『週刊ダイヤモンド』9月2日号の第1特集は「定年後の歩き方 お金・仕事・人脈」です。40代後半から50代前半の管理職の人たちが今、お金、健康、孤独という不安に押しつぶされそうになっています。収入の大幅な減少や社会的な孤立などネガティブなイメージばかりが頭をよぎり、定年後の明るい未来をなかなか描けないからです。定年後を輝かせるために、仕事や家庭とどう向き合っていくべきか、自問自答するその実像と 生き生きと過ごすための「歩き方」を探りました。

 入社社以来、緩やかながらも上昇カーブを描いていた賃金。50歳前後で頭打ちになり、60歳で引退、年金生活へと思い描いていたところに、いつからか役職定年が導入され、自分の身にも振りかかってきた――。

 それが、40代後半から50代前半の多くの管理職の人たちが抱えている、偽らざる心情だろう。

 本誌が8月上中旬に実施した実態調査によると、主要企業の多くは制度や人事慣行として、55歳を基準にして役職定年を運用しており、それに伴って賃金は2割前後も減ってしまうという。

 年金の支給開始年齢が、段階的に65歳まで引き上げられる中で、そのはるか手前で収入減に見舞われることのショックは、たしかに大きいだろう。

「人生のキャッシュフロー」計画が大きく狂うことになるが、実は50歳以降の収入の変遷(下図参照)を見ると、亡くなるまでの平均30年の間に訪れる「収入の崖」は全部で7つもあるのだ。

 役職定年を起点に、60歳定年(再雇用)、65歳での厚生年金の受給開始までは想像がつくだろう。問題はその先だ。