移住者の葛藤知って 避難住民が福岡市で講演 [福岡県]
東日本大震災の影響で福島県須賀川市から福岡市に移住し、居酒屋を経営する塩田浩一さん(50)が10日、同市中央区の市NPO・ボランティア交流センター「あすみん」で講演し、古里を離れた思いや葛藤を語った。
塩田さんは震災から約1年が過ぎた2012年2月、一家4人で福岡市に移住。放射能への漠然とした不安があり、震災直後から移住先を探したという。「須賀川市は線量は比較的低かったが、30年後のことは分からない」。当時小中学生だった2人の息子への影響を最も懸念した。
引っ越す間際に、知り合いから「私たちを残して逃げるのか」と言われたことも披露。「福島の人は皆、不安の中にいる。自分だけ逃げていいのかという思いは今もある」と苦しい胸の内を明かした上で、「偏見もなく温かく迎えてもらった福岡で、これからも頑張って暮らしていきたい」と結んだ。
会場で筑紫女学園大3年の山内晴香さん(21)は「震災から4年がたつが、今も苦しんでいる人がいることにあらためて気づかされた」と話していた。
=2015/03/11付 西日本新聞朝刊=