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（晴）あんたは　アホか。いい年して。
（鈴愛）しかたない。　怖～い夢を見た。
どんな夢？
どんな夢やったやろ　忘れた。
あれ？　お父ちゃんのいびき聞こえんようになった。
起きたか？うん？
（宇太郎のいびき）
寝とるよ。
♪～
な～に　あんた。
おんなじ匂いや　あのころと。
　回想　こうすると　怖いのがなくなる。
あんたの手は大きなった。
生まれた時は　紅葉みたいな手でこうやって　キュッて握っとった。
それは赤ちゃんの原始反射って言うんや。
どんな赤ちゃんもやる。手に触ったものを握る。
これも原始反射かね？
どんな１８歳でもやるの？
これは…　愛や。
あんぽんたん。
お母ちゃん　泣いとる？
残念でした　泣いとらん。
泣くと　ワニが出てきて食べられるでね。
何　それ？
小さい頃あんたが　よく言っとった。
この布団　船。落ちると　ワニがいる。
フフッ　言った。
泣くと　ワニが出てくる。強くならんといかん。
そんな話やったか。　ワニ。
フフッ　今　作った。
お母ちゃん…。うん？
ごめんね。
何　言っとる。
あんた　頑張るんやよ。
うん…。
ワニが出てくるでね。
＜鈴愛は　お母ちゃんの背中は昔は　もっと大きかった。小さなってまったと思っていました。鈴愛あんたが大きくなったんだよ。身長もおんなじぐらい。体重は　きっと　もうお母ちゃんを超えた。あっ　体重は余計か＞
♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
（和子）あんた進んどるの？アルバム持ってくの？
（律）うん　持ってく。
（弥一）おっ　随分　片づいた…　のかどうなの？
まだ　１週間あるから。
♪～
（和子）あっ　菜生ちゃん美人さんに写っとる。アハハッ　鈴愛ちゃんは…フフフッ。
卒業アルバムはいつまでも残るから責任重大なんやなあ。うん。
昔は　卒業アルバムはお見合い写真なんて言われたんや。
へえ～。写真見てこのお嬢さんと男の人が見つけて結婚が決まるなんて事が多かったんや。
へえ…。（和子）そんな時代もあったね。
（弥一）なあ　律。
この写真　表のウインドーに飾ってもええか？
あ～　みんなに聞いてみるけどきっと　いいって言うよ。
律は　いいの？恥ずかしくないの？
いいよ。
４人でずっと梟町にいられるような気がしてうれしいよ。
あ…　そういえば今日鈴愛ちゃん行くね。
うん。　晴れてよかった。
え？
行ってまった…。
やってまった…。
・鈴愛ちゃ～ん！
あっ　菜生ちゃん！
こっちやよ　バス！
あ…。
菜生ちゃん。おばさん　まだ　バス来てない。
あと１０分…　ちょっと切ったかな。でも　そんくらいある。
今のは大阪行きや。
東京は　かっこいいで自信ないけどこれ。　餞別。お母ちゃんと私で選んだ。
見てみて。うん。
ふぎょぎょ！　カエル！
アハッ　おばあちゃんや。
おばあちゃんは　カエルでうちの守り神なんや。
持っとって。
うわっ　かわいい！
ありがと　東京で着る。
スズちゃん…。
何か　何かが邪魔して今まで言えんかったけど秋風羽織に認められるなんてすごい！
（菜生）頑張ってな。
応援しとる。
ありがと。
泣くな　鈴愛！
人の事　置いてきやがって泣くな！
菜生…。
♪～
ほしたらな　鈴愛　頑張れよ。うん。
（仙吉）帰ってこいよ　たまには。うん。
（草太）姉ちゃん　頑張れよ。うん。
体　気を付けるんやよ。
お母ちゃんも。
♪～
ありがと。
♪～
行ってきます！
行ってらっしゃい！
♪～
ん？
大好きや。
♪～
♪～
＜時は　１９９０年。バブル崩壊前夜といったところでしょうか？それでも　なお　にぎわう東京でした。そしてバブルが崩壊しようがしまいが梟町で１８年育った鈴愛の度肝を抜くには十分でした＞
♪～
（チャイム）
（菱本）来ました　五平□。
（秋風）フッフッフッフッ…。
ネギがカモしょってきたか。
お言葉ですが　逆です。
カモが　ネギをしょいます。
菱本君に住居を案内してもらって。明日は朝１０時から。
今日は　もう休んでいいです。おやすみなさい。
生原稿　すごい…。ああ…。
見ていいですか？うん。
♪～
＜やってまった…＞