2月上旬の株式市場の大幅下落には驚かされたが、日本経済が順調に回復しているとの評価を覆すほどのものではない。2012年12月から始まった景気拡大は、高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、「戦後最長景気」(2002年2月~2008年2月)に次ぐ2番目の長さになったという。

 むしろ、なぜこんなに長く好況が続いているのに「実感がない」と多くの人が感じるのか、を解き明かすほうが大事なテーマだろう。そして、それには理由があるのだ。

2000年代以降の景気拡大
「実感なき好況」の理由

 2002年以降、日本経済は大きく分けて2つの好況を経験している。

 一つは、前述した2002年から2008年にかけての戦後最長の拡大期(以降、前期)であり、もう一つが2012年末から足元に及ぶ景気拡大期だ。

 2014年に消費増税があったことで景気の振幅は大きくあったものの、それも含めれば景気の拡大期間は前期にほぼ並ぶ。

 この二つの長い景気拡大局面で共通するのが、どちらも「好況」の実感が乏しいとされていることだ。