栗城史多×安藤美冬 【第2回】 「苦しいエベレスト挑戦もみんなで楽しみたい」 すべてをリアルタイムで伝える登山家が目指す夢

2012年09月02日(日) 安藤 美冬
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栗城: 他にも山の上でカラオケをやったり、流しそうめんをやったり、いろいろチャレンジしましたね。

 はっきり言って、エベレストって苦しい世界じゃないですか。でも、苦しい苦しいと言ってるだけでは、人間、本当にきつくなってしまう。だから、真逆のくだらないことをあえてやることで、その中継をやってくれる人も含め、仲間みんなで盛り上がりたいなと。それで標高7400mの地点でカラオケをやって、ネットで中継したんです。「たぶん世界でいちばん高いところでやったカラオケだぞ」とか言って、2曲歌いました。

安藤: 確か『We are the World』を歌ったんですよね。

栗城: 英語があんまりできないので、サビしか歌えなかった(笑)。

安藤: エベレストに一人で無酸素で登るのは、もちろん孤独で苦しいことだと思うんですけど、その苦しい世界をみんなで楽しく共有するっていうのは、まさにおっしゃるように「真逆」の発想ですよね。ビジネスとしても、すごく良い考え方だと思います。たとえば、「シルク・ドゥ・ソレイユ」ってあるでしょう?

栗城: サーカスですね。

安藤: そう、世界ナンバーワンのサーカスです。シルク・ドゥ・ソレイユって、それまでのサーカスの特徴をすべて引っ繰り返した手法で成功したんですよ。たとえば、普通のサーカスではいるはずの動物もピエロもいない。チケットは高い。音楽も、いかにもサーカスという騒がしい感じのものではなくて、クラシカルで荘厳な曲をかける・・・。

 このシルク・ドゥ・ソレイユのやり方が、栗城さんと重なって見えるんですよ。両方とも、従来のやり方の「真逆」をやって人気を集めた。

僕のライバルはプロ野球やサッカーです

栗城: 僕の場合、まず単純に「面白いことをやりたい」という気持ちがすごく強かったんですね。もう一つ、登山っていうのは本来、もっと自由に発想していい場じゃないかと考えていました。

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