第2回: 戦争に原則はあるか――ジョミニの四原則とクラウゼヴィッツの拒絶
この記事でわかること
ジョミニが示した「戦争の四原則」の中身がわかります
クラウゼヴィッツがその原則を退けた四つの理由がわかります
補給の限界が、原則をどこで壊すのかがわかります
原則を点検表として使う七つの問いを持ち帰れます
「一切の学には原理があるが、戦争に限ってこれがない。」
これを書いたのは、モーリス・ド・サックスという軍人です。18世紀フランスで元帥まで務めました。元帥とは、軍人が就ける最高の位です。
この一文を本の冒頭近くで引いたのが、ジョミニです。1779年生まれのスイス出身の軍人で、ナポレオンの部下を務めた後にロシア軍へ移りました。著書が『戦争概論』です。
彼の主張はこうです。サックスの見立ては、18世紀の半ばには当たっていました。しかし読者の多くは、原理そのものが無いと読み取りました。そこが誤りだった、というのです。
ジョミニは四項目の原則を書き下ろします。これが、いまも各国の教範に並ぶ「戦争の原則」の祖型です。教範とは、軍隊が使う公式の教科書です。同じナポレオン戦争を見たクラウゼヴィッツは、この種の原則を四つの理由で退けました。1780年生まれのプロイセンの軍人で、『戦争論』の著者です。
戦争に、守れば勝てる原則はあるのでしょうか。あるとして、それは何に使えるのでしょうか。今回はこの一点だけを測量します。
結論
ジョミニの四原則は、戦争から時間と空間の関係だけを抜き出すのであれば正しいです。しかし、その抜き出しこそがクラウゼヴィッツの批判した点でした。原則は答えではありません。計画が何を見落としているかを映し出す点検表としてだけ、原則は役に立ちます。
購入後は、四原則の原文と、二人の読みの違いを読むことができます。四点批判の中身と、原則を点検表へ組み替える七段階の手順も示します。
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