『週刊ダイヤモンド』10月7日号の第1特集は「これなら続けられる!『独学力』」です。勉強してキャリアアップに役立てたい。そう思っていても、いざ勉強するとなると、何から始めたらいいかわからないし、忙しくて続けられそうにない。そんな人にぴったりなのが「独学」です。いつでも、どこでも、自分のペースで勉強できる独学の魅力とノウハウをまとめました。

 独学には、人生を変える力がある。

 実際に、独学を極めることで人生が変わったのが、アイドルグループのももいろクローバーZの楽曲など、ヒット曲を連発している音楽クリエーターのヒャダイン氏だ。彼はどのようにして作曲を独学で学んだのか。

──音楽との関わりはいつからですか。

ヒャダイン(前山田健一)/1980年生まれ。3歳でピアノを始め、作曲を独修。京都大学卒業。2007年ニコニコ動画へ投稿した楽曲群がミリオン再生。ももいろクローバーZへの提供曲が2作連続でオリコンチャート1位。J-POPからアニメソング、ゲーム音楽まで幅広く手掛ける。

 3歳から習っていたピアノが好きで、毎日練習のほかにファミコンの音楽などを好き勝手に弾いていました。それもあって音楽は得意だったのですが、6年生のときに挫折を経験します。

 僕がパート譜を書いて同級生たちに渡し、合奏することになったんです。でも、みんな全然真剣に練習してくれなくて、思ったような合奏にならなかった。「好きな音楽をやるには人を説得してまとめるとか、社交術が必要なんだ。ウゼえ」(笑)と、暗たんたる気持ちになりました。

 シンセサイザーなら一人で全ての楽器ができると知って、中学に入るとたまっていたお小遣いで、小室哲哉プロデュースのオール・イン・ワンのシンセサイザーを買いました。当時はネットもなく、分かりやすい説明書もない。でも、毎日いじって曲を打ち込んでいたら、つまずきながらも1年くらいで自分のしたいことがほとんどできるようになりました。

──どんな曲を?

 TMネットワークやaccessというバンドのフルスコア(合奏・重奏における全てのパートがまとめて書かれている楽譜)を買って、ベース、ドラムなど各パートを1小節ずつ、全部手打ちしました。音楽は「レイヤー」でできているのだと体感として理解できた。