からだの特徴
眼
一般的に条鰭綱の視野は、厳しい生存競争を生き抜くため、身の危険となる捕食者の存在の察知、餌の確保など広範囲の情報を必要としています。
そのため真後ろを除いた320度の広範囲を見渡せますが、両眼で同一部分を見れるのは非常に狭いと言われています。
また、多くの種は距離の離れたものはぼやけたように見える近眼で、嗅覚や聴覚と共に状況と察知し、捕食者なら逃げ、餌なら近づき確認するといった行動をとります。 真横にあるガーの眼も同じようなことが言えると思います。 給餌の際も眼で判断する事が多いようで、以前飼育していた片眼のガーも失っていた側から泳いでくる生餌には、見向きせず、気が付くことが少なかったように感じられました。 |
背ビレ・臀ビレ
体の中心部より後ろにある背ビレと臀ビレは、体を安定させ横揺れを防ぐと共に、方向舵に使われると考えられています。 また、後ろにあることで重心も後ろにいきやすく遊泳力を必要とするスピーディな小回りは苦手ですが、 尾ひれも使った3つのヒレを平行に動かすことによって力強く泳ぎ、ときには敏速な行動がとれるようになっています。 |
尾ヒレ
ガーの異尾 |
初期の条鰭綱の化石 Paramblypterus sp. より進化した硬骨魚類の中で浮力調節器官のウキブクロを持つ条鰭綱 真骨魚では、 速く泳ぐための原動力として、脊椎を中心に鰭条だけで構成した現在多くの魚類で見られるシンプルな上下対称形の正尾になりました。 初期の条鰭綱の化石を観察すると、正尾のように見えますが脊椎が尾ヒレ上葉まで延長していることが確認できます。 |
たまご
地元では淡泊な味が人気?のガーですが、卵だけは哺乳類に対して強い毒性を示すため食用にできません。
食中毒のような症状がでるほか、実験的に投与されたマウスに対して致死的に作用させることが知られています。
卵は有毒を含む厚いゼラチン質で保護し天敵から守っているのは分かりますが、哺乳類より捕食する可能性の高い魚類に対して無毒だそうで。
この毒が生態学的にどのような意味をもつのかは不明なところです。 ガーは直径4㎜ほどの付着卵を産みます。一般的に、浮遊卵に比べ 付着卵は大きなサイズで産卵数が少ないことが知られています。 淡水域は海水域より狙われる危険性や、孵化した仔魚の餌が少ないことから、より大きな卵と大きな仔魚が孵化する傾向があります。 卵の大小は仔魚の生き残りに強く影響し、大きな卵から孵化すれば仔魚の体サイズも大きくなり、飢餓耐性にも強く、同一で孵化した中で上位に立てることから生き残る確率が高くなります。 しかし、大きい卵のデメリットは孵化までの生存率が低い事らしいです。 ガーの卵は多くの条鰭綱より栄養価が高く、孵化する仔魚は多くの栄養を取ることができるため、飢餓耐性に強く、仔魚の時期の生存率は高いようです。 |
肺 (ウキブクロ)
浮力調整にも使う肺を持ち、腹側の食道から背側に伸びた形状のものが左右に1対あります。
陸棲脊椎動物と比べたら不完全ですが、口先を水面から出して大気中の酸素を直接取り込む肺呼吸を行うため、肺呼吸ができない環境では酸欠で死んでしまいます。 しかし、冬期など低水温の環境では何割かはエラ呼吸を行うように酸素摂取は肺に100%依存しておらず、種属によっても依存率の違いがあります。 やがて暖かな気温と共に水温も上昇するにつれ、肺による酸素摂取の割合が急増し約25~75%まで増加します。 生命が生まれた海水域から大陸内部の淡水域へ移り住んだ硬骨魚の祖先は、常に安定した広大な海水と異なり、干潮の影響や気候環境によって溶存酸素量が激変する事態を克服する必要がありました。 活発に泳ぐための体構造を手に入れても、遊泳に使う筋肉でより多くの酸素量を必要とします。 大気の酸素濃度は溶存酸素より30倍近くあり、直接吸い込めばより多くの酸素が取り込むことができます。 こうやって淡水域での少ない溶存酸素を補ううち、エラの後ろ付近にある消化管の一部に突起ができてきました。 ここに毛細血管を張り巡らしたことで酸素吸収量が増え、次第に大きく膨らむ袋状のものへと変化していきました。 このようにできあがった肺で体内へ酸素を取り込みますが、排出される二酸化炭素は水に溶け込みやすいことから、ほぼエラから排出しています。 |
|