「新郵政「脱官僚」より「票集め」」の記事詳細：イザ！

　■社長に元大蔵事務次官、斎藤次郎氏

　「脱官僚依存」「天下り禁止」の鳩山政権が選んだのは大物官僚ＯＢだった。辞任を表明した日本郵政の西川善文社長（７１）の後任に、元大蔵事務次官で東京金融取引所社長の斎藤次郎氏（７３）が２１日、内定した。斎藤氏は小沢一郎民主党幹事長（６７）と親しいとされ、亀井静香郵政改革担当相（７２）＝国民新党代表＝が、郵政見直しに鳩山内閣と民主党を巻き込み、来年夏の参院選で特定郵便局長からの強力な支援を狙ったとみられる。

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記事本文の続き　■人事私物化の声も

　「あの日銀総裁選びの騒ぎは何だったんだ」

　斎藤氏が内定したとの一報が駆けめぐったこの日、財務省内には驚きと歓迎の声が上がる一方、民主党の対応への疑問も広がった。

　民主党や社民党は野党だった昨年３月、政府が日銀次期総裁として提案した元大蔵事務次官の武藤敏郎、田波（たなみ）耕治両氏について、相次いで不同意とした。理由は「財政と金融の分離」の原則に反するから。民主党幹事長だった鳩山由紀夫首相（６２）も当時、「日銀総裁は財務省の究極の天下りポストだ」と批判していた。

　自民党の川崎二郎国対委員長（６１）は「自分の所に昔来ていた官僚は良いが、今の官僚は悪いという感覚なのだろう」と、人事の私物化と言わんばかりに疑問を呈した。

　■「能力あれば認める」

　鳩山首相はこの日、記者団の質問に「大蔵省を辞めて１５年たっており、能力があれば認めるべきだ」と発言。斎藤氏も会見で「大蔵省を辞めて１５年たっている。元官僚という意識はない」と述べた。

　しかし民主党関係者からも「斎藤氏の場合、（東京金融取引所社長という）『渡り』を経ての天下りだと言われても仕方ない」との声が聞こえる。

　鳩山首相や小沢、亀井両氏にとって日本郵政の社長交代は、参院選に向けて政治的利害が一致するため、「民営化に逆行」との批判はどこ吹く風だ。

　国民新党や民主党には、民営化見直しを求める特定郵便局長関係者らの政治団体「郵政政策研究会」（旧大樹全国会議）の支援は欠かせない。郵政研などは国政選挙で１００万票以上をたたき出し、両党候補への支援も熱心だ。

　亀井氏はこの日、郵政研幹部に電話して、こう伝えた。

　「おれが一番いい人を選んだから、皆さんとも呼吸を合わせてやっていける」

　■斎藤次郎氏（さいとう・じろう）　１９３６（昭和１１）年１月１５日、関東州（現中国）・大連生まれ。５９年、東大法学部を卒業し大蔵省（現財務省）に入省。主計局長、事務次官などを経て２０００（平成１２）年から東京金融先物取引所理事長。株式会社への改組や社名変更などを経て、０４年から東京金融取引所社長を務めている。