ベイスターズの経営再建を成功させた池田純氏が、今度はラグビー界の再建に挑む Photo by Atsushi Tsuchiya

 横浜DeNAベイスターズの初代社長として経営再建を成し遂げた池田純氏が、日本ラグビー界の変革に着手する。日本ラグビーフットボール協会の特任理事として、日本ラグビー界の今後と構想を明らかにした。

 池田氏は、2016年までベイスターズのトップとして経営再建に取り組んだ。横浜スタジアムのコミュニティボール化構想などを柱に変革を進め、社長在籍5年間で観客動員数は110万人から194万人に拡大。売上は52億円からほぼ倍増の100億円とし黒字化を実現した。

 今回、池田氏は世界最高峰のラグビーリーグに参戦しているヒト・コミュニケーションズ サンウルブズを運営するジャパンエスアールのCBO(チーフ・ブランド・オフィサー)に就任。2017年4月より日本ラグビーフットボール協会の特任理事にも就任している池田氏は、これを機に日本ラグビー界の変革に本腰を入れる。ビジョナリストでありつつリアリストでもある池田氏が変革手法と方針を語った。

サンウルブズは売上10億円、1億円の赤字

 日本ラグビー界は、2019年に大イベントであるW杯を控えている。業界の底上げに向けてはビッグチャンスだ。この機会を前に、池田氏はチームや代表育成にかかる収支について話した。

「今はラグビー日本代表の強化に年間3億円くらいかかります。そして代表強化という目的も持ちつつ、プロのラグビーチームでもあるサンウルブズについては売上が10億円、1億円強の赤字です」

 サンウルブズはラグビーの国際大会「スーパーラグビー」に参加する日本チーム。選手は日本代表の強化などの目的を元に組成されている。スーパーリーグはニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ共和国・アルゼンチン・日本のチームで構成されており、世界最高峰のチームがしのぎを削る。

 記憶に新しいのは2015年のラグビーブームだ。五郎丸歩選手のキック前の「ルーチン」、ラグビー強豪国である南アフリカを日本が撃破するなど、日本ラグビー史に残るターニングポイントといっても良いほどの結果を残した。池田氏はこの2015年当時を「ラグビーの景色が変わるかなと思っていました」と振り返る。しかし「現状は、ラグビーの景色は変わっていない」とする。