プロに勝てる? 京都大準教授が新型将棋ソフト
2009/04/09 13:21更新
このニュースに関連したブログ
関連フォト
記事本文
京都大学大学院情報学研究科の稲垣耕作准教授が開発中の将棋ソフト「漫遇将棋」がほぼ完成し、5月3~5日に東京で開催される第19回世界コンピュータ将棋選手権に初出場する。長年にわたる人工知能研究の成果を生かし、従来型のソフトより人の脳の働きに近いのが特徴。状況判断力が高く奇策にも強いといい、稲垣准教授は「将来の目標は打倒・羽生善治4冠。改良を加え、ハブキラーの『将棋マングース』として、いつか勝利を収めたい」と意欲を燃やしている。
関連記事
記事本文の続き 国内の将棋ソフトの開発が始まったのは昭和40年代末。しだいに性能も向上しし、最近ではハンディ付きの対局でプロに勝利することもあった。しかし、平成19年3月、プロ棋士とコンピューターとの初の平手対局として注目された渡辺明竜王対将棋ソフト「ボナンザ」戦では、熱戦の末に渡辺竜王が勝利。その10年前にスーパーコンピューターが世界チャンピオンを負かしたチェス界とは対照的に、将棋界での「人間越え」はおあずけとなっている。
稲垣准教授は平成17年から将棋ソフトの研究を進め、従来型ソフトの弱点だった状況判断力の向上に力を注いできた。
従来型は、コンピューター得意の記憶力を生かし、数万にもおよぶ膨大な棋譜をデータベースとして記憶したり学習し、超高速計算で最善手を選び出す方式が一般的。しかし、序盤の手を選ぶのが苦手なため、データベースを利用して棋士の定跡を真似るしかなかった。そのため奇策で攻められるとうまく対応できないケースが多く、課題となっていた。
しかし「漫遇将棋」では、神経細胞同士が情報を交信する、人間の大脳の働きに近い「思考プログラム」を利用。プログラムの大きさは従来の10倍以上になったが、コンピューターに将棋の基本ルールを覚えさせるだけで、人間の直観に近い判断を行うことができるという。
このため従来型で不可欠だった膨大なデータの記憶が必要なく、しかも超高速のスーパーコンピューターを利用した場合、従来型よりも柔軟な“思考”が可能。「複雑系進化という考え方を導入したので、バージョンアップすれば早くプロ棋士に勝てる可能性がある」(稲垣准教授)という。
基本機能はほぼ完成したが「まだ赤ん坊段階。これから高度な作戦を立てる能力を持てるように研究を続けたい」と稲垣准教授。現在の漫遇将棋はパソコン用ソフトだが、来年にはスーパーコンピューター用に書き換え、「将棋マングース」と改称するという。
稲垣准教授は「マングースの名の通り、ハブキラーにしたい。ここ数年のうちにプロ棋士に勝つ能力を持たせ、いつか羽生善治4冠に勝つことができたら」と話している。
広告
関連ニュース
タイトル | 更新日付 | 補足情報 |
---|---|---|
将棋 後手番が初めて勝ち越す | 03/31 19:12 | |
将棋の最年長棋士、自力で引退回避 | 03/11 00:17 | |
中原永世名人が引退を表明 | 03/11 17:09 | |
将棋駒に「本横」の文字 徳島・川西遺… | 03/13 21:59 |