一番わかりやすい、失敗しないUSB Type-Cケーブルの選び方
2017-08-11 13:15最近スマホを購入した人は「コネクターが変わった!」と思っているかもしれません。
これまで、iPhoneはLightningケーブル、Androidスマートフォンにはmicro USBケーブルが使われてきました。しかし、最新のAndroidスマートフォンにはUSB Type-Cという規格が採用されて始めています(以下USB-Cとも表記します)。充電などに使うコネクターの形が変わり、付属のケーブルもUSB-Cケーブルが採用され始めています。
今回は、この最新のケーブルの選び方を紹介します。なお、USB-Cはゲーム機や家電などさまざまな機器で採用されていきますが、ここではスマホで利用するケーブル選びに絞って記事を構成します。
USB Type-Cとは
最新のAndroidスマートフォンはUSB-C端子を採用するモデルが増えています。逆側はおなじみのUSB Type-Aです
USB Type-Cは、USB端子の新しい規格です。2014年に発表されましたが、最近になってようやく対応製品が増えてきました。
これまで、スマートフォンにはmicro USBが採用されていましたが、徐々にUSB-Cに切り替わっています。すでに、最新モデルでは多くの端末が採用しています。Galaxy S8やHUAWEI P10シリーズなどもUSB-Cです。
USB-C端子は、micro USBと違って端子の上下がないためにとても使いやすくなっています。また、デジカメやパソコン、家電などさまざまな機器での採用が見込まれているので、数年後には色々な機器でケーブルを使い回せるようになります。
現在、パソコンなどではUSB Type-Aと呼ばれる端子が主に採用されています。これは最もおなじみのUSB端子で、充電器、モバイルバッテリーにも採用されている"やや大きな四角い"USB端子です。一般に「普通のUSB端子」と言えば、USB Type-Aです。実は、この端子も近い将来、USB-Cに変わることが想定されています。つまり、数年後のパソコンには、USB-C端子だけが搭載されている可能性もあります。
少し前のAndroidスマートフォンやタブレットにはmicro USB端子を採用するのが一般的でした。このケーブルの逆側もUSB Type-Aです
スマホで使っているケーブルは、スマホ側がmicro USB、充電器やパソコンに接続する側はUSB Type-Aと、両端の端子が違っているのです。今後は、両方がUSB-C端子に変わっていきます。
とはいえ、現在は過渡期なので、USB-CとUSB Type-Aのケーブルを使うのが一般的です。
iPhoneにはLightningが採用されています
すでにUSB-Cケーブルは売れている
今回は、モバイルバッテリーやケーブルのメーカーとしておなじみのAnkerにお話を伺いました。
担当の猿渡歩さん(アンカー・ジャパン マーケティング&セールスシニアマネージャー)によると、すでにUSB-Cケーブルはかなり人気があり、micro USBケーブルと同じくらい売れているそうです。
当初は高価だったUSB-Cケーブルも売れ行きが伸びるに従って、徐々に価格も落ち着いてきています。将来的には、今出ているUSB-Cケーブルと同等の性能のものであれば、もう少し購入しやすい価格になる可能性もあります。ただし、USB-Cケーブルは構造が複雑なので、micro USBケーブルよりも製造コストがかかります。ですから、一気に安くなるのは難しいでしょう。
USB-Cケーブル選びの4ポイント
具体的にUSB-Cケーブルを購入する際のチェックポイントを紹介していきましょう。スマホやケーブル、充電器などの発火がたまにニュースになっています。USB-Cケーブルにも同様のリスクがあるので、しっかりと選びたいところです。
ここでは、USB-CとUSB Type-Aを採用したケーブルの選び方を紹介します。いま一番使う可能性の高いケーブルです。
スマホとモバイルバッテリーの接続には、USB-CとUSB Type-Aを採用したケーブルを使います。充電などでもこのケーブルを使うことが多くなります
安すぎるケーブルは敬遠する
最近はとても安価なUSB-Cケーブルも登場しています。安いものがすべてだめなわけではありませんが、無理をして価格を下げている可能性も秘めています。
一般に、有名メーカーの製品ではないものが安く買えます。充電ができないなど、使えないだけならまだしも、事故が起こるのは恐ろしいものです。くわしい知識のない人は、あまりにも安価なケーブルは敬遠したほうが良いでしょう。目安としては1本500円以上が安心できる価格帯です。大手家電量販店なら安心して買えるでしょう。
通販で買う人は口コミも参考にしてください。1本500円以上で良く売れている製品が安心です。安く買いたいなら、セット品が安心です。同じケーブルもしくは、長さを変えて数本をセットにしたものは、1本あたりは安くなります。
データ転送が高速なほうが好ましいなら
USB-Cケーブルは、充電だけでなくデータの転送にも利用します。高速なデータの転送を望むなら、USB 3.0もしくはUSB 3.1に対応したケーブルを手に入れましょう。ただし、転送する機器も高速転送に対応していないとスピードは出ません。
スマホをパソコンに接続するなら、両者とケーブルがUSB 3.0以上に対応している必要があります。
いま使っているパソコンやスマホが高速転送に対応していなくても、将来を見越して、USB3.0やUSB3.1に対応したケーブルを買っておくのもよいでしょう。なお、転送速度が最大480MbpsならUSB2.0、最大5GbpsならUSB 3.0に対応しています。また、10Gbpsなら、さらに最新で高速なUSB3.1に対応しています。
56KΩ抵抗ってなに?
USB-Cでは、先進的な規格なので、今までよりも大きな電源供給が行えます。ところが、片方が従来からあるUSB Type-A端子だと、本来USB-Cが持っている性能には対応しきれません。そこで、ケーブルに抵抗を付けてどの程度の電流を流して良いのかを判断するわけです。この抵抗が「56KΩ」です。
最近は、アマゾンなどの製品紹介でも「56KΩ使用」「56Kレジスタ使用」などと書かれている製品が増えています。安心な目安として対応しているケーブルを選ぶことをおすすめします。
PD対応ケーブルを選ぶか?
ここまでは、主にUSB-CとUSB Type-Aのケーブルについて触れてきました。
最近増えてきた両端がUSB-Cのケーブルには、「PowerDelivery対応」(PD対応)と書かれているものがちらほら出てきました。
「パワーデリバリー」と読む新しい給電規格で、これまでに利用できなかった大きな電力を給電できるようになりました。現在では、最大100Wまでの供給が可能です。
さらに、双方向の供給ができます。例えば、モバイルバッテリーのUSB-Cポートから電力を供給し、逆に充電もできるわけです。
スマホの急速充電も、今後はPDになっていく可能性が高いのですが、現在はQuickChargeが主流です。今、スマホへの充電を目的にケーブルを選ぶなら、特にPD対応を基準とする必要はないでしょう。
ただし、例えば、3Aよりも大きなUSB PDに対応しているパソコンとACアダプターを接続するケーブルを選ぶなら、両端子がUSB-Cで最大20V、5Aの充電に対応している製品を選ぶと、PD本来の性能が発揮されます。
コネクターの変換アダプターを選ぶ手もある
すでに持っているmicro USBケーブルを活かしたいなら、端子をUSB-Cに変換するアダプターを購入する手もあります。
簡単に言ってしまうとケーブルの形状を変えるだけですから、元のケーブルが持っているパフォーマンスを越えることはできません。例えば、高速なデータ転送などができない可能性もあります。
筆者のテストでは、充電器とスマホがQuickCharge対応している環境で、USB-Cケーブルの代わりにmicorUSBケーブル+USB-C変換アダプターを利用しても問題なく急速充電ができました。
micro USBケーブルをUSB-Cに変換するアダプターは、安価なのでいま使っているケーブルを活かすには有効。写真はAnkerの「USB-C&micorUSBアダプタ」で2つセットで799円です。56Kレジスタも使われています
このようにアダプターをセットして使います
実際に製品を買う場合のポイント
最後のまとめとして、実際に製品を買う場合のポイントを紹介していきましょう。
まず、USB-Cケーブルは、他のケーブルに比べて太い傾向が強くなります。これは中に含まれている電線の本数が多くなるからだそうです。「なるべく細くてしなやかなケーブルが好きだ」という人は注意してください。どれを選んでもある程度太い可能性があります。
また、先に挙げたポイントで「56Kレジスタ採用」「高速データ転送」などの基準を満たしてるUSB Type-AとUSB-Cのケーブルにも、かなりの価格差があります。高級品は耐久性に優れているので末永く使える可能性が高く、また色もお洒落です。選択のポイントを満たした上で、ちょっと予算を追加してデザインを重視して選んでもよいでしょう。ケーブルは持ち歩く機会が多いので、見た目も大切です。
また、手元のモバイルバッテリーへの充電にはmicro USBが必要──など、一気にUSB-Cケーブルだけに切り替えられないのが一般的です。しばらくは複数のケーブルを使い分けることになりそうです。
モバイルバッテリーへの充電は、micro USBケーブルを使うタイプが主流です
通販で購入する場合には、返品を受け付けているショップを選ぶのが安心です。購入後に万一充電やデータ転送ができなかったり、コネクターがスカスカでスグに外れてしまうようなら、返品や交換してもらいます。最低でも1年は保証がついていれば安心です。
ケーブルは充電やデータ転送ができれば役目を果たしますが、故障や発火などの恐れもあるので安心できるメーカーのものを選ぶことをおすすめします。アマゾン買う際にも、口コミは最低でも3.5以上で、多くの口コミ数があるものを選びたいところです。
Anker「PowerLine+」シリーズ
Ankerの「PowerLine+」シリーズは、外装は編み込んだナイロンで末永く使えます。また、デザインや色も高級です。
価格はアマゾン調べで0.9メートルが999円です(Anker PowerLine+ USB-C & USB C ケーブル〔レッド〕)。USB-CとUSB Type-Aのタイプは0.9メートルで1099円です(Anker PowerLine+ USB-C & USB 3.0 ケーブル〔レッド〕)。
※価格は2017年8月10日時点です
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部