小平奈緒選手を9年間にわたって支えたのは、長野県の相澤病院だった Photo:エンリコ/アフロスポーツ

 スピードスケート女子500mで小平奈緒が、ついに世界の頂点に立った。ただひたすら速く滑ることを追い求め、地道な努力を重ねて31歳で咲かせた大輪の花だった。

金メダル!小平奈緒を
支え続けた相澤病院

 そしてその快挙とともに一躍注目を集めたのが、所属先である相澤病院だ。

 冬季競技は華やかなフィギュアスケートを除いて五輪の時しか注目されることはない。選手をサポートしたところで広告効果はほとんど見込めず、受け入れる企業や活動資金を援助するスポンサーは数少ない。冬季競技の選手の多くは、トレーニングとは別に生活の基盤となる所属企業やスポンサー探しを行ないながら競技を続けているのだ。

 小平もそのひとりだった。師と仰ぐ結城匡啓コーチ(信州大学教授)と練習を続けたいという条件もあったが、大学卒業後の所属先が見つからず、競技継続が危うい状況にあったといわれる。そんな小平に手を差し伸べたのが長野県松本市の相澤病院。2009年、病院内のスポーツ障害予防治療センターのスタッフとして採用された。