四神とは玄武(亀)・白虎(虎)・青龍(龍)・朱雀(鳳凰)の四体の瑞獣を指すといわれ、別名四神とも言われます。
また、中央は忘れられがちですが、麒麟が入り、まとめて五霊といいます。
諸説紛々していますので断言は出来ませんが、めでたい動物の組み合わせ、と考えればいいかもしれません。
源流は中国の思想、陰陽五行説が重きをなしています。
四神の始まりは中国の星空、二十八宿にあるといわれています。
二十八宿を東西南北七宿ずつに分け、それがそれぞれの動物の姿に見えたといわれます。
その動物が龍・虎・鳳凰・亀。そして東西南北を司る色を合わせたのが青龍・
白虎・朱雀・玄武(黒い亀に蛇が巻きつく)・となります。ちなみに中央は麒麟(色は黄)で、すべてを
ひっくるめると五霊といいます。
各動物に色・季節・方位・属性を示した図は次の通り。
十二支に比べて四神を見る機会は限定されています。
日本では薬師寺薬師如来像の台座、高松塚古墳・
キトラ古墳壁画(高松塚古墳は朱雀欠損)、そして正倉院の
十二支八卦背円鏡くらい(鏡は他にも例はある)で、他ではあまり見ることはありません。
文献の記録では『続日本紀』大宝元(701)年正月一日条に日・月
の幡とともに四神が描かれた幡を藤原京大極殿正門に立てて朝賀の儀式を行なった
とあり、また同じく和銅元(708)年二月十五日条には四禽が図に叶う場所として
平城京の位置が讃えられています。
時代が下って装飾彫刻では亀岡市穴太寺多宝塔、小矢部市石動愛宕神社拝殿(但しここは虎がおらず、
変わりに麒麟がいる四瑞の組み合わせ)で管理人は確認していますが、十二支に比べると
割合は非常に少ないです。
これらから意味を考えると次の2つが代表として考えることができます。
・世界(宇宙)の表現
高松塚・キトラ古墳では四神とともに星宿図、日・月が描かれています。また、
朝賀の儀式にあるように日・月とセットで四神の幡が立てられていることから、宇宙の表現
と捉えることができるのではないでしょうか。
・僻邪(魔除け)
四神はそれぞれ絶大な力を持つ長とされています。四神を配することによって
魔除けの意味があると捉えても不思議ではありません。中国では軒丸瓦に四神を
象った例があり、また古墳に描くという考えも邪悪なものから死者を守る意味があると
推測することができます。
当然、これらの意味だけではないでしょうが、四神はあまりにも規模が大きく、 用いられている姿も少ないため、自然と意味が限定されてくるかもしれません。
・『淮南子』(『新釈漢文大系』54~56 楠山 春樹 明治書院 昭和54年)
・『続日本紀』(『全現代語訳続日本紀』上・中・下 宇治谷孟 講談社学術文庫 平成4年)
・『五行大義』(『新編漢文選』7~8 中村璋八 古藤友子 清水浩子 明治書院 平成10年)
・『高松塚古墳壁画』高松塚壁画館 平成14年
・『キトラ古墳壁画四神玄武』飛鳥資料館図録46 平成19年
・中野美代子『中国の妖怪』岩波新書 昭和58年
・吉野裕子『ダルマの民俗学』岩波新書 平成6年
・来村多加史『キトラ古墳は語る』NHK出版(生活人新書) 平成17年