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「正義」とは何か 大量懲戒請求者に対する損害賠償請求の意義

 「余命3年ブログ」が主導する大量懲戒請求事件では一部の弁護士たちが提訴に動いています。
 先日、この「大量懲戒請求に対する損害賠償請求訴訟はやはり問題だ 正義を振りかざすことにネトウヨ同様の恐ろしさがある」をエントリーしたところ、お読み頂いた方々から2つの指摘を受けました。
 まず提訴に関しては、佐々木亮弁護士、北周士弁護士はまだ提訴していない。神原元・弁護士は既に提訴済みであるという点です。
 神原弁護士はそういえばそうだった、大変、失礼いたしました。
 佐々木、北亮弁護士については確かに「提起した」は誤りでした。これもまた大変、失礼いたしました。

 もっとも内容に変更はありません。訴訟を利用したやり方の是非を問うものだからです。

 もう1つは、佐々木、北両弁護士の記者会見を見る限り、正義は振りかざしていなかったというご指摘です。
 動画も紹介されたので見ました。




 リテラが文字として報道しています。
被害を受けた弁護士が反撃の提訴! ネトウヨの集団懲戒請求を煽動した「余命三年時事日記」ブログのヤバさ

 佐々木弁護士はこのように述べています。
「いままで、こういうブログで煽ってきた悪意が、生活保護受給者であったり、外国籍の方であったり、日本に帰化した方にも攻撃し続けるということがありました。そうした方たちの気持ちを思うと、非常に怖かっただろうなと思う。もちろん第三者的には理解していたつもりですけど、いざ、自分が当事者になると、この怖さはまた違うものがあるなと感じます」(佐々木弁護士)


 北弁護士はこのように述べています。
「今回の件は、左右の意見の対立と捉えられがちだが、そういった問題ではありません。たとえば出版社や新聞社に『この記者はろくでもないやつだからクビにしろ』という通知が3000通もくるというのがイメージとしては近く、これに対抗できる一般の人は少ない。ネット上の悪意が匿名性を盾に行われてしまうのは、思想とは関係なく不当なことだと考えています」(北弁護士)

 佐々木弁護士は怖さを強調していますが、記者会見している姿は堂々とされていました。しかし、自分が訴訟提起することによって、何故、「生活保護受給者であったり、外国籍の方であったり、日本に帰化した方にも攻撃し続けるということがありました。」と関係があるのかがわかりません。
 要は成敗せよということなのでしょうか。私にはそのようにしか聞こえませんでした。これをみたとき私には「正義」を振りかざしているとしか評価できませんでした。
 佐々木弁護士のツイートも拾ってみましたので、貼り付けておきます。

ささきりょう佐々木①

ささきりょう佐々木②


 北弁護士は「ネット上の悪意が匿名性を盾に行われてしまうのは、思想とは関係なく不当なことだと考えています」と言っていますが、懲戒請求は匿名ではありません。なので、ここでもそうなのですが、そういった勢力に対する制裁的な意味合いが出ています。
 自分の損害を回復するだけでないんだ、みたいな感じです。

 そして両弁護士のやり方には全く共感を得ませんでした。訴訟提起を通告して和解で1人に対して5万円を払えば訴訟提起しない、訴訟提起までにもっと和解を進めたいというやり方です。
 共同不法行為にはならないと説明していました。何を根拠にそのように言えるのか、バラバラで懲戒請求書が来るのかという質問が会場から出ていましたが、少なくとも両弁護士のところには弁護士会からまとまったものが来ると説明していました。

 私のところにもどさっとまとまってきましたが、余命3年ブログがそのようなやり方をやっているからそのようになります。
 余命3年ブログが特定の懲戒請求を募り、それに応じて懲戒請求書を送られてきたものを取りまとめ、一括して弁護士会に送る。弁護士会ではそれを精査して対象弁護士に写しを交付する、という流れです。氏名、住所だけが違う懲戒請求書がくるわけです。
 私のところに来たものは両面、2枚組でのコピーで厚さ3cmほどでした。
 余命3年ブログが取りまとめ、それに賛同した人たちがまとまって懲戒請求をするわけですから、どう考えても共同不法行為です。
 佐々木、北両弁護士は、このあたりはほとんど説明できませんした。

 なのに個別に損害賠償として訴外和解なら1人5万円、現在、三桁にまでは到達していないがという説明でしたから、既に相当な額を和解金として受領しています。

 ところで、佐々木、北両弁護士、嶋﨑量弁護士もそうですが、本訴訟のために広くカンパを募っています。相当な額が集まっています。
 しかし、カンパを集める正当化根拠は何ですか。
 単なる個人的な損害賠償請求のためにカンパを集めるのですか。

 天災などによる被害でカンパを集めるのはわかります。どこからもその損害は補填されないからです。
 被害者救済のための訴訟で訴訟費用を賄うために弁護士費用も含めてカンパを募るというのもわかります。特に敗訴も予想されるような訴訟、しかし、訴えを提起することに社会的意義のあるような訴訟であればカンパを集めることにも意義はあります。
 解雇事件も同様かと思います。例えば賃金請求といってもその中から弁護士費用などを払えば生活費を確保することができなくなるためカンパを集めて賄うということにも合理性はあります。
 しかし、今回、大量懲戒請求を受けた弁護士がカンパを集めることの根拠がわかりません。自分の損害を補填するだけであればカンパを募る必要性がないのです。だって、懲戒請求者たちから粛々と「回収」するんでしょう。
 請求額も大きいので訴訟費用も莫大になりますが、勝訴するんでしょう?
 それとも当面の印紙代がありませんか。ならば訴訟救助の申し立てるという方法もありますが。
 自分の損害のための賠償請求であるならば、仮にカンパを募って訴訟によって回収ができた場合、カンパも含め、すべて自分の収入ですか。
 税務署との関係では経費支出は除きますが集めたカンパ(贈与)分は収入として計上することになります。
 カンパを集めるんだったら、それを正当化するためには「正義」の概念が入りませんか。

 それが記者会見で述べた他の人たちに代わって自分たちがやるんだという「正義」につながっていると思うわけです。
 自分たちは「正義」のためにやっているんじゃない、というのであれば、即刻、カンパは返還すべきでしょう。

 それに単に被害に遭ったというだけではこれだけのカンパは集まりません。
 記者会見でも、佐々木、北両弁護士は被害についてほとんど語れていませんでした。ちょっと「怖さ」を語っただけです。
 それが何十万、何百万、何千万という被害なのかといえば明らかに過大請求ですが、それでもカンパが集まっているのは、余命3年ブログやそこに集まったネトウヨをやっつけろという価値判断があるからでしょう。
 佐々木、北両弁護士、嶋﨑量弁護士もそうしたことに乗っかっているわけですから、私は正義を振りかざした行動と評価せざるを得ません。

 何よりも自分の損害の補填だけが目的であるならば記者会見まで必要だったといえますか。


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コメント

No title

僕は、「懲戒請求に対して訴訟で対抗する」という方法そのものについては、いろいろ手間や業務を妨害された、脅されたという点からは正当なものだと思います。
でなければ、確かに泣き寝入りということになりますし、外野が「おまえの損害はたぶんこの程度だから黙っとれ」「やっても無駄、大人の対応をしたほうがいい」というのは普通のケースでもよくあるでしょうし、弁護士はそういう声なき声をあげたいという人を助ける仕事ではないでしょうか。自分のことだから我慢するというのも理屈ではおかしいでしょう。

>佐々木、北両弁護士は、このあたりはほとんど説明できませんした。
ここは、説明「しなかった」だけだと思います。どうして僕がそういうことを言うかというと、ツイッターで今後どうするかについてもちらっと触れていたからです(全部詳しく読んだわけじゃないけど)
それに、弁護士ドットコムでも触れていました
https://www.bengo4.com/internet/n_7862/
>有利な結論を得るために被告側(懲戒請求をした側)にも、検討すべき主張がかなりあります。多くの弁護士は気が付いているでしょうが、私も含めて、弁護士はほとんどその点について発信していません
>具体的な紛争、しかも現在進行している事件については、場合によっては他人の事件に干渉することになりかねないためです。

いきなり訴訟というのは、方法としては「あり」でしょう(既にされている先生もいらっしゃるので)が、一応この先生達は、その前に和解するということを告知しているので、そんなに非情というわけでもないと思いますし、ネットで集められた以上、ネットや記者会見をして通知する方法もありかと思います(どうやら、今回は年代一般的に想像よりも高く、そもそもツイッターでは通知しても相手に届いていないのではないかという指摘もありました)。

カンパについても、訴訟救助の申し立てとか、更に手間をかけるよりは迅速に動いたほうが良いケースもあるでしょう。
それにこれも推測ですが、懲戒請求者が遠方ということも容易に考えられますから、なんだかんだいっても費用は想像以上に必要になると思います(執行までいくなら執行も大変でしょうし、そもそも人件費もばかになりません。まさか事務員の方に自分とこの弁護士の事件なんだからお前さんは無料で働けということはないでしょう)。
カンパしている人も、使い道については理解してカンパしていると思います。それに、この先生方についてはツイッターで通知しているのでこの先生方なら大丈夫という信頼もあるのでしょう。

既に事件として動いてしまっている以上、他の方々がその方法に何か言ってもその事件の邪魔にしかならないと思います(寧ろ事件に不当に介入したことになりかねない)し、今回の場合はこの訴訟に対して何か動くなら弁護士会が動くのが筋であると思います。

・・・・・・と、あまり他の先生を刺激しなさんな・・・・・・どうして同じような被害を受けても一枚岩になれないのか、弁護士というのはまっこと不思議なものぜよ。

とにかく、事件の外野の先生が何を言おうとおそらくこの件は進んでいくし、ここで「はいそうですか、訴訟やめます」というようなことはないと思うんで、そろそろまたアベ政治を許さないとかそっちの記事に戻ったほうがいいと思います。

No title

懲戒請求を逆手にとり、正義の名を借りた訴訟ビジネスにしかみえない。
降って湧いたポスト過払いビジネスってとこか。

共同不法行為論につきまして

特殊詐欺で元締めに通帳を送ってしまった末端には不法行為が成立しますが、末端同士で共同不法行為にはならないという裁判例があるそうです。
これとパラレルに考えれば、今回の件も共同不法行為になるとは言えないのではないでしょうか。

猪野先生は共同不法行為になるとして提訴する弁護士の主張を批判していますが、猪野先生の主張する根拠も判例等の裏付けを欠いており、現状は贔屓目に見ても提訴する弁護士と水掛け論の域を出ません。
各弁護士の主張に根拠がないと批判するなら、せめて、ご自身の判例検討などを踏まえ、共同不法行為になるという根拠やそれに使える判例を明示すべきではないでしょうか。

検討もせず思い込みを根拠にほかの弁護士に品位を害すると言い放っているのであれば、流石に軽蔑します。
よもや猪野先生に限ってそんなことはないと考えたいです。

また、そういった思考を開陳することは、懲戒請求された方々にも参考になると思われますが。

ブルーインパルスの展示飛行に刑事告発が行われるこの国なのだから、損害賠償請求がおかしな話ではない

他のエントリで大量懲戒請求が来た池田賢太弁護士のFacebookですが、
https://facebook.com/kenta.ikeda/posts/1279668008802804
池田弁護士の場合は、猪野亨先生のケースと違って、必ず弁明書を出さなければいけないような懲戒理由だったようですね。

当の「余命ブログ」より

久しぶりに拝見しました。
失礼ながら、何やら、猪野先生は余命主からバカにされているようです。

http://yh649490005.xsrv.jp/public_html/2018/05/18/2525-ネトウヨ絶対殺すマン/

> すでにツイッター削除、ブログ削除等、逃げ出している弁護士の情報が流れていたが、そのうちの一人、猪野亮弁護士をとりあげたい。

つい先日まで猪野君は神原元弁護士と共闘関係でしたな。違うならどこかの場で反論されたい。しかし、問題ブログも関係ツイッターも消えておりますな。
佐々木亮弁護士や北周士弁護士ともお仲間でしたな。否定されますか?
すくなくとも、この朝鮮人弁護士2名をいれて5名の弁護士は今般の懲戒請求を不当として、損害賠償の提訴を告知しておりますな。
ところが貴殿は、突然、手のひら返しという状況だ。余命の反撃を食らって、ヤバイと思ったんだろうが、いまさらいい子ぶっても、ここまでくると何を言ってもただのいいわけだ。示談書、合意書、恫喝書、何でもいいが、とりあえずは彼らとおつきあいをすべきだろう。
ここで逃げるのは、まさに敵前逃亡だぜ。
君のいいわけと、いやだろうがお友達の決意ツィートだ。

〈 神原弁護士のツイート〉
〈猪野先生の経歴 および 今回の件についての意見を引用〉

.....何を言いたいのか、何をしたいのかがさっぱりわからないな。
ちなみに新潟県弁護士会の高島章弁護士をはじめとして二桁の弁護士から代理人受任の申し出があったが、「やまと」、「うずしお」はすべて遠慮させていただいている。
 金銭的にまったく条件が合わないので、結局、当初の予定通り本人訴訟となるだろう。弁護士代理人のいない本人訴訟、集団訴訟については、近々、簡易裁判所と地方裁判所に相談に行く予定である。(引用 終わり)

私の考えはごんべえ(仮)様とほとんど同じです。猪野先生は「ヘンコ」すぎます。佐々木・北弁護士の足を引っ張るのみならず、ネトウヨ=レイシスト集団を力づけてしまっています。(ごんべえ様、乗っからせてもらいました、感謝)

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猪野 亨(いのとおる)

Author:猪野 亨(いのとおる)
1968年生まれ
1998年弁護士登録(札幌弁護士会所属)
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対応エリアは道内(道外も事案により対応可)。土曜、夜間相談は要予約。
※携帯からメールを送信する場合、パソコンからのメールが受信できる設定にしてください。

いの法律事務所
札幌市中央区南1条西9丁目5-1
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