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映画「お笑い忠臣蔵」の検閲が通らずさまざまな困難に直面したてんたち。
(工藤)あなたは 国にとって自由主義的傾向がある要注意人物だ。
(藤吉)「自分が北村にいる限り北村の映画は日の目を見る事はない。そう思てるかもしれんな」。
(てん)うちが そうはさせまへん。
♪~
♪「出かける時の忘れ物」
♪「ひょいとつかむ ハンカチのように」
♪「心の中に すべり込む」
♪「いちばん ちいさな魔法」
♪「泣いたり 笑ったり」
♪「今日も歩き出す」
♪「ありがとうと言いたいあなたのために」
♪「ごめんねと言えない」
♪「あなたのために」
♪「ありがとうと言えるそのときのために」
♪「ごめんねと言えたあなたの心に」
♪「パレードは まわり続けてる」
(風太)うわ~っ おい!あっ 何や 伊能さんか。
ハハハハ! おうおうおう何や 遅い時間までご苦労なこっちゃ。
いやな~ もうアカンわ。
てんに 新しい企画書渡すの忘れてもうて ヘヘッ。
明日 もう家から 直接 あの京都行くさかいなどうしても 今日…。
辞表?
何や これ!
いたずらか?
(栞)辞めさせてもらいたい。
いや… ちょっ ちょっ…待ってくれ おい。
どういうこっちゃ!
アメリカに行く。
アメリカ?
いや… いや ちょっと いきなり何の話をしてんねや おい!
誰にも会うつもりはなかったんだ。いや ちょっ ちょっ…待て こら!
ちゃんと説明してもらえますか?
僕が ここにいるとこれから先 何度台本を書き直したところで北村の映画は検閲には通らない。
北村笑店の皆や僕に ついてきてくれた仲間たちのためにもこれ以上迷惑をかける訳にはいかないよ。
アメリカて 行く当てあんのか。
マーチン・ショウのつてがある。金は?
ぎょうさん かかるやろ。
密航でも何でもして 必ず行くさ。
ほんなら藤吉との約束 どないすんねや。
北村と てんを支えるっちゅうんは。
♪~
(トキ)おてん様。
伊能さんてんの事 どない思てはんねや。
昔 お願いに行った事ありましたやろ。
てんの婿さんになってほしいて。
随分 昔の話だ。あん時 俺は…。
ホンマに それでええと思てた。
せやから アメリカやのうてここで… ここにおっててんの事を支えたって下さい。
このとおりです。
♪~
藤吉 亡うなって 隼也もおらん。
ほんで 伊能さんまでアメリカ行ってもうたら…。
(戸が閉まる音)
アメリカ行くて ホンマですか?
お前ら…。
もしかしたら 伊能さんがどっか行ってしまわはるんやないかてホテルやら あちこち捜して ここへ。
♪~
伊能さんの辞表や。
これ以上 君たちに…。
北村を辞める事は許しまへん!
伊能さんの苦しいお立場や北村が置かれてる状況はよう分かってます。
そやさかいうちが 伊能さん お守りします。
伊能さんは 出逢うた頃からいつもうちを助けてくれはりました。
何べんも 何べんも。
君 大丈夫か?
新しい寄席ができたと聞いてどんなものか見に来たんだ。
ほな 偶然?
是非 いらして下さい!
♪~
僕は あなたを支えていきます。
おてんさんが これからたくさん 笑っていけるように。
そやさかい 今度はうちが お助けする番です。
それは違う。
助けられてきたのはいつだって僕の方だった。
出逢った時から 何度も。
笑顔が まぶしくてあんなに 自分の気持ちにまっすぐな女性には後にも先にももう会えないだろう。
僕は 藤吉君だけじゃなくて君にも助けられて ここまで来た。
今 アメリカではカラー映画の製作が始まってる。
僕は…。
時代の最先端を見てみたい。
だからアメリカに勉強に行きたいんだ。
こんな暗い時代だからこそ観客に色つきの夢を見てもらえたら最高だろう。
色つきの夢…。
人生最大のピンチこそ最大のチャンスだと思いたい。
僕は 伊能商会の社長を辞めて本当に幸福だった。
君たちと おてんさんとここで ものを作れたからだ。
だからこそ…。
だからこそ 頼む。
分かりました。
けど アメリカ行かはるんやったらどうぞ うちらとの縁つないだまま行っとくれやす。
そやさかいこの辞表は受け取れません。
いやなんです。
うちの周りから大切な人が みんないてへんようになってしまうんが。
伊能さんがアメリカ行って映画の勉強しはるんは北村笑店 そしてこれからの日本にとって必要な事です。
伊能さんの夢 うちらも一緒に見さしてもらいます。
専務。
へえ。
北村笑店は 伊能さんにアメリカ行きをお願いします。
トキ 支度金や。小切手 切ってくれ。
へえ。
♪~
君には かなわないよ。
♪~
てんと伊能の別れが刻一刻と近づいていました。