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(亀井)バンザ~イ!(一同)バンザ~イ!
バンザ~イ!(一同)バンザ~イ!
(風太)我々 わろてんか隊は皇軍演芸慰問の使命を見事 完遂し大成果とともに隊全員無事での帰還をご報告致します。
(てん)皆さん 大変なお役目ご苦労さんでした。
(拍手)
いやいや いやいや 帰ってきたら取材や挨拶やらでえらいこっちゃ。団長なんかな やるもんやない。
ホンマ ご苦労さん。
そやけど 今日ははよう家に帰ってあげてな。
おトキも飛鳥ちゃんも首長うして待ってるさかい。
まあ そういう訳にもいかんやろ。
あっ そや 新聞社の局長が第二陣のわろてんか隊やってほしい言うてたで。第二陣!?
ああ。(楓)どうするんですか?
う~ん いや まあ とりあえずみんなに聞いてみんと。
そや… 向こうは どやった?怖い目に遭わへんかったか?
どないした?
いや まあ 確かに奥の方の駐屯地で大砲の音 聞いた事があったな。
大砲の音!?
遠くの方や。 大した事ない。そやけど…。
(戸が開く音)(イチ)お帰りやす。
リリコさん?どないしはったんです?
兵隊さんの手紙天満に届けに行ったんやろ?
(四郎)へえ 行きました。
ホンマ どないしたん?
(リリコ)戦死してはった…。
へ?
♪~
♪「出かける時の忘れ物」
♪「ひょいとつかむ ハンカチのように」
♪「心の中に すべり込む」
♪「いちばん ちいさな魔法」
♪「泣いたり 笑ったり」
♪「今日も歩き出す」
♪「ありがとうと言いたいあなたのために」
♪「ごめんねと言えないあなたのために」
♪「パレードは まわり続けてる」
頼まれてた住所に手紙届けに行ったら若い女の人が出てきて手紙見たら急に泣きださはったんや。
しばらく泣いて「あの人は英霊になりました」て。
ありがとうございます。
いやや…。
うち こんなん いやや!
♪~
専務 さっき話してた第二陣の事やけど…。
ああ…。
やめた方がええんとちゃうやろか。
♪~
(風太)ただいま!(飛鳥)お父ちゃん!
(風太)飛鳥! ただいま戻ったで。よいしょ。
おう 元気やったか? おい。うん!
ちょっと見ぃひん間におっきなった~ ハハハ!
(トキ)お帰りやす。
戦地慰問 ご苦労さまでした。
おう。
ごはん できてます。
トキ。
待たせたな。 堪忍な。
そや 飛鳥! 飛鳥ちゃん ほれ。
そや そや そや お土産や。
何かな 何かな? ん! ほれ!
ありがとう!
アカン… アカン おトキちゃん。
おトキちゃんに何も買うてきぃひんかった。
ごめん。
そんなん いらん。
あんたが無事に帰ってきてくれたんが一番のお土産や。
♪~
(鈴の音)
伊能さんの言うとおりでした。
戦地に安全なとこはない。
北村の家族危ない目に遭わせるとこやった。
(藤吉)な~に しょげてんのやてんばあちゃん。
おばあちゃん!?そりゃ そやろ。
孫が できたんやからおばあちゃんや。
うちには 子ぉはいません。
そやさかい 孫も いぃひん。
強情やな。
なあ てんが慰問団を送ったんは何でや?
兵隊さんに わろてもらお思たからです。
うん。
その 亡くなった兵隊さんもミス・リリコ アンド シローの漫才見てわろうてくれはったんやろ?
そうです。
それだけで慰問に行ったかいがあった。
胸張ってええ事や思う。
へえ。
わろてんか隊 第二陣やろ思います。
(栞)一度うまくいったからといって次も無事だという事はないんだぞ。
分かってます。
何のためだ?何のために そこまでする?
これは行ったもんにしか分からん。
そやから また てんの事とあと…トキの事 頼んます。
軍隊慰問第二陣の話正式に依頼がありました。
俺は 社長が反対しても慰問団は続けるべきやと思う。
けど 危ない事あらへんの?
そうや。 大陸の奥地まで戦火が広がってるて。
ますます危ないわ。
(キース)俺は 行ってもええで。
(アサリ)ほな わいも行くしかないなぁ。
うちも行くわ。ええやろ? 四郎さん。
もちろん。 リリコと一緒や。
(万丈目)ほな 台本作家も必要やな。
何で… 皆さん えらい目に遭うたんとちゃいますの?
そや。 手紙預かった兵隊さん戦死しはったし…。
確かに 兵隊さんは明日をも知れん命です。
せやけど… な。
その人らを笑わす事できたんは芸人冥利に尽きるわ。
(四郎)うん。
もし漫才見てくれはった次の日に亡くなってしまう兵隊さんがおったとしてもわてらがやった事は無駄やなかったってそう思えるようになったんです。
俺らが行かなアカンねや。
お国のため 会社のためやのうて言うたら…自分らのために行くんや。
そやさかい 心配せんでええ。
社長 そういうこっちゃ。
北村は 笑いの会社です。
うちらが 笑いを忘れたらアカン。そう思てます。
よう分かりました。
おトキ 楓さん承知してもらえるか?
(ため息)
ほな 今度は新作 持ってってもらわんとな。
皆さん。
必ず ご無事で戻ってきて下さいね。
おおきに。
ほな わろてんか隊続けさしてもらいましょ。
よっしゃ。(拍手)
うちは せっかく覚えたから漫才に あっちの言葉使いたいわ。
偉いさんに聞かれたら まずい事全部 いろんな外国語にするんや。
いやいや… お前 そんな事したら普通に 兵隊さんらにも意味分からへんがな。そら あんたが通訳して怒られたらええねん。何やねん それ! もう!
わいは 兵隊さんのバカバカしいネタがええわ。おお~!
ほな 連隊長が 壺にこっそり隠してる水あめを二等兵が盗み食いするちゅうのは どうや?
お~ ええやないか!それで それで?
いや それだけや。何や それ!
さっき みんなの話 聞いてた時新一兄さんの言葉 思い出したわ。
ん?
「人間はお金や地位や名誉を競い合い戦争までするアホな生きもんや。そやからこそ笑いが必要になったんや」て。
人は いつか 必ず死ぬ。
けど その悲しみを乗り越えるために笑いがある。
つらい時こそ 笑うんや。
きっと そうなんや。
笑いの底力 見せたりまひょ。
おう 藤吉もう少し やらしてもらうで。
見守っといてや。
よろしゅうお願いします。
北村笑店は このあとも外地だけでなく 日本各地にも慰問団を送り続ける事になるのです。