イノシシ捕獲、スマホで一発 ベテラン猟師と九大研究者が開発 [福岡県]
農作物を食い荒らすイノシシなどの野生動物を効果的に捕獲しようと、九州大の研究者とベテラン猟師が、スマートフォン(多機能携帯電話)の遠隔操作で扉を閉じることができる箱わなを開発した。スマホの画面でわな内部の画像を確認できるため、複数頭を一網打尽にするチャンスを狙え、間違えて別の動物を捕らえることも避けられる。福岡県の業者が来春をめどに商品化を予定しており、対策の切り札として注目されている。
野生動物の捕獲は猟友会が主に行ってきたが、高齢化が進み担い手が減少。このため、農家などが簡単に駆除できるようにと、福岡猟友会(福岡市)で活動してきた村上雅昭さん(67)と、今年3月まで九州大大学院農学研究院に所属していた丸居篤・弘前大准教授(地域環境工学)が4年がかりで開発した。
新型の箱わなは縦横2メートル、高さ1・5メートル。イノシシがわなに入るとセンサーが感知し、登録しているスマホにメールで知らせる。わな上部に設置されたカメラの画像を受信すれば、内部の様子をリアルタイムで見ることができ、扉を閉めるタイミングを選べる。カメラは夜間でも撮影可能だ。
イノシシが多い九大伊都キャンパス近くで行った実験では、子どもを含む4頭を一度に捕獲できたケースもあった。動物が中に入ると扉が閉じる従来の箱わなでは、狙った動物以外でも作動し、子どもやペットがけがをする危険があった。
農林水産省によると、野生動物による農作物被害のうち、九州はイノシシが最も大きく、2011年度の被害額は約19億円。丸居准教授は「少しでも被害軽減につながれば」と話している。
=2013/09/18付 西日本新聞朝刊=