ハーツでよく用いられる用語を解説します。一般的なトリックテイキングゲームでも用いられる単語がほとんどですので、覚えておいて損はありません。
ただ、何も知らない方がいきなりこれを全部覚えるのは無理だと思います。必要になったら参照すると良いでしょう。
カードに書かれているマークのこと。スペード・ハート・ダイヤモンド・クラブの4種類。スペード・ハートをメジャースート、ダイヤモンド・クラブをマイナースートと呼ぶ。
カードに書かれている数字またはアルファベットのこと。エースが最も強く、2が最も弱い。
A〜Tのこと。特に、A,K,Qをトップアナーとも。
アナーカード以外、すなわち2〜9のこと。
カードにランクの数字個のスポット(スートのマーク)が書いてあることが語源で、Tも含める場合もある。なお、Aは別格なので通常は含めない。
ハート13枚およびスペードのQ(SQ)のこと。ハートは1枚1点、SQは13点。ポイントカードとも。
イグジットが可能なカード。イグジットについては後述。通常はロウエストやセカンドロウエストなどを指す。エスケープカードとも。
それぞれ、高いカードおよび低いカード。ハイカードはJ〜Aあたりを、ロウカードは2〜5あたりを指す場合が多い。中間の6〜Tあたりはミドルカードと呼ぶ。
それぞれ、あるスート内で最強または最弱となっているカードのこと。ゲーム開始時はハイエストはエース、ロウエストはクラブの3またはクラブ以外の2(クラブの2は例外なので通常は除外)。2番目に弱いカードをセカンドロウエストなどとも呼ぶ。また、ハイエストはマスターカードとも。
ハンドのスート内で何番目に強いかを表す表記法。KQ73と持っていれば、Qはセカンドベスト、7はサードベスト、3はフォースベスト。最も高いKはトップカードと表す。また、最も低い3はボトムカード、スモーレスト等とも表す。
トリックを勝つ見込みのあるカード。通常はマスターカードや、マスターカードから続くシークエンス (例: AKQ)を指す。ハーツでは軽視されがちだが、リード権のコントロールのため重要である。
トリックを勝つ見込みのないカード。ハーツでは、通常はシュートザムーン狙いのときの処理が重要となってくる。
ハイカードと同じスートのハイカード以外のカードという意味だが、ハーツにおいてはスペードのQ以上を持っている場合のスペードのJ以下のカードを指すことがほとんど。これが無いか少ないと、スペードリードに対してQ以上を出さざるを得なくなる確率が上がってしまう。バッカー、プロテクションとも。
自分以外の3人のプレイヤーを指す。オポーネント(敵)という名前だが、ハーツでは共闘関係になることも多い。
4人のプレイヤーを方角で表したもの。通常は日本語の文章でもそのまま表記する。なお、Windows 7付属のハーツでは、自分以外の3人のプレイヤーのデフォルト名は「西」、「北」、「東」となっている。
1回のゲーム(パスとプレイ)を指す。ディールとも。
各プレイヤーがカードを1枚ずつ出す小勝負のこと。トリックの勝者がペナルティカードを受け取り、次のリーダーになる。ハーツの1ゲームは13トリックからなる。
トリックのはじめにカードを打ち出すこと。第1トリックのリード(オープニングリード)はクラブの2を持っている人がクラブの2を打ち出し、それ以降は直前のトリックの勝者が好きなカードをリードする。リードを行う者をリーダーと呼び、リードを行う権利(義務)のことをリード権と呼ぶ。
リードと同じスートのカードを出すこと。一般的なトリックテイキングゲームと同じく、ハーツにはマストフォロールール(フォローできるときはフォローしなければならない)が存在する。
リードと同じスートのカードがないため、違うスートのカードを出すこと。そのトリックには必ず負ける。
あるスートのリードに対し初めてディスカードすること。自分がそのカードを持っていないという情報が全員に伝わる。
日本語では落ちる、落とすとも。
ハートがディスカードされること。ハートブレイクとも。これ以降、ハートをリードすることができるようになる。なお、ハンドにハート以外が無い場合のみ、ブレイク前でもハートをリードすることができ、この場合もブレイクとして扱われる。
全てのペナルティカード(ハート13枚・SQ)を集めること。自分の得点はゼロで、他の全プレイヤーに26点ずつ与えることができる。ムーンとも。
ハーツの華。ムーン狙いやムーン阻止はハーツの醍醐味である。
ちなみに、英語では"shoot"は動詞であるため、名詞で表現する場合はMoonShot, Moon, Shooting the Moon, Slam等と表現される。
イグジットカードをリードすることで、そのトリックを負けること。リード権を相手に渡したい場合に行われる。ハーツではいかにイグジットするかが超重要。エスケープとも。
イグジットカードをリードすることで、そのトリックの勝者にリード権を渡すこと。イグジットと同じような意味だが、イグジットが「自分がそのトリックを負ける」ことに焦点を当てているのに対し、スローインは「その相手にリード権を渡すこと」に焦点を当てている(ような気がする)。
相手のイグジットカードを、同じスートのカードをリードすることでフォローに使わせること。例えば、クラブ3を持っている相手に対しクラブAをリードすることでクラブ3を刈り取り、将来クラブでスローインされるのを防ぐ。イグジットと並ぶ重要テクニックであるが、SQが見えていない場合は常にSQのリスクがつきまとう。
あるスートの(主にウィナーを)全て取ることでそのスートをなくし、あとあとそのスートでスローインされるのを防ぐプレイ。
ウィナーをリードして取ること。
ウィナーをフォローしてそのトリックを取ること。(例) 彼はクラブリードをAであがってスペードをリードした。
同じスートを何度もリードし、特定のカードを出させようとすること。ハーツでは、スペードをリードしてSQをあぶることが多い。
トリックを取れる場合に、あえて取らないこと。
あるトリックを勝った直後、同じスートのカードをリードすること。
あるトリックを勝った直後、別のスートのカードをリードすること。スイッチとも。
当て推量。オポーネントのホールディングなどを(明確な証拠なしに)推量しなければならない状態。ハーツはゲスだらけ。
プレイされたカードを覚えること。名詞はカウンティング。ハーツでは最も重要と言って良いスキルで、「ハーツはカウントゲー」と言う方も。
手札のこと。ゲーム開始時は13枚。
あるスートを1枚も持っていないこと。
あるスートを1枚のみ持っていること。
あるスートを2枚のみ持っていること。ちなみにトリプルトン以降はあまり言わない。
AKQJT63のように、あるスートにトップアナー(AKQ)が全てあり全勝が期待できること。「固い」とも。AQJT962のように1枚欠けの場合はセミソリッドという。
あるスートにイグジットカードらしきものがほとんど、あるいはまったくないこと、またはそのスート。要するに、ハイカードやミドルカードの寄せ集めのスート。
ゲーム開始時に、自分のハンドから3枚を選び他の人に渡すこと。ハーツの大きな特徴の一つで、何をパスするかは当然重要。
通常ならパスされがちなカードを、あえてパスしないこと。(例) 彼はSQをホールドした。
パス先のオポーネントのムーンを阻止する目的で、ムーンの邪魔になるようなカード(ハートのセカンドベストが多い)をパスすること。相手に易易とムーンをさせない上で重要。
SQとスペード以外の2枚をパスすること。SQをガード無しの丸裸(bare)でパスすることから。
使用例なんて載せてどうすんだよ、って感じですが、リンク時に一番下までスクロールしないのは不便かろうということで、スペース稼ぎがてら上記の用語をふんだんに使った文章を置いておくことにします。
彼の最初のハンドはみじめなものだった。腐った両方のマイナースートに、スペードはA2のダブルトン。ムーンの目もほとんどない。
彼はSAとクラブ2枚をパスすることを選んだ。クラブは3枚あるのでクリアすることはできなかったが、2トリック目以降にクラブをリードしてもらい、危険なカードをディスカードすることを期待したのだろう。
だが、彼の期待は打ち砕かれることになる。右のオポーネントのEastからパスされたのは、2枚のクラブのミドルカードとSK。スペードはK2のダブルトンと状況は変わらず、クラブは腐ったままだ。
NorthのオープニングリードのC2をEastがAであがり、彼はSTをフォロー。Eastはロウスペードにシフトした。おそらくEastはSQを持っていないだろう。だが彼は少考ののち、SKであがることにした。S2は単なるガードではなく、唯一の確実なイグジットカードである。ここで使ってSQのシングルトンに賭けるにはあまりにも惜しい。WestからSQがドロップされたが、これは仕方ない。SQの13点は喰らっても、残るペナルティカードであるハートを1点でも避けるためである。彼は残ったクラブをキャッシュし、クラブをはがし終えてからS2でイグジットした。
幸いにもこれを勝ったWestはスペードをコンティニュー。彼はダイヤモンドのトップカードをディスカードした。ハートをブレイクするのはまだ早い。勝ったEastはD2でイグジット、彼は「ダブルトンは上から」の原則に従ってハイをプレイ。これは勝たされたが、最後のダイヤモンドでイグジットすることができた。さらにハートを1トリック取り、計17点の失点で第1ボードを終えることができた。
彼の次のハンドはかなりウィナーに恵まれたものだった。ソリッドなスペードに、ダイヤモンドとクラブのエース。当然彼はムーンを考え、邪魔なハート2枚とダイヤモンドのルーザーをパス。だが非情にも、WestからHTのカバーパスが来てしまった。こうなるとムーンよりも、SQを取らないようにするのが優先される。
ハーツ攻略 - イグジットを読んでいた彼は、このハンドの適切なプレイを覚えていた。彼はオープニングリードをダックし、スペードシフトをJで勝った後、スペードウィナーをキャッシュしてスペードをエリミネイトした。あとあとスペードでスローインされるのを防ぐためである。エリミネイトし終わると、彼はボスマイナーのウィナーを全てキャッシュしてストリップした後、シングルトンのハートをリード。これを取られムーンは阻止されたが、自分にはスペードしか残っておらず、オポーネントには既にスペードは残っていないので、彼がトリックを取ることはもうない。そう思ってトップにSQをドロップするタイミングを計っていると、NorthがS2をディスカード! 肝が冷えるとはこのことである。どうやら彼はカウンティングをミスっていたようだ。彼は反省してから、次のボードに進んだ。
第3ボード、目下トップのNorthへのパスである。彼はスペードがQの5枚、クラブがボイドという素晴らしいハンドを引いた。通常はSQは安全なのでホールドするのだが、トップへのパスということもあり、SQをベアパスし自らあぶるプレイをすることにした。彼はSQとダイヤモンドのミドルカード、それにカバーパスとしてハートのセカンドベストを渡した。
NorthからはSAがパスされてきた。プレイが始まると、スペードの第2トリックでWestがハートをディスカードしてブレイク。NorthのハートシフトをAであがりスペードをリードするとEastがショーアウト。どうやらNorthはAKの5枚スペードからAのみをパスしてきたようだ。まだNorthはSKのストッパーを持っており、あと1回自分からスペードリードしても耐えられる。Northはハートを2回キャッシュしクラブにスイッチ、これを自分が取ってスペードでもう一度Northに放り込む。Northはクラブとハートをはがし終え、ダイヤモンドでイグジットしようとしていた。最後にダイヤモンドが2枚残りゲスを迫られたがNorthは正しくこれを当て、最後のハートのトリックを勝ったWestにSQは舞い降りることになった。