LibreOffice/OpenOffice について
文書作成,表計算,プレゼンテーションなどを統合したオフィスソフトといえば,Microsoft Office (以下,MS-Office) がよく知られていますが,MS-Office との互換性が高い無償のオフィスソフトとして LibreOffice/OpenOffice があります. LibreOffice/OpenOffice にはポータブル版が存在するので,これを USB メモリにインストールして持ち運べば,どこへ行っても MS-Office で作成されたファイルの多くを直接開いて編集することができます. さらに LibreOffice/OpenOffice では PDF ファイルを生成することもできます. TeX ユーザとしては,ドローソフトから EPS ファイルを生成できるところが,大変便利だと思います (詳しくは Draw を使った EPS 画像への変換法 をご覧下さい).
LibreOffice/OpenOffice のポータブル版は,いずれも USB メモリなどのリムーバブルメディアで利用できる様々なポータブルアプリケーションを配布している PortableApps.com から入手することができます. LibreOffice と OpenOffice は互換性が高く,機能上は大きな違いはありませんが,インストールに必要とされる USB メモリの空き領域が LibreOffice が 487~593MB とされているのに対し,OpenOffice では 826MB と 1.5 倍近いサイズであることや,更新の頻度などから本講座では LibreOffice の利用を推奨します. 特に最近の OpenOffice は,CVE-2016-1513 と呼ばれる脆弱性 (vulnerability) の修正に約 10 カ月もかかってしまうなど,開発体制に問題を抱えているように思われます.
LibreOffice を利用するには LibreOffice のポータブル化 をご覧ください. また,何らかの理由で OpenOffice が良いという方は,OpenOffice のポータブル化 をご覧ください.
ところで,OpenOffcie はもともと Sun Microsystems が開発してきたのですが,2010 年 1 月に同社は Oracle に買収されました. その後,開発グループの一部が 2010 年 9 月に「のれん分け」して立ち上げた The Document Foundation の下で開発が進められているのが LibreOffice です. LibreOffice は,定期的なバージョンアップ計画が公開されており,それに従った開発が進められているそうです. 一方,「本家」の OpenOffice は,2011 年 6 月 1 日に Oracle から Apache Software Foundation (ASF) へ寄贈されました. そして,Web サイト Apache OpenOffice が立ち上げられ,2012 年 5 月 8 日にローカル PC にインストールする通常版 3.4 が公開されました. その後しばらく Apache OpenOffice のポータブル版は提供されない状態が続いていたのですが,2015 年 4 月 16 日にようやく Apache OpenOffice 4.1.1 のポータブル版がリリースされました.
今後,Apache OpenOffice とLibreOffice との再統合が行われるのかが気になるところです. より多くの情報については,次の Web サイトなどをご覧ください:
- OpenOffice.org ユーザーのための LibreOffice 移行ガイド
- OpenOffice.org 日本語プロジェクト (Apache OpenOffice)
- LibreOffice
- オーユージー (OpenOffice.org の後継ソフトや派生ソフトユーザに役立つ情報を公開)
LibreOffice/OenOffice Portable や Java のアップグレード
LibreOffice/OpenOffice や Java の新しいバージョンが公開され,アップグレードしたい場合には,次の 2 つの手段があります.
- PortableApps.com の純正ランチャである PortableApps.com Platform を利用したアプリ追加とアップグレード を行う (自動アップグレード).
- 自分で必要なファイルをダウンロードしてアップグレードを行う (手動アップグレード).
手動アップグレードを行う場合,PortableApps.com の説明では,次のようにすればよいようです (より正確には,リンクをたどって英文を読んでください).
- Upgrading LibreOffice Portable
- 新しいバージョンのファイルをダウンロードして上書きするだけでよいようです. 明記されていませんが,古いバージョンの設定やマクロを残したい場合は LibreOfficePortable\Data\settings フォルダ以下を別のフォルダにコピーして,新しいバージョンをインストール後に戻せばよいでしょう.
- Upgrading Apache OpenOffice Portable
- 新しいバージョンのファイルをダウンロードして上書きするだけでよいようです. 古いバージョンを削除してから,新しくインストールするような場合に,古いバージョンの設定やマクロを残したい場合は OpenOfficePortable\Data\settings フォルダ以下を別のフォルダにコピーして,新しいバージョンをインストール後に戻しましょう.
- jPortable: Upgrading a Portable App
- 新しいバージョンのファイルをダウンロードして上書きするだけでよいようです.
LibreOffice/OpenOffice のアップグレードでは拡張機能が引き継がれない可能性があります. アップグレード後には,拡張機能マネージャから確認し,必要に応じて拡張機能の再インストールを行ってください.