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♪~
♪「おはよう 世の中」
♪「夢を連れて 繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の 歌声も」
♪「線路 風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪~
(晴)あ~ やっぱり おじいちゃんはそういう格好するとかっこええねえ。
(仙吉)何を言うか。
(宇太郎)俺は 行かなくても本当に平気?
うん。 ちゃんと謝ってくる。もう 話はしてあるし。
遅いな あの子… 鈴愛~!
何? あんた…。
いくら何でも その格好は…。はよ スーツ着て。
(鈴愛)お母ちゃん…。うん?
私 昨日もう一度 考えたんやけど。
うん?
農協 行ってもいいよ。はあ?
おじいちゃんもう 間に合わんかな?
え? いや…。
お母ちゃんが泣くの見とったら私も悲しなってまった。
鈴愛…。
お母ちゃんと離れる事は考えてなかった。
私も ここにいたい…かもしれん。
おいおい 何を親子漫才やっとる。
東京行く~って言ってみたり農協行く~って言ってみたり。
あれ だいぶん 違うけど響きは似とるな。 東京と農協。
フフッもう バカな事 言ってないで農協 謝りに行くよ。
お母ちゃん 本当にいいの?
うん。 あんた 教えてくれた。
漫画の世界は競争の世界やない。夢の世界やって。
そうか… っておかあちゃん思った。
あんたには そういうとこがある。どういうとこ?
左が聞こえなくなった時も左側の世界って言ってすてきなやつ 律君と作っておかあちゃんに見せてくれた。忘れられん。
ゾートロープや。
あんたには夢みる力がある。
憧れる力がある。
あんたのそばにいてあんたを育ててきておかあちゃん そういうの何回も見せてもらった気がする。
もしかしたら本当に もしかしたらやけど親バカかもしれんけどあんたの夢を たくさんの人が一緒に見るのかもしれん。
あんたの作る世界を楽しみにするのかもしれん。
鈴愛の夢は おかあちゃんの夢や。
娘が夢を持つ事は うれしい。
お母ちゃんの夢か。
もしかしたら 鈴愛の漫画がつくし食堂の本棚に並ぶかもしれん。
♪~
ありがと お母ちゃん。
うん。
な~にを作っとる。ん?
鈴愛の本棚 東京行く時持ってけばいいと思って。
ああ 仙吉さんちょっと ここ 持っとって。
ああ。
立っとるもんは親でも使う。
(律 龍之介 菜生)鈴愛 おめでと!
ありがと!(龍之介)鈴愛 上京決定!
イエイ!(拍手)
俺も晴れて 京都や。舞鶴学院大学 推薦決まった!
(3人)お~っ! おめでと!ありがと!
(菜生)こいで 律とブッチャーは京都か。
(律)俺は まだ これからやけど。受かるよ 京大。
ほんでも スズちゃんよく決心したね。
うん。 お母ちゃんに泣かれたらこっちも悲しなってやめようかと思ったけど行く事にした。
鈴愛は悲しいのが長もちしん。今 泣いたカラスが もう笑う。
スズちゃんは 昔から そうやった。
あっ 鈴愛 あれって本当?晴おばちゃんに13社続けて落ちたのはあんたが履歴書にバカ正直に耳の事 書くからだって言われた時に私は何で落ちるか分かってた。
でも 嘘ついて受かるのは嫌だ~!
鈴愛 かっけえ!(龍之介)へえ~!
あれ 嘘や。えっ!?
口から出任せ。あの時に思いついて言った。
えっ!これ 焼けとる。
まさか 耳の事で落とされるとは気付かなんだ。
だよな。ん?
うちの母ちゃんの話によると晴おばちゃんはその 鈴愛の勇気に感動して上京を許したという事だったが鈴愛が そんな事を思う訳がないと 俺は思った。
全く思わなかった。
おめでたい通り越してバカなのか。今更か?
面接で 片方の耳が聞こえないとこの仕事は向いてない事があると言われた事はある。
それは ああ 落ちてもしかたないなと思った。
うん そいで スズちゃん。
でも ほかのは 耳の事で落とされてるとは思わなかった。
(龍之介)さすがつけ耳つけるやつは違うな。
そして お前今も そう思ってないだろ?
何で分かる?何か分かる。
鈴愛の世界に悪意はないな。ないしょもないな。
差別もない。ハハハハッ。
あっ 鈴愛 何でおばさんに気付いとったって言った?
気付いたら そう言っとった。
勝負のしどころやと思ったのかもしれん。
勝負?
東京 行くか行かないかの 勝負や。
(龍之介)何か すげえな 鈴愛。
俺は心配だ。(龍之介)えっ?
本当にこんな岐阜の山猿みたいなのが東京出て 大丈夫なんか?
律君 鈴愛の上京 反対なの?
晴さんが 地球を征服に来たゴアの力で止めると思っとった。
♪~
借りてきてよかった。うん。
まさこさんの読み当たったね。
雨… だ。
♪~
(龍之介)全部載せ うめえな!
うん。 どんどん食べなはれ。
気前いいね 菜生ちゃん。
何で2人で帰した?何 たくらんどる?
今でしょ!え?
2人に何か起きるとすれば 今!
2人は やがて離れ離れ。もう 今 12月やよ。
卒業までのカウントダウンは始まっている!
♪「春なのに お別れですか」
♪「春なのに 涙がこぼれます」誰それ?
ん? 懐メロ。 □原芳恵。
え?ん? 違う。 柏原芳恵か。
もしくは…。♪「どうして どうして僕たちは」
♪「出逢ってしまったのだろう」
♪「二度と会えなくなるなら」
また会うでしょ 普通に。(まさこ)あっ カラオケ入れる?
いや…。(2人)いいっす。
もう クリスマスか…。うん。
ねえ 律。ん?
この前さ 大雨の日あったやん。ああ 警報出とったやつ。
あん時さあ雨満喫しようと思ってどしゃ降りん中傘さして外出たの。うん。
そしたら やっぱり左側は雨の音聞こえなくて。
今も聞こえん。うん…。
律…。
左側に雨の降る感じ 教えてよ。
どんなやったっけ?
傘に落ちる雨の音ってあんま きれいな音でもないから右だけくらいがちょうどいいんやないの?
律さあ将来 ノーベル賞取るんやろ?
え?
何か発明して エジソンが取り逃したノーベル賞 取る。
雨の音が きれいに聞こえる傘。
雨の音が きれいに聞こえる傘…いいな それ。
本当?うん。
じゃあ 律 作ってよ。え? 俺?
うん。 約束。
あ…。
ふぎょぎょ…。安もんだから このパーカー。
私は ちょっとかわいいのを着てきた。
みんなに会うのが久しぶりやったから。
うん… 気付いとった。
家帰ったら 洗う。
うん。
<ドキドキしとった。ほいでもこの気持ちはない事にしようと私は思った。心にしまってやがて忘れようと。律に そんなのは気持ち悪い。私と律に そんな事は 似合わない>
<それでも いつものように夜がやって来て…>
(ノック)(戸が開く音)
(草太)おねえ お母ちゃんが湯たんぽ。
おっ サンキュー。
♪~
ああ…。
この龍とも もうすぐお別れか…。
♪~