「計画ありき」に地元硬化 沼宮内病院の無床化


 県医療局の新経営計画案(2009―13年度)で、10年度から入院ベッドを廃止する無床診療所化が示されている沼宮内病院(60床)をめぐり、地元の岩手町は、県医療局への批判を強めている。地元開業医が、同病院の当直や日直の一部肩代わりなど、無床化回避のための提案を示しているが、成案化が2月中旬に迫る中、同局の反応は「持ち帰って検討する」の一点張り。同病院の診療所化に必要な条例改正は12月県議会での提案が見込まれ、時間的余裕はあるにもかかわらず「これでは計画ありき」と態度を硬化させている。

 2日に岩手町内で開かれた県医療局と地域の懇談会。同町五日市の佐渡(さわたり)医院の佐渡豊院長は、地元開業医が沼宮内病院の日直や当直を一部肩代わりできる可能性を提示。

 そのうえで「(開業医の協力について)どのくらいの頻度が必要なのか、詰めていく気持ちがあるのか、ないのか」と、医療局側に迫った。

 開業医が自分の患者を沼宮内病院に入院させて治療のために通う開放型病床を含めた病床利用率向上策や、沼宮内病院が開業医の紹介患者に特化する「すみ分け」徹底の提言も出された。

 これに対し、県医療局の細川孝夫次長、根子忠美経営改革監は「持ち帰って検討する」と述べるにとどめた。

 県医療局は2月中旬に新経営計画の成案を示す方針。無床化案は沼宮内病院のほか、花泉、住田、大迫、紫波、九戸の5地域診療センター(各19床)で示されているが、沼宮内を除く5地域診療センターは4月から実施予定。

 沼宮内病院の場合は10年4月実施が示されており、5地域診療センターに比べ、時間的余裕があり、「2月中旬の成案策定」にこだわる県医療局側の姿勢に対し、批判の声が高まっている。

 町老人クラブ連合会長の西田利夫さん(81)は「入院ベッドを残すためにすべての可能性を探った計画とは思えない。廃止ありきだ」と不信感を募らせる。

 岩手町は、沼宮内病院を核に、保健推進員らが連携して大腸がんなど検診受診率を全国有数まで高めてきた。

 民部田幾夫町長は「今年12月県議会で条例改正案の提案が見込まれる中、10カ月も前に成案決定していいものか」と、最終案の保留を強く求める。

(2009/02/04)

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