夏休み、生徒会長が世話をする花壇を見に来た明智たち。たいせつに育てていた花が、目を離していた間にすべて消えていた謎を帆場が解く。
一方、予言の七月が旧暦でもすぎさろうとしながら大王の手がかりがないことにウソノワールがあせっていた。そしてプリキュアと戦っていたデッチ・アゲインが衝撃の事実をつげる……
村山功シリーズ構成の脚本、中島啓太郎の演出で、キュアアルカナ・シャドウの新たな変身と、帆場に隠されていた事実が敵の口から明かされる重要回……なのだが、ひさしぶりな感のある青山充の完全一人原画で、絵作りはゆるめ。
実際は前回登板の第17話*1も完全一人原画ではあったのだが、今作第4話*2のように、近年は必殺技や変身などに別の原画が入ることでクレジットは一人原画ではないことが多かった。人気の敵プリキュアの新フォームが登場したのに、おそらく短期間の活躍なのでつかいまわせないだろうとはいえ、細やかな変身シーンが描写されないあたり、そこに物語の力点がないことがわかる。
そこで明らかになるのが主人公コンビではなく、帆場の情報だというのが、良くも悪くも意外ではあった。プリキュア側に大王がいる可能性は初期から視聴者の間で語られ、特殊な立場の明智がよく候補として名指しされていただけに、キュアエクレールという正体で驚かせたばかりの帆場にたたみかけるようにその立場が付与されるとは思わなかった。
しかしこれは主人公コンビが物語の主軸から外されているということでもある。明智が大王という可能性がとりざたされていたのは、キュアアルカナ・シャドウという人気キャラクターに負けている存在感をひっくりかえし、物語の主軸にもどすギミックとなると予想されていたのも一因だった。
思えば村山功シリーズ構成作品は、序盤と終盤はしっかり主人公コンビの物語を念入りに描くのに、中盤はサブキャラクターのドラマに力点を置いて主人公コンビの印象が薄れがちな傾向がある。主人公コンビの深い接近を別脚本家の劇場版で描いた『スター☆トゥインクルプリキュア』が典型だった。
『映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』 - 法華狼の日記
上映時のTV本編では、新登場した怪盗ユニという複数の顔をもつキャラクターを何話にもわたって紹介し、さらにゲストキャラクターとの一話完結のドラマも通常どおり進めていたため、最初に星奈のパートナーになった羽衣の描写はほとんどなかった。
しかし今話はさすがにバランスが悪すぎた感じがある。帆場に新たな事実が明かされる役割りをあたえるなら、謎解きは明智と小林に担当させても良かったのではないだろうか。
なお、単発エピソードの謎解きとしては、CM前に解答がなされるように、知識だよりで伏線もなく、良い出来ではない。善意により犯罪めいた状況が生まれたという構図の面白味はあったが、特殊な知識を必要としないミステリとして展開してほしかった。連絡不足ではあったものの善意でしかないので、デッチ・アゲインがマコトジュエルを犯罪をせずに入手して、それでも責められることをぼやく場面は楽しかったが。
ただミステリ豆知識として、シャーロック・ホームズを生んだコナン・ドイルが信じていたものは何かというクイズは良かった。もちろん妖精ということは知っていたが、それは捏造だったとしても名探偵に妖精がパートナーとなる歴史の象徴として位置付けてくるとは思わなかった。虚偽に騙された史実を引いて、虚偽が真実の一端だったと語ることで説得力を高める。