ベネッセホールディングス(HD)は9日、社長交代に関する記者会見を東京都内で開いた。会見冒頭で福原賢一社長は今回の社長交代について「不振が続く『進研ゼミ』やベルリッツの立て直しが急務。一刻も早く経営体制を強化する必要がある」と述べた。ベネッセHDの社外取締役を務める安達保氏が10月1日、社長に就く。再建の行方は米投資ファンドのカーライル・グループの日本法人で顧客の事業再生に数多く携わってきた安達氏の手腕に委ねられることになる。
ベネッセHDは福原社長の前に社長を務めた原田泳幸氏も6月25日に退任。わずか3カ月での社長交代となったことから福原社長がワンポイントリリーフではないかといった質問については「違う」と明確に否定した。また4~6月期が営業赤字だったことが退任の理由ではないとした。安達氏を選んだ理由について福原社長は「国際経験や経営戦略を策定する能力、会社への理解が深い」と話した。
現在のベネッセHDの経営環境について安達次期社長は「会社の業績は不振であり、大変な危機感を持っている。顧客目線を採り入れて再建を進めていきたい」と強調。そのうえで「原田前社長の進めてきたデジタル化路線は間違ってはいない。ただ変革をあまりにも急いだため、お客様とのニーズが乖離(かいり)したのではないか」と話した。
福原社長によると、最高顧問である福武総一郎氏は「指名報酬委員会の議論に委ねる」として自らが今回の人事に関わっていないことを強調。福武最高顧問は9日、会社側に最高顧問を退き、名誉顧問に就く意向を示したという。