2018年4月1日 00:01
愛Robot社は、誰もがその名を知るロボット掃除機メーカーだ。先日、開催された同社と「家電戦隊 炊飯ジャー」の合同記者会見によれば、超進化型のロボット掃除機を炊飯ジャーに納品したという。掃除機のスペックは、国家安全機密に抵触するため、一切非公開とのこと。しかし、我々イソプレス取材班が独自に入手した、情報筋によれば「スイーパー」には違いはないが、悪の組織を片付ける、ロボット兵器「バルーン」シリーズの最上位モデルT-980(愛Adult2.0 3D搭載)という。
悪の組織「デス・ダスト」さんが反撃!!
一連の報道に対して怒りを隠しきれないのが、悪の組織「デス・ダスト」のみなさん。
「アレでしょ? ロボットがあっちに導入されたって話でしょ? 困るんだよね――。パワーバランスくずれちゃうでしょ?」
「そうそう! 悪が弱体化したら、テレビの尺持たなくなっちゃう。どうするか? って言ったら、戦闘員増やすしかないわけで、1戦闘あたりのコストが上がっちゃうワケよ。わかるでしょ? ウチ、ギリギリでやってんの」
「正規雇用なんてできないから、Webで求人かけるのよ。でも最近の若者は長続きしないし、そもそも“悪”で名を上げってやろう! っていうハングリーな子がいないの。だからイイモンに新兵器とか導入するのはかまわないんだけどサー、それならそれでバランス考えて、こちらにも何らかの手を売ってもらわないとね」
「家電戦隊 炊飯ジャー」
新兵器を導入した正義のヒーロー「家電戦隊 炊飯ジャー」にも話を伺った。家電戦隊は、全国に支社を持つ正義の公益法人らしい。東京支社は、とある下町にあり、非常に質素な暮らしをしているようだ。
暮らしぶりは質素だか、ここに常住するレッドさんとブルーさんの心は満たされているようで、必要以上に親密にしているようだ。
レッドさん曰く「女性向けのレッド誘い受けの薄い本を出版された方は、“寄付”という名目で使用料をお納めいただくと、版元さまも税法上優遇されます。うぃん! うぃん」ということだ。心は正義かもしれないが、お金に関してはかなり腹黒いようだ。
さて、電話のヌシは本部の指令センター。漏れ聞こえる会話から察するに、これから新型兵器を使って、敵のアジトに潜入。今週のテレビ放送前にロボット掃除機「バルーン」の性能チェックをするらしい。
そこで同行取材を申し込むと、あっさりOK。コンプライアンスのへったくれもないようだ。
まず、見せてもらったのは新型兵器のお掃除ロボ「バルーン」シリーズ。我々もまったく気がつかなかったが、なんのセキュリティーもなく床の間の横で充電されていた。変にセキュリティを強化しないほうが、セキュアーということを学ばされた。
このロボット掃除機には、犯罪係数の高い人物や物を自動で捕捉する「愛Adalt2.0 3D」が搭載されているという。これはロボット掃除機でも定評の探索ロジックで、これを平面の2Dではなく高さを含めた、空間制御を可能にしているという。
レッドさんとブルーさんが何やら打ち合わせを始めたようだ。「愛Adalt2.0 3D」のデモでも見せてくれるのだろうか。
どうやら自慢のポージングを決めて、その感想が欲しかったらしい。とくにコメントすることなく無視を決める。と、また次のポージングに移ろうとしている。
コイツらメンドクセーなぁ。
アジトに潜入! 凄いぞ!ボクらのヒーロー「ロボット掃除機」!
アジト潜入の同行取材が始まった。と、思いきや二人のヒーローが向かったのは、近所の地下鉄の駅。え!
「バイクとかヒーローカーで疾風を切って行く」なんてのは古いらしい。
「少し前の仮面ライダーさんでもあったでしょ? 最近のヒーローは、経費削減で電車移動なの。でもね、私鉄やJR各社が乗り入れてるから、移動もラクだしね。何より、現場行って駐車場を探さなくていいからさ」
とブルーさん。これにレッドさんが、こう答える。
「オレさ、この前運転中に敵に出くわしちゃってさ、ちょっとクルマ止めて戦ってたら、なに? あの緑のおじさんに貼られましたよ。紙。ひと目見ればヒーローカーだってわかるのに、貼られます。マジで」
どうやら世知辛いご時勢で、ヒーローも現場急行より、法律遵守と自らの保身を優先するらしい。さて、地下鉄に揺られること30分ほど。途中、サラリーマンに「え? 変なのいる! 何の撮影?」とか絡まれつつも、無事にアジトの前までたどり着いた。
そう、彼らはヒーロースーツのまま、公共交通機関を利用する。コミケやコスプレイベントでは「コスプレしたまま公共交通機関に乗車するのは、他の乗客に迷惑になるのでご法度」とされている。「ハロウィーンで街にあつまるモラルのない連中と同じじゃないか!」と憤慨する人も多いだろう。しかし、ブルーさんは、こう答える。
「え? コレ、コスプレじゃないですもん。警官だって制服のまま電車に乗るでしょ? サラリーマンだって背広っていう制服着て満員電車に乗るじゃないですか? それと同じ」
正論なのか? 言い訳なのか? 取材班にも判断付かないグレーゾーンだ。
さて、駅からはスマホのナビゲーションにしたがって、アジトまで徒歩。先日スクープされた記事でも取り上げられているとおり、敵アジトはデータベース化されており、各ヒーローの端末に配布されている。
そうこうしているうちにアジトに到着! 軍隊と同じようなハンドサインで、突入するようだ。いっぽう、ヒーローが潜入しているとは露知らずのデス・ダストのみなさん。悪のブリーフィングで確認作業をしているようだ。中からは、声が漏れてくる。
「服装よし! 靴よし! マスクよし! 本日もご安全に!」
奇襲攻撃をかけたヒーローだが「うぉりゃー! 往生せいやーっ!」という声を張り上げて突入するバカっぷり。すぐに敵に気づかれて、反撃を受けてしまう。
ゴミバット攻撃に、食べこぼしパイプ椅子攻撃! どこのプロレス興行だよ! という昭和臭がプンプンする戦いが始まった!
しかし、悪が勝ってしまうと、お子様たちはもちろんスポンサー的にもマズイので、とりあえずヒーロー側に形勢逆転するのは、テレビとまったく同じだ。
これを演出とするのか? 八百長とするのか? は視聴者しだい。とはいえ、アジトには手ごわいゴミやダニ、チリなどのトラップがあり、思うように身動きが取れずにヒーローの力が発揮できないようだ。
必死に応戦するヒーローだが、体力的にも血圧的にもかなり限界に近づいたところを、悪のデス・ダストのみなさんにとっ捕まる。
「ホコリをかぶって力がでない~……」というアソパソマソ顔負けの形勢逆転の事態に!しかも、デス・ダストは、マスクマンであるレッドさんのマスクを取ろうとする暴挙に!
応戦するヒーローは、ジャムおじさん……、いや本部のロボット掃除機に出動要請!
ヒーローにはスマホが支給されているはずだが、なぜかイエデンから電話をするレッドさん。どうやら料金未納で電話が止まっていたらしい。あとで確認したところ「コンビニで電話代払ったらソッコー通じるようになりました!」と。
そのころ下町にあるヒーローの東京支社からは、ロボット掃除機部隊がスクランブル発進!
発進時は時速3600kmだが、そこは住宅が密集する東京。ソニックブームで住民に迷惑をかけないよう、失速限界速度の300km/h程度で、安全にかつ静かに飛んでいく。
ものの10分で敵アジトに到着し、ヒーロー二人と合流。まずは二人を苦しめていたチリやホコリなどを、レーザーとAeroForceシステムで退治!
頑張れ! 負けるな! ロボット掃除機「バルーン」!
犯罪係数判定を自動モードにして単独駆動させる。誤爆なく確実に敵を攻撃し、ヒーローとの連携もバッチリだった。これなら、今週末の放送分からロボット掃除機が投入されるかもしれない。
テレビシリーズでは、ここで敵が巨大化して採石場でのロボット戦闘シーンになるが、大人の都合で演出変更。ロボット掃除機が吸い込めない、空き缶やペットボトル攻撃を最後の最後に仕掛けてきた!
しかし、すでに身動きを取れなくしていた粒子トラップは破壊し尽くしているので、ヒーローは最後の攻撃!
必殺! 分別収集! であっという間に一掃!
こうして無事正義のヒーロー「家電戦隊 炊飯ジャー」の二人は勝利! もちろん、愛Robot社から導入された、ロボット掃除機「バルーン」T-980とT-860のおかげだ!
正義は勝つ!
さあ! キミも遊楽園行園地でボクと握手!
愛Robot社によれば、敵と戦える「バルーン」は、民生機の「ルーンバ」から選ばれし機体のみが年に1度のアップデートで超進化できるという。そのためクラウド接続されているルーンバは、毎日その掃除の成果をセンターに送り、切磋琢磨しているという。いわば「ロボット掃除機のトップガン」。
もしかすると、みなさんの家の「ルーンバ」が次に悪と戦う「バルーン」になり、犯罪係数センサーやレーザー、対消滅エンジンを搭載し世界の平和を守ることになるかもしれない。ちなみにまだ「ルーンバ」を持っていない、これから「ルーンバ」を購入したいと考えてるならば、こんな記事やあんな記事をチェックするといいだろう。
そして、すでに「ルーンバ」と暮らしている人は、日々ホコリや食べこぼし、チリや粒子と戦うロボット掃除機を、ねぎらってやってはどうだろう?
それより何より、公益法人で利益出せない「家電戦隊 炊飯ジャー」も「寄付」という名の「ネギらい」プリーズ!せめて来年は、炊飯ブルーのコスチュームが一式買えるぐらいお金プリーズ!
次回「#2:女子校生怪人“ぷりケツ・エンコーダー”との死闘」(仮)は、2019年4月1日公開予定です。お楽しみにっ!?