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（和子）あっ　見て　弥一さん。
秋風羽織　顔出ししてる。
（弥一）男やったんか…。
結構　いってるよね　これ。でも　ハンサム。
名古屋まで来るんか。和子さん　行ってきたら？
（和子）サイン会か…。
♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
（晴）この度はありがとうございました。
（西村）仙吉さんの頼みや。断れつか。
農協やで野菜の販売なんかもあるけど娘さんには　ほういう所に出てもらう事ないで。
本当ですか？あの子　片耳あれなんでどっから呼ばれてるかまるっきり分からんくて接客業は無理やと思っとって。
（西村）大丈夫よ。まあ　鈴愛さんには裏方よ。
事務系でもやってもらおうかしらんと思っとるで。
みんなにもほうやって言っとくでええわ。
ありがとうございます。
あの　うちのおじいちゃんが頼んだ事は　ないしょに。
当ったり前っちゅう事よ。　そんな不粋な事はしやへんでええわ。
すいません。うまいわ。
この度は…。（２人）ありがとうございました。
（仙吉）いやいやいや　俺は何にも。
（宇太郎）いや　じいちゃんの旧制中学校時代のギター部の後輩が西村さんやなかったら農協なんか受からん。
いや　そんな事ないぞ。鈴愛は　ええ子やもん。
ほやな鈴愛の就職も決まった事やしどやろう？　みんなでお祝いでもするか。お祝い？
うん。　たまには腕を振るったるわ。
本気出したらまだ　宇太郎には負けへん。
ええね　それ！　いつやろかね？
（幸子）ね～ここ　ちょっと詰めたら違う。
（鈴愛）本当だ！ああっ　あんた　危ない！
ええね　鈴愛ちゃん。オーダーメードで作ってもらえて。
似合うわ～。　美人さんや。農協行くの楽しくなるね。
幸子さん　この子の就職祝の会来てちょ～よ。　ゴロちゃんと。
来させてもらうよ　ありがと。
でも　お母ちゃん…。
（小声で）こういうの高いんやないの？
まけとくよ　就職祝。
（仙吉）鈴愛　就職おめでとう！　乾杯！
（一同）乾杯～！
＜その日は　親戚やら　友達やらたくさんの人が集まってくれて…＞
私　岡田医院の貴美香です。鈴愛ちゃんと律君は…。
（律）貴美香先生！　その話やめよ。（貴美香）あっ　ほう？
＜まっ　自己紹介が最後まで回る頃には最初の方を忘れてしまって誰が誰だか分からなくなるのですがこの　ふくろう商店街に鈴愛に　ゆかりのある人である事は間違いありません。よかったね　鈴愛＞
さて　それでは　ここでセンキチ・アンド・ジジーズ。
ジジーズ？は～い！
（拍手）
え～　今日の日のために生まれたグループです！
え～　そして梟会男子のご協力を頂き…ありがとうございます。
鈴愛が生まれた１９７１年と同じ年に生まれたヒット曲やります。（拍手）
♪～
♪「命かけてと誓った日から」
♪「すてきな想い出残してきたのに」
♪「あの時　同じ花を見て」
♪「美しいといった二人の」
♪「心と心が」
♪「今は　もうかよわない」
♪「あの素晴しい愛をもう一度」
♪「あの素晴しい愛をもう一度」
♪～
♪「赤とんぼの歌を歌った空は」
♪「何もかわって　いないけれど」
♪「あの時　ずっと夕焼を」
♪「追いかけて行った二人の」
♪「心と心が」
♪「今は　もうかよわない」
♪「あの素晴しい愛をもう一度」
♪「あの素晴しい愛をもう一度」
♪「あの素晴しい愛をもう一度」
♪～
（拍手と歓声）
これ　就職試験合格祝。ん？
秋風羽織のトークショーのチケット。
ふぎょぎょ！　これが　秋風羽織…。おっさんやん。
和子さんが新聞で見つけて抽選だったんだけど　当たった。
こんな感じか…。
この写真じゃ　よう分からんけど。
律も行くよね？うん。　ほんならな。
律！ん？
忘れんなよ！何を？
京都行っても。
♪「赤とんぼの歌を」
♪「歌った空は」何で歌う！
あっ　何か…。
（秋風）冷たい…。え？
水は常温でと言いました。
すいません。　早く。
では　次の質問に…。
「いつもポケットにショパン」なんですがこれも爆発的なヒットとなりこれで先生の作品は累計５，０００万部を超えました。
その時のお気持ちなど…。
別に。
そ…　そうですよね。
漫画家の方たちは売り上げではなくてどう自己表現をされるかそれに尽きるかと…。
漫画家の方たち…？何か？
漫画家の方たちにもいろいろいましょう。
アヒルの子の中には白鳥もいるでしょう。
私は醜いアヒルの子。
えっと…。
どういう意味？
多分俺をそこら辺の雑魚の漫画家と十把一絡げにするなと。
（小杉）ああ…　なんて　息の詰まるトークショーなんだ。
菱本さん　秋風先生なぜ　急に顔出しして　こんな事。
あのキャラクター損はあっても得はないかと。
（菱本）失礼ね。
秋風は自分のファンに直接会ってみたくなったのよ。
生きてるうちに。
それでは　ひと言で言って先生にとって漫画とは何ですか？
言いたくない。
ひと言で言えるようなものなら私が命をささげる訳がない。
君とは会話が成立しない。失礼する。
つまらない話を聞かせて申し訳なかった。
作品では裏切らない。
また　作品の中でお会いしましょう。
それが私の真実の言葉です。
（拍手）
♪～
秋風羽織先生！
あの　これ…。
差し入れです。
どうも。
鈴愛。
かっこいい…。お父ちゃんとは違う。
（菱本）お帰りなさいませ。
お茶を下さい。はい。
先生ご愛飲の京都宇治の手もみ玉露を持参しました。
今　いれてます。
どうぞ。
うっま！
これは　真実の食べ物だ。
菱本君。はい。すぐ　ロビーに出て少女を捜してきたまえ。少女とは？
これをくれた少女だ。
こう…　何か田舎くさいいまひとつ　垢抜けない髪が　この辺りまでの…。
それだけの情報ですと…。いいから　早く！
（菱本）すみません！　すみません！
お客様の中で　秋風に今何か　俵型した串に刺してあって　こう…タレがつぶつぶしててみたらしだんごの親戚のようなものをあの　秋風に　今　渡して下さった方いらっしゃいませんか！？
五平□だ。
あ…　はい！
♪～
ああ…　さっきの。
楡野鈴愛です！
秋風羽織です。
萩尾　律です。
なぜ　君が名乗るんだ？
何となく。