浜岡原発基準津波、内閣府想定考慮 中電、M9.6地震は対象外
(2017/9/16 08:00)-
原子力規制委員会は15日、中部電力浜岡原発3、4号機(御前崎市佐倉)の審査会合を開き、想定される最大の津波高「基準津波」の検討を始めた。中電は内閣府による南海トラフ巨大地震(M9・1)の想定を考慮し、これまで通り、基準津波を21・1メートルと算定したことを説明した。
一方、南海トラフから南西諸島海溝(琉球海溝)にかけて想定されるM9・6の地震については「(南海トラフと同海溝は)形成された年代や過程が異なる。一体となって破壊しない」として、基準津波の検討対象に含めなかった。
基準津波の検討は、浜岡原発の適合性審査で焦点の一つ。M9・6の地震は、規制委の新規制基準の「審査ガイド」に参考値として例示されているが、今回の会合で規制委側からの言及はなかった。
中電は内閣府の想定を算定に使った理由について「浜岡原発に最も影響が大きい」などと説明。遠州灘沿岸で津波堆積物を調査した内容や、国内外で発生した巨大地震を基にしたデータも示した。その結果、敷地前面の最大津波高は21・1メートル、敷地内の3~5号取水槽は最大で7・1~9・9メートル水位が上昇すると結論付けた。中電は敷地前面に海抜22メートルの防潮堤を整備済み。
規制委側は算定の根拠や経緯を明確にするよう求めたほか、自治体の地震被害想定なども参考にするよう要請。中電は応じる意向を示した。
規制委の石渡明委員は、中電の担当者が東日本大震災の津波を例外扱いして説明したことに触れ「われわれは例外とは考えていない。表現には注意してほしい」と指摘した。
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