成19年最高裁判例に該当すると言えなくもない。

だから、批判は毛頭ないが、疑問に思うのは、ペイしないこと。

侵害論、損害論共に弱すぎるし、「通常人であれば」不当な懲戒請求と知りえたのに、の部分が、どう判断されるか。

低所得、無知、無学の懲戒請求者達は、彼らなりの信念に基づき、氏名住所を記載したのだろうから、誹謗中傷があるわけでもない書面の不当性を「容易に知りえた」と裁判所はほんとうに判断するだろうか。

損害の小ささから、認容額が1万円を下回り、あるいは棄却となる可能性も高い。被告側から訴訟費用額を求められれば、逆にマイナスとなる。

なによりも、この愚鈍な人々を勢いづかせる。

趣旨を検討するなら、なぜ、余命を提訴しなかったのか。そこが本筋なのに。

なお、10万円の用意ができないひきこもりの人も大勢いそう。

根本的な問題は他に存在するように思います。

日本の弁護士に認められている自治権の大きさは他の国と比較するととても大きく、その代わりとして懲戒請求権という存在が有ります。この事を無視して今回の事件を考える事は難しく、また2006年の新試験(制度改革)によって司法修習過程を終了した人数が増え続ける事と合わせて考えるならば、法曹資格者の良心に頼った弁護士の自治制度そのものの見直しが必要ではないでしょうか?

私は法学を修めた事も有りませんので、門外漢に過ぎませんが弁護士会とその弁護士会を構成する弁護士の良心に頼った現行制度に大きな不安も感じます。今回の事件は双方「法」を利用した(則った)行動を取られているとも見受けられますので、法に精通された弁護士の方々の方が遙かに有利でも有り、その為に「和解金」という「法の暴力」が成り立ったとも考えられます。

この様な「法の暴力」を防ぐためにも何らかの法改正(制度改革)が必要なように感じます。そして追加の法改正が行われなければ過去に行われた制度改革そのものが無駄になる。もしくはマイナス要因となってしまうようにも心配されます。

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猪野 亨(いのとおる)

Author:猪野 亨(いのとおる)
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1998年弁護士登録(札幌弁護士会所属)
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