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電ファミの記事のコト
電ファミに連載している…と言っていいのかわからないけど、ゲームデザインのロジックの話の4回目を読んだ知り合いからちょっとした質問が飛んできた。

そういえば、記事の中でちょっと疑問に思った。プレイヤーのRPGの実力はゲーム慣れして上がる一方のはずなのに、なぜ「ドラクエ2は現在の基準からすると難易度が高い」のか。まあ戦闘バランスの問題だと思うのだけど、RPGにプレイヤーが慣れた結果、慎重さを失った、とかなのかなあ

そんな曖昧なことではなくて、明快に理由がある、というのをtwitterにぱっと書いたけれど、もうちょっとちゃんと説明しておこうと思って、ここに説明を残しておく。

クリア時間をNとして、データ量がRとする。
とするとR/Nが1時間あたり割り当てられるデータ量になり、これがゲーム内で使える平均量。
ファミコン時代には20時間程度を標準的なクリア目標時間に設定していたので、Nは同じと仮定する(20-30時間程度でシングルプレイをクリアするというのは今でもおかしい設定ではないので、この仮定はおかしくない)。
とすると、現在のR>昔のR なのは明白なので(ちょっとしたダウンロードゲームがCD1枚より大きいのが当たり前のご時世だ)

『昔の方が1時間あたりに使えるものが少ない』
 = 繰り返しが増える(同じ敵・同じ場所で戦う時間が長くなる)
 = RPGなら一回の経験値が少ない&レベルの上りが遅い
 = 無理すると死ぬ
 = 難易度が高い。

狭いマップと広いマップなら、広いマップに沢山のデータを置いた方が難易度の上昇曲線は押さえられるということだ。
これが一個めの理由。
2個めの理由は以下。
これは一個めの理由と重なっているけれど、意味が少し違うパラメータのレンジの問題だ。


8ビットマシン、ファミコンやPCエンジンではよく0-255のパラメータの範囲で作られていた。これは8ビットで表せる数字のレンジだ。ちょっとがんばれば16ビット(0-65535)も普通に使えたが、容量やイロイロな点から0-255をみんな使いたかった。
この理由を説明すると、8ビットx8ビットの最大値は255x255=65025(符号なしで)だから。途中の計算式を16ビットの中に納めたければ、元の値は8ビットがありがたい、とそういうことだ。
全く同じように0-65535までをパラメータとして使えるようにすると、途中の計算はどう考えても32ビットが必要になる。CPUの持っているビット数に結構依存するあたりだ。

と、それを理解してもらったうえで、もうちょっと細かい話になる。

パラメータには8ビットを使いたかった8ビット時代に、最大HP=255、最大レベル=100のCRPGを企画したとする。
すると255/100=2.55でもちろん小数点は使えないので、1レベルあたり、パラメータは平均的にはだいたい2もしくは3上がるということになる。
ところがこれが仮に16ビットを使えるとすると、最大HP=65535となり、1レベルあたり1~655の数字を使うことが出来る。
2では足りないが3では大きい時に、2.5が設定できないパラメータと、200では足りないが300では大きいときに、201-299の数字の調整が出来るゲームなら、どちらがより調整しやすく、やりやすいゲームになるのか? もちろん言うまでもなく後者だ。
違う説明をすると255までしか使えないと、一回のレベルで上がるパラメータの最小は1/255。65535まで使えるなら、一回のレベルで上がる最小量は1/65535
つまりコントロールできるパラメータの幅が違いすぎるのだ。

実際、イースⅠ・Ⅱでは、今の目から見たらレンジの使い方がヘタクソだって問題を除いても、なにをどうやってもラスボスのパラメータが作れず、ラスボスは一切のパラメータを無視してレベルと装備だけを見る特別なテーブルでバトルを作っている
パラメータのレンジがもっとあれば、こんな作り方をする必要はない。こういうのが余裕のなさを作っているわけである。


と、こういうわけで、使えるデータ量の問題ともともとのパラメータレンジの2つから、当時のRPGは難しいわけだ。

そして蛇足を書くと、古いCRPGはパラメータの効きが大きいので1レベル上げると突然楽になるとか、武器変えたとたんに異様に簡単になるといった、いいのか悪いのか微妙な現象が期せずして起こりやすいわけである。

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