経済産業省の原子力安全・保安院は1月18日、定期検査で停止した原子力発電所を再稼動するための条件として実施されているストレステスト(耐性評価)について、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の1次評価を「妥当」とする審査結果(素案)を専門家の意見聴取会に提出した。
そして23日に来日する国際原子力機関(IAEA)調査団がこの素案に対して評価を下したうえで、原子力安全・保安院は審査書を内閣府原子力安全委員会に提出、最終的には野田佳彦首相と、藤村修官房長官、枝野幸男経済産業相、細野豪志原子力事故担当相、古川元久国家戦略相の4閣僚が地元自治体の合意を取り付けたうえで再稼動を判断する。
だが、大飯原発の安全性について、取りあえず「妥当」という第1次評価が出たものの、地元の同意を得るのは容易なことではない。一方で、原発の稼働率が記録の残る1977年4月以降の最低を更新、現時点では54基中4基のみとなった。このまま運転再開が実現しなければ、4月下旬までに全基が停止となる。となると、東京電力の西沢俊夫社長が17日の会見で工場やオフィスなど大口電力契約者の電力料金を4月から平均17%値上げすると発表した際に挙げた値上げの理由「原発に代わる火力発電所の燃料費の高騰」に説得力を持たせることになりかねない。
筆者が承知しているコンフィデンシャル情報によれば、政府は2011年度内の3月末までに関西電力大飯原発3、4号機と四国電力の伊方原発3号機の再稼動を決定するというのだ。両社の原子炉メーカーは共に三菱重工である。
筆者が原発を所管する大臣から直接聞いた話によれば、特に原発依存度が高く、夏に向けて供給余力が危惧される関電の大飯原発炉心ストレステストを行ううえで三菱重工が、それこそ全力投球で地震や津波による機器損傷の想定、海水注入の影響などについて細かいチェックを担ったというのだ。
そしてその某大臣は、それを高く評価していた。確かに、第1次評価での「妥当」に対して専門家からの批判に得心できるものがある。だが、日本経済再生のための原発再稼動に向けた政治判断は待ったなしの状況にあることもまた事実である。
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