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【第二回ハヤカワＳＦコンテスト受賞作】「死後の世界がない」ことが証明された時代。ミクロネシアを訪れた学者ノヴァクは、死出の舟を造り続ける日系の老人と出会う……驚嘆の文化人類学ＳＦ。

内容（「BOOK」データベースより）

生体受像の技術により生活のすべてを記録しいつでも己の人生を叙述できるようになった人類は、宗教や死後の世界という概念を否定していた。唯一死後の世界の概念が現存する地域であるミクロネシア経済連合体の、政治集会に招かれた文化人類学者イリアス・ノヴァクは、浜辺で死出の旅のためのカヌーを独り造り続ける老人と出会う。模倣子行動学者のヨハンナ・マルムクヴィストはパラオにて、“最後の宗教”であるモデカイトの葬列に遭遇し、柩の中の少女に失った娘の姿を幻視した。ミクロネシアの潜水技師タヤは、不思議な少女の言葉に導かれ、島の有用者となっていく―様々な人々の死後の世界への想いが交錯する南洋の島々で、民を導くための壮大な実験が動き出していた…。民俗学専攻の俊英が宗教とミームの企みに挑む、第2回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。

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登録情報

フォーマット： Kindle版
ファイルサイズ： 633 KB
紙の本の長さ： 237 ページ
出版社: 早川書房 (2014/11/21)
販売： Amazon Services International, Inc.
言語: 日本語
ASIN: B00PU0E2WC

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おすすめ度： 5つ星のうち 4.5 レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)

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5つ星のうち 5.0 ちょっと言葉が出なくなるぐらいすごい内容。マジで。 2014/12/27

投稿者移り木さん

形式:単行本

この作品を読み取る上でそりゃもう一番重要なのが「模倣子学（ミーム）」的な考え方であるわけだけれど、それがこの作中世界でもたらしている概念――すなわち人のもたらす思考、行動、反応、体験の一片から人格、個人の一生さえ、ありとあるゆるものが「叙述」可能な現象にすぎないのだということ――これを念頭に置いて読むことで飛び飛びに続く断章が持つ意味が、ひいてはそれがギミックとしてどんな風に動いていくのか――、ということを予想しながら読んでいくと、最終的に更に斜め上を行く結末を見せつけられることでぶっ飛ぶ一品である。

贈与、転写、弑殺、蓄積、各章の副題として並ぶこれらはすべて「体験（ミーム）」に起こったことであり、イリアス・ノヴァク、ヒロヤ・オバック、ケンジ・オバック、ヨハンナ・マルクムヴィスト、ペーター・ワイスマンとならぶ人名さえも「叙述（ミーム）」に過ぎない。そして我々がこの「本（ミーム）」を読もうと食指を伸ばそうとすることも「主観時刻（ミーム）」で行われていることなのかは分らないし、ましてやこの「レビュー（ミーム）」も遥か未来から偶然的に「挿入（ミーム）」されてきた可能性もないわけでない。というか「柴田勝家」というペンネームだって戦国時代から災禍を免れた子孫により「叙述（ミーム）」されてきた可能性もある。そうでなければいったいどうしてあんな髭面の男が現代にいようか？... 続きを読む ›

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5つ星のうち 4.0 てぃんさぐの花をくちずさむ 2015/1/26

投稿者 gajumaru3

形式:Kindle版|Amazonで購入

遺伝子と模倣子の物語であり、ゲームの棋譜であり、南の島の物語である。宗教と文化人類学の物語であり、親と子の物語である。つまりSFである。ライフログ。

てぃんさぐぬ花や爪先に染みてぃ親ぬゆしぐとぅや肝に染みり

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5つ星のうち 5.0 超難解だけど【超傑作】です。 2014/12/24

投稿者大螺王

形式:Kindle版

２０１４年の第２回ハヤカワＳＦコンテストで見事に大賞を受賞した、新人ＳＦ作家【柴田勝家】さんの傑作が本作品です。
一読した感想は、まず読みにくいです。
これは【本格ＳＦ】には良くあることなので、慣れている方にはお馴染みのことなのですが、初心者の方は少し驚くかも知れません。
次に内容に関してですが、これが文句なしの大傑作です。
【死後の世界】をテーマにして情報論・認識論を縦横無尽に展開したこの作品は、まさに日本人にしか書けない本格ＳＦであり、海外ＳＦの名作群と比べても全く見劣りしない作品です。
死後の世界という文化的模倣子（ミーム）。
人間のＤＮＡを利用したミーム・コンピューター。
人生に関する情報を完全にパッキングすることによって生まれた、閉じられた時空間内におけるヴァーチャルな永遠の生命。
そこから逃げられない意識たちの切ない祈り。
人類進化の鍵を握る有神論と無神論の対立。
そしてパラダイム転換による新世界の誕生。
本格ＳＦファンにとってはたまらない、非常に刺激的なアイデアや洞察が満載されていて、これは本当に読み応えがあります。
その分、初心者の方は置き去りにされてしまう可能性もあるのですが、これもまた本格ＳＦには有りがちなことです。
何はともあれ、本... 続きを読む ›

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5つ星のうち 4.0 死後の世界の考察はあまい 2014/11/23

投稿者バンパー

形式:単行本|Amazonで購入

死後の世界がないことが証明された未来の物語ということだが、
その考察はあまいといわざるを得ない。
キリスト教会、主にローマ法王が死後の世界を否定したという設定で描かれている。
が、イスラムはまだ死後の世界を信じているし、いろいろ対立があるみたいだ。
ミクロネシアにおける死後の世界は否定されているが、
日本人の仏教における死後の世界がどうなったかについてはまったｋ記述がない。
だから、死後の世界がない世界についての考察はあまいといわざるを得ない。
しかし、面白いオチはちゃんと用意されており、ＳＦ好きなら読んで損はない。
だが、まあ、「みずは無間」のような大傑作というわけにはさすがにいかないな。
アイデアはひとつは確かに明確にありますので、それは期待していただいてかまわないと思います。

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