ソニーは、米コンピューター・電子機器大手アップルの各種携帯機器に対抗するため、一連の新携帯機器の開発に取り組んでいる。これには同社の家庭用ゲーム機「プレイステーション」の各種ゲームをダウンロードして楽しめるスマートフォン(多機能型携帯電話)も含まれる。状況に詳しい複数の関係者が明らかにした。
またソニーはこれとは別に、ネットブックと電子書籍リーダー、プレイステーション・ポータブル(PSP)といった製品をいわば融合する携帯機器についても開発を進めている。同関係者らによると、この製品は発売間近のアップル製タブレット型パソコン「iPad(アイパッド)」といった多機能機器との競合を目指す。
こうしたスマートフォンと多機能機器の新機種はともに、米アップルのオンライン音楽・映像配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」への対処策として今月後半に米国で発売予定のソニーのオンライン・メディアプラットフォームと互換性を持つ見通し。
関係者らによると、価格や特定の仕様など詳細の多くについてはまだ最終決定がなされていないものの、両製品ともに年内の発売を目指す。ソニーの広報担当者はコメントを避けた。
ソニーはこれまで携帯機器分野では苦戦を強いられてきた。携帯分野での合弁会社ソニー・エリクソンの世界の出荷台数は2009年に41%減少した。ソニーはまた、2月にPSPの出荷台数見通しを下方修正した。
ソニーのメディアプラットフォーム「ソニー・オンライン・サービス」(仮称)は、アップルのアイチューンズで既に入手できる映画とテレビ番組、音楽の多くを提供する見通し。しかし、ソニーは広範な一連の機器で各種ゲームを楽しめるようにすることによって、サービスの差別化を目指す。
新機種のスマートフォンと今後発売が予想される携帯機器はソニーのハワード・ストリンガー最高経営責任者(CEO)の業績改善計画にとって重要な要素となる。ソニーはコスト削減と製品の合理化で進展しているが、映画やゲーム、音楽提供のオンライン上のネットワークにアクセスする機器の開発という同CEOの重点項目を具体化する製品の提供が待たれている。
ソニーのこうした新機種は、アイチューンズ対応の広範なアップル製品に対抗することを目的としている。アップルは携帯デジタルメディアプレーヤー「iPodタッチ」と携帯電話端末「iPhone(アイフォーン)」で、ソニーのPSPが優勢な携帯ゲーム市場への参入を進めている。またアイパッドにより、ソニーの「リーダー」が既に100万台を販売し、今後ますます拡大が見込まれる電子書籍市場に進出する見通し。