からだの特徴

鼻管

多くの硬骨魚の鼻嚢は、入水孔から水を取り入れ、出水孔から流れ出る構造で、皮下にU字状につながり存在します。 流れ出る際に、鼻腔内を通過する水に含まれる匂いを感じ取ります。 ポリプテルスも同様の鼻嚢構造で、細く伸びた突起状の鼻管が敏感に匂いを察知し、視界の悪い環境でも嗅覚を頼りに捕食を行うことができます。
ポリプテルスはあくまでも独立した嗅覚器官として使うのに対し、総鰭綱や肺魚綱は出水孔(内鼻孔)が口腔と通じているため口腔内の臭いを感じ取ることができます。 さらに進化すると陸棲脊椎動物の特有の器官となる入水孔(外鼻孔)から空気を取り入れ呼吸を行るようになります。 このことから、より早い段階でポリプテルスの腕鰭綱が派生していたことがわかります。
鼻管はスレ・ケンカなどで簡単に消失しやすく、再生もしやすい。 水質悪化などで、ほどけた組み紐の様に先が広がりラッパ状になった場合、元に戻ることはあまりないようです。

噛まれて 暴れて ジャンプして ガラス蓋に激突。
どのタイミングで切れたか分からんけどブラブラになった鼻管も半年たらずで完治しました。

たまご

卵は1つの細胞であり、体の中で一番大きい細胞です。
小学校の理科で、細胞は成長と分裂を繰り返すと習ったかと思います。 ところが受精した卵細胞の場合、1個が半分に分裂、さらにその半分の4個の細胞に、4個が8個に… 細胞の数は倍に増え続け 増えた分だけ細胞が小さくなります。この分裂が割れて見えることから 卵割(らんかつ)と言います。
また卵細胞には、生物構造の元となる胚発生時や、孵化後しばらく過ごせるまでの栄養分 卵黄も存在します。 哺乳類や両生類、魚類など生物によって必要栄養分量が異なるため、卵黄量も異なります。卵黄が多ければ多いほど卵割を妨げるので、生物の卵割形式も異なってきます。

等黄卵 - 全割

胎盤で成長する哺乳類。体構造が簡単なウニ,ヒトデなどの棘皮動物、ナメクジウオなど
ほぼ卵黄を必要とせず、卵黄量が少ないため全体が均等に分割する。
端黄卵 - 全割

オタマジャクシのような幼生期間を経て成長する両生類など
初期は均等に卵割する。卵黄がやや多いので卵割が妨げられようになり不等割になる。
端黄卵 - 部分割

胎盤、幼生期間がなく成体の姿で孵化するため充分な卵黄養分が必要とする、魚類・爬虫類・鳥類など
卵黄が極端に多いため一部分のみ卵割。
心黄卵 -部分割
昆虫類やクモ類、甲殻類
卵黄は中心部分に集中。分裂した核が卵表面に移動してから卵割を始めるもの。

ポリプテルスは全割からはじまり、両生類と非常によく似た卵割を行います。 ところが分割を繰り返し、構造ごとに異なる胚葉が複雑な体の組織を作り出す頃には 魚類らしい成長を遂げます。このような両生類型を行うものに、無顎類のヤツメウナギ、肺魚綱類、条鰭綱 チョウザメ類 がいます。 どれも原始的な特徴を持っていることから、条鰭綱として確立する以前に派生したと考えられています。胎生の総鰭綱(シーラカンス類)の卵割までは不明です。
イクラ

イクラに見える目玉みたいな油球。
ここの部分全体から生物構造ができるように感じますが、タンパク質と中性脂質で出来た卵黄。

外鰓

幼魚期には頭部の両側から 水になびく羽毛のような呼吸器官 外鰓(がいさい)が1対伸びています。 読んで字のごとくエラの外側に突出したものです。 形状や対数は違うものの、肺魚類の幼魚期や、アホロートルなど幼形成熟(ネオテニー)を除く両生類の幼生期にも存在しています。
硬骨魚には鰓蓋の内側には赤い扇状の内鰓(ないさい)があります。 扇状の基部には弓状の骨 鰓弓(さいきゅう)があり、前方にプランクトンなどを濾しとる鰓耙(さいは) 後方には呼吸を行う鰓弁(さいべん)もしくは鰓葉(さいよう)が伸びています。 1本の鰓弓から毛細血管を張り巡らした鰓弁が前後2列に伸びて、2枚の扇が鰓弓についているように見えます。扇は毛細血管が透けて赤く見えています。
2列のうち1列部分を一次鰓弁といい、一次鰓弁を包み込むように二次鰓弁と呼ばれる無数のヒダが、クチから入ってきた水中の酸素取り込むと同時に 体内の二酸化炭素を放出しています。 通常 内鰓の鰓弓は4対で、他に1対 偽鰓と呼ばれる鰓弁のみの 計5対で構成されています。 これらを使い、効率よくエラ呼吸を行うためにクチと鰓蓋を交互に開閉させ能動的に水流を起こしています。

鰓弁

内鰓に対し 体表面上の外鰓は、鰓弓の外面から突出したもので別の器官になります。外鰓は動かすことで絶えず新鮮な水と触れることを選択した補助的な呼吸器官として発達しました。 けれど自ら水流を作る内鰓と異なり、自然に流れてくる酸素を取り入れる受動的なものでもあるため、排出した二酸化炭素の再循環が起こりやすくなります。 また、鰓蓋で防御されず、たなびく姿が標的になりやすく、食い千切られてしまうと酸素不足につながる不利な点があります。

外鰓の広がり具合や大きさは、健康状態・成長速度・環境などや種によって違いがあり、一般的に餌の摂取量が多く 健康状態がよいと外鰓は より大きく広がると言われています。 やがて成長と共に肺が発達すと消失していきます。エンドリケリー エンドリケリーなど成長の早い種では約半年、ウィークシーでは数年経っても外鰓が残ることがあります。

肺 (ウキブクロ)

口先を水面から出して大気中の酸素を直接取り込む肺呼吸をしています。 食道から通じた肺は、左肺が短く 右肺は尾側部まで長く伸びた構造のものが腹側に1対あり、陸棲脊椎動物と比べたら不完全ですが、肺呼吸ができない環境では酸欠で死んでしまいます。 呼吸のほかに、浮力調整のウキブクロとしても使っています。 海域から大陸の淡水域に移り住んだ硬骨魚の祖先ですが、常に安定した広大な海水と異なり、干潮の影響や気候環境によって淡水域の溶存酸素量は激変しました。 硬骨を得て活発に泳げるようになったとしても、遊泳に使う筋肉で酸素量を必要とします。 大気の酸素濃度は溶存酸素より30倍近くあり、直接吸い込めばより多くの酸素が取り込むことができます。 少ない溶存酸素を補ううち、エラの後ろ付近にある消化管の一部に突起ができました。 ここに毛細血管を張り巡らすことによって吸収量も増え、次第に大きく膨らむ袋状の肺へと変化していきました。
二酸化炭素の放出は、二酸化炭素の性質が空気中より水中のほうが溶け込みやすいことから、エラを通して水中で行っています。
ポリプテルス:からだの特徴