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（栞）おてんさん自らの手で新しいスタアを発掘するんだ。
（てん）女子が憧れる…。（トキ）銀幕の大女優。
映画スタアの女子の万歳さんや！
（隼也）ミス・リリコ　アンド　シローや。
てんが　初めて興行師としてプロデュースしたミス・リリコ　アンド　シローですが…。
（四郎）シロ！
シロ…　シロ…。（リリコ）「シロ　シロ」って子犬か！
緊張して　頭ん中が真っ白に…。（風太）何や　あれ。
（リリコ）こちら　シローさんです。どうぞ　お見知りおきを。
（小声で）ほら　次あんたや。　「シローですアコーディオンは　うまいんですよ」。
はよ。あうっ　あっ　あう　あう…。
デビューはほろ苦いものとなりました。
何　怒ってんのん。漫才　結構　ウケてたやん。
それは　シローが失敗したん笑われただけや。
あれは　芸でも何でもない。
そないな事…。
お二人が高座に上がっただけで笑う人　ぎょうさん　いはったし。
ええ相方さんや思うえ。そや　そや！
美女と大仏のコンビ僕も　面白いと思う。
そのあげくが　これや。
「あはれ美人女優の末路。素人相手に笑へぬ漫才」。
なあ　これから　どないする？
もちろん　ミス・リリコ　アンド　シローでやってもらいます。
尻尾巻いて逃げる気ぃはありまへん。
うちも　後に引いたらそれこそ笑いもんや。
何か　ええ手　考えんと。
へえ。
♪～
♪「出かける時の忘れ物」
♪「ひょいとつかむ　ハンカチのように」
♪「心の中に　すべり込む」
♪「いちばん　ちいさな魔法」
♪「泣いたり　笑ったり」
♪「今日も歩き出す」
♪「ありがとうと言いたいあなたのために」
♪「ごめんねと言えない」
♪「あなたのために」
♪「ありがとうと言えるそのときのために」
♪「ごめんねと言えたあなたの心に」
♪「パレードは　まわり続けてる」
（鈴の音）
今日も　よろしゅうお願いします。
よし　今日も一日　頑張るでぇ。
おおきに　ありがとうさん。
ところで　リリコとシローの漫才どないするつもりや。
へ？
大漫才大会優勝どころか　新聞でもえらい書かれようやないか。
俺はな　社長が　世間の笑いもんになんのが怖いねや。
おはようございます。おはようさんです。
ああ　お前からも何とか言うたってくれ。
あの　お母ちゃんと　おっちゃんにお願いがあんねん。
お願い？何や　改まって。
失礼します。
ありがとう。
（万丈目）すんまへん　ボン。（亀井）ああ　座っとくんなはれ。
そないに　気ぃ遣う事あらへん。
今日から　隼也は　ここで丁稚奉公する事になったさかい。
丁稚奉公って…。
ホンマ　急な話で　すんません。
けど　ちょっとずつでも仕事覚えさそ思いまして。
俺の下で　一から寄席を勉強させますよって。
甘やかさんといて下さい。ほいじゃ　挨拶や。
はい。　これからおっちゃん　…やのうて専務のご指導の下寄席や演芸の事を学んで北村笑店の力になれるよう努力しますのでよろしゅうお願いします。
（拍手）
全国大漫才大会の報告書目ぇ通せたやろか。
えらい儲かりましたな。
文芸部が作った台本がええいうて書いてくれとるがな！
ああ　ああ。優勝したキース・アサリも新聞　雑誌の取材の依頼が殺到してるし出演依頼も　ぎょうさん来てる。
この調子で　日本中に漫才旋風を巻き起こすで。
なあ　ミス・リリコ　アンド　シローは？
アカン　アカン　アカン。　あんなアウアウ　アウアウ言うてるだけのもん漫才ちゃう。お客さん　時々わろてましたけど。
お茶くみは　余計な事　言うな！すんません。
リリコには　新しい相方でも見つけてやって民謡でも歌わせてやったらええと思うけどなぁ。
けど　２人はまだ　コンビ組んだばっかりやし。
いや　このまま　結果の出んもんにこだわっててもそれこそ　社員から女社長の道楽や言われてしまう。
けど…。
伊能さんは　どう思います？
女性たちだけで新しい漫才を作り出そうとする思いつきは　いいと思う。
だが　おじけづいていたら新しいものは生まれない。
今　必要なのはこれを　やり遂げようとする社長の覚悟だ。
それが　できないのなら　専務にお任せした方がいいと思う。
♪～
♪～
藤吉はんミス・リリコ　アンド　シローやったら今までにない漫才ができる思うんですけど…。
♪～
（藤吉）てん。
（鈴の音）
℡
あっ　はい。
℡
はい　北村です。
伊能さん！
今日は　役員会議ありがとうございました。
いや。
すまないね　こんな夜分遅くに。
ちょっと　言い過ぎたかなと思ってね。
ああ…　いえ。
伊能さんや風太の言うとおりです。
やり遂げたい気持ちはありますのやけど何からしたらええか…。
おてんさん。
はい。
人前で悩むな　へこたれるな。
一旦　やると決めた事を簡単に諦めるな。
これが　社長の極意かな。
へえ。
℡そう簡単にできる事じゃないが。
ああ…　そうですな。
℡じゃあ　もうひと頑張り期待してるよ。
おおきに　ありがとうございます。
うん。
♪～
ええか？　お前のお父ちゃんも　お母ちゃんもその雑巾がけから寄席の経営を始めたんや。
そうやってな　芸人の汗と涙そして　お客さんの熱気を肌で感じながら一人前の経営者になってったんや。
それは分かる。　分かりますけど僕は　アメリカでショウをぎょうさん…。
アメリカ禁止～。
二度と口に出すなよ　修業中は。ええな。
はい。よっしゃ。
専務　一つ　お願いがあるんやけど。
何や？
ミス・リリコ　アンド　シロー　また高座に出してもらえへんやろか。
は？（楓）専務。
２人に場数踏ましてあげたいんです。
お願いします。
今度こそうちが必ず成功させます。
これは道楽やないれっきとした会社の事業や。
まあ　そこまで言うんやったら昼席の前座ぐらいは考えん事もないな。
おおきに。　頼んだえ。
ありがとうございます。ほな　早速　マンマン行ってみんなに言うてくるわ。
隼也も　専務の言う事　よう聞いてしっかり気張るんやで。
はい。
くそ～　俺も甘いな。
こら！　手ぇ止めんな　アホ！はい。
すぐ　サボんな　お前。アホボンって呼ぶぞ。
何ですか？　それ。アホボンや。
何ですか？おうおう　おうおうアメリカ帰りは　ちゃうな。
かっこええな。ハハッ　ありがとうございます。
褒めてへんわ！　アホか！
あんな失敗したのにまた高座に出られるんですか？
うちの人の事やからクビや言うかと思いましたわ。
そやけど実力認められた訳やあらへん。
やっぱり　キース・アサリ打ち負かして漫才のてっぺん取るしかないな。
とにかく　やってる　うちらが自信持つ事や。
僕が　ちゃんとセリフ言えるようにならな。
譜面覚えるみたいに何万回でも台本読んでしゃべくりできるようになります。
よう言うた！うちも　その稽古　つきおうたるわ。
ほな　ミス・リリコ　アンド　シローと　うちらの再出発や。
（一同）へえ！はい。
せっかく　女子がそろってるんやさかいもっと女子らしいお二人の売り方　考えまひょ。
うちは　北村笑店で雑誌を作って宣伝したらええ思てるんや。
（一同）雑誌！？
こないだ　新聞や雑誌でこき下ろされましたやろ。
ああ…。それやったら　今度はリリコさんと四郎さんの漫才挑戦への想いや　人となりをうちらが記事にして　逆に宣伝したらええんちゃうかと思て。
そら　ええな。
（歌子）ほしたら　リリコはんに合わして洋風弁当作って寄席で売ったら　どないやろ。
ええな！
そしたら　売店でうちのブロマイドも売るか？
ひゃ～何か　映画スタアさんみたいやわぁ。
すてきや！　ブロマイドなぁ。あ…。
四郎のブロマイドも作るんやろか。
え？
♪～
う…　うちが一枚買うたるわ。
とにもかくにも　ミス・リリコ　アンド　シローを売り出すためのてんたちの奮闘がまた　始まりました。