10月1日にバルセロナのカンプノウで行われたFCバルセロナ対ラスパルマスの試合は無観客で行われた。あの巨大スタジアムが無人という状態は異様で、選手たちのかけ合う声がよく聞こえて、まるでトレーニングマッチのようにしか思えなかった。 これは、同じ1日にバルセロナがあるカタルーニャ州でスペインからの独立を巡る住民投票が行われたからだ。スペインの中央政府はこの住民投票の実施を認めず、治安部隊と住民の間で衝突が発生し、多くの負傷者まで出たという。
スペインがあるイベリア半島はかつてアラブ系の王朝に支配されていたが、その後キリスト教系のいくつもの王国が領土を奪還し、その過程で最終的にはカスティージャ王国主導の「スペイン」と「ポルトガル」の2つの国に統合されていった。だが、カタルーニャは独自の言語と文化を持つ地域であり、カスティージャ主導のスペイン中央政府に対して独立意識が高いことで知られていた。
とくに、1930年代に起こったスペイン内戦ではバルセロナは最後まで共和国(左派)側の拠点であり、フランコ将軍率いる右派軍に最後まで抵抗。そして、内戦に勝利したフランコは独自の言語の使用を禁止するなどカタルーニャを弾圧。対立は根深くなっていた。
また、カタルーニャは経済的に豊かな最先進地域なので、カタルーニャが収めた税金が貧しい南部のために使われることにも不満を抱く人が多い。このコラムを読んでいるサッカー・ファンなら、こういった事情はとっくにご存じかもしれない。なにしろ、こうしたマドリード(カスティージャ)とカタルーニャの対立構造こそがレアル・マドリードとFCバルセロナの「エル・クラシコ」の背景なのだから。
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