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小泉政権時代、「仕手筋」が一斉に摘発されるなど、徹底した“市場浄化”が行われ、怪しいマネーは一掃された…はずだった。しかし、今なお市場には、規制や監視の目をかいくぐったヤクザマネーがしっかりと根を張り、巨額の富を得ている。DOL特集「地下経済の深淵」4回目は、株式市場でぼろ儲けするヤクザマネーの現実をお伝えする。(ダイヤモンド・オンライン編集部「地下経済問題取材班」)

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インサイダー情報を元にして
巨額の富を得る秘密の投資クラブ

 昨年末、都内のある超高層マンションの一室には、10人程度の男たちが集まっていた。その部屋には所狭しとパソコンのモニターが並べられ、さながら金融機関のディーリングルームのよう。表示されたさまざまなチャートを見ながら、男たちは熱い議論を戦わせていた。

「どうやら来週、あの会社が第三者割当増資を実施するらしい。10本くらい調達すると言っている」

「あそこは、業績の下方修正をやると言っている。資金繰りも厳しいからねぇ。経営陣は、会社を手仕舞いする方向で検討しているらしい」

「また、あの会社、ありもしない案件を発表する。ほんと、何回、同じようなことをするんだろうねぇ。まあ、株価は上がるからいいけどさ」

 彼らが、一堂に会して行なっていたのは、さまざまな企業に関する情報交換だ。内容は、業績を始め、事業計画に人事情報、資金繰りや資金調達に至るまで実に幅広い。対象も、東証一部から新興市場至るまで上場企業全般だ。

 これだけであれば、投資家たちの情報交換の場に過ぎないが、実は少々趣が異なる。というのも、彼らの情報は全て、企業側が発表する前の“インサイダー情報”だからだ。