マクラーレンとホンダが決別のときを迎えるのか、あるいは来季も両者の関係が継続されるのか、その最終決定はレッドブルとトロロッソに委ねられることになりそうだ。
■ホンダとの決別を決めたマクラーレン
先週末に行われたF1イタリアGPでもトラブルにより2台ともリタイアとなってしまったことで、マクラーレンとしてはホンダと今季限りで手を切り、来季はルノーパワーユニットに移行するという考えを固めたと伝えられている。
ホンダF1プロジェクト責任者の長谷川祐介は、3日(日)に現在の状況を次のように語っていた。
「いいパフォーマンスを発揮することで彼ら(マクラーレン)を納得させたいと頑張っています。ですが、それで十分かどうかは分かりません」
だが、マクラーレン首脳部のコメントからは、すでにホンダに対する忍耐も限界を超えたことがはっきりと読み取れる。
マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエは次のようにホンダを批判している。
「マクラーレンは常に自分たちの目標を達成してきた。ホンダが彼らの目標を達成できたことは一度もない」
■マクラーレン・ルノー誕生には大きな障害も
だが、ホンダと決別すれば、当然ながらワークスエンジンの供給を受けられなくなり、逆にお金を払ってルノーからエンジンを購入しなくてはならなくなる。現在ホンダから提供されているその他の支援なども含めると、マクラーレンでは年間1億ドル(約110億円)もの費用負担増大が見込まれるという。
しかし、マクラーレンはそれでもホンダと手を切ることを決断したのは間違いないようだ。
とは言え、現状ではマクラーレンとしてもすぐにほかのメーカーのパワーユニットを手に入れられるという状況ではない。
ホンダ以外のメルセデス、フェラーリ、ルノーはそれぞれすでに3チームへパワーユニット供給を行っており、現在のルール上もう1チーム供給先を増やすことは認められない状況にある。
そして、F1オーナーであるリバティ・メディアやF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)も、ホンダがF1にとどまることを強く望んでいるとされている。
■状況は複雑だとマクラーレン
そこで、マクラーレンとしてはトロロッソとホンダを組ませようと試みており、現在トロロッソ、そしてそのオーナーであるレッドブルの説得にあたっていると伝えられている。トロロッソが現在供給を受けているルノーとの契約を解除してホンダに乗り換えれば、マクラーレンは問題なくルノーからパワーユニット供給を受けられるようになり、ホンダもトロロッソとともにF1にとどまることができるからだ。
「状況は複雑なんだ。単にマクラーレンだけの問題ではないからね」
そう語ったブーリエは次のように付け加えた。
「我々としてはF1全体にとって何が最善の策なのかを考える必要もあるんだ。交渉にあたっているすべての関係者はこのことを理解しているよ。今はこれ以上のことは言えないがね」
さらに、マクラーレンF1のエグゼクティブディレクターを務めるザック・ブラウンも次のように続けた。
「理想的なシナリオは、最後には全員が笑顔になれるものだ」
「だが、そこにたどり着くにはトロロッソの協力が必要だ」
「すでに来年のF1マシンの設計に影響が出る時期に来ているし、我々がどうすべきか、どこへ向かうべきかを知る必要がある」
■最終決断を委ねられたレッドブルとトロロッソ
こうした中、ルノーとしては、もしトロロッソがホンダに移行することになれば、その代わりにマクラーレンへ2018年にパワーユニット供給を行うことは可能だと示唆している。
今季からルノーの特別アドバイザーを務めている元F1ドライバーのアラン・プロストはドイツの『Bild(ビルト)』に対し、「我々にはその準備はある」と語り、次のように付け加えている。
「だが、まずはトロロッソ、マクラーレン、そしてホンダが合意に達する必要がある」
伝えられるところによれば、リミットは遅くとも今週いっぱいだろうと言われている。ホンダF1問題が2018年に向けてどう進展するのか、もうすぐ結果が明らかになるはずだ。